バックナンバー：いよいよ正式版リリースへ、GPLv3

　米国時間の6月29日、フリーソフトウェア財団（FSF：Free Software Foundation）はGPLv3（Gnu General Public License Version 3）の正式版をリリースする予定である。当初予定されていなかった第4ドラフトをはさんだためリリースが遅れたが（2007年1～3月ごろの予定だった）、2005年末から長らく続けられてきた改訂作業にもようやく終止符が打たれることになる。

　ただし、正式版がリリースされても、それでGPLv3に関する議論が終わるわけではない。自作のソフトウェアにGPLv2を適用しているオープンソース開発者は、GPLv3を採用するかそれともGPLv2にとどまるか、その決断を迫られることになるだろう。開発者間の意見の相違から分裂するオープンソース・プロジェクトが出てくる可能性もある。いずれにせよ、そうした諸々の判断を下すにはGPLv3に対する正確な情報が必要となるが、第1ドラフトから第4ドラフト（おそらく正式版とほとんど変わらない）までの間に、ライセンスの内容は大きく変更されている。そして、古いドラフトに対する批判の大きさから、GPLv3に対して誤解を抱いている方も少なくないようだ。そこで、正式版リリースの前にGPLv3に関する過去の記事をまとめておくことにする。

　以下で紹介する記事は、新しいものから順に並べてある。手っ取り早くGPLv3の概要をつかみたい方は、新しい記事をいくつか読むとよいだろう。特にFSF創始者のRichard M. Stallman氏による「GPLバージョン3へアップグレードすべき理由」とジャーナリストのBruce Byfield氏による「GPLv3にまつわる8つのよくある誤解」は必読である。一方、GPLv3がどのような議論を経て策定されてきたのか、あるいはオープンソースにおける政治力学に関心のある方は、いちばん下の記事から読むことをお勧めする。

GPLv3最終草案を巡るTorvaldsの見解 2007年06月13日

Affero GPLv3のディスカッションドラフト公開 2007年06月11日

GPLバージョン3へアップグレードすべき理由 2007年06月05日

「GPLv3」の最終ドラフトが公開――正式版リリースは6月29日、MicrosoftのLinux特許問題にも対応 2007年06月01日

Red Hat Summit 2007――最終日：授賞式とMoglen 2007年05月16日

GPLv3にまつわる8つのよくある誤解 2007年05月15日

Red Hat Summit 2007――第1日目：デスクトップとライセンス 2007年05月15日

FSFによるLGPL新規ドラフトのリリース 2007年04月06日

Stallman氏とTorvalds氏、NovellがGPLv3についてコメント――「GPLv2の実用的な代替案になるだろう」（Torvalds氏） 2007年04月02日

GPLv3ドラフト新版：特許やロックダウン技術に対する新たなアプローチを導入（第3ドラフト） 2007年03月30日

ロイターによる再度の誤報に意見する 2007年03月29日

FSFがGPLv3策定の最終段階を変更 2007年03月29日