GPLv3 Discussion Draft 2 Rationale 日本語訳

GPLv3 ディスカッション・ドラフト2に付随して発表された、趣旨説明書 (Rationale)の日本語全訳を公開する。以前の趣旨説明書と違い、原文の修正・追加点に網羅的な注釈を付けるという形式になっている。かなり大部で込み入った内容ではあるが、一連のGPLv3を巡る議論の理解には欠かせない。なお、この訳に関する意見や誤訳の指摘は、本記事へのコメントとして寄せて頂けるとありがたい。

GPLv3第2ディスカッション・ドラフト 趣旨説明書 (Rationale)

日本語訳、2006年10月6日

本文書は、GPLv3の第2ディスカッション・ドラフトにおける変更点の趣旨を述べたものです。変更点は、マークアップの形式で示しています。打ち消しはドラフトから削除したテキストを示し、太字は追加したテキストを示します。脚註では、特定の変更が為された理由を述べています。その理由のいくつかでは、第2ディスカッション・ドラフトと共に公表した意見書(Opinions)に言及していることがあります。

以下では、GPLv3の第1および第2ディスカッション・ドラフトをそれぞれ「ドラフト1」「ドラフト2」と表記します。

Copyright (C) 2006 Free Software Foundation, Inc. 51 Franklin Street, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301 USA Everyone is permitted to copy and distribute verbatim copies of this document, but changing it is not allowed.

(訳: 本文書の内容を、逐語的に複写し頒布することは許可する。しかし変更は認めない。)

翻訳は八田真行 <mhatta@gnu.org>が行った。原文はhttp://gplv3.fsf.org/gpl3-dd1to2-markup-rationale.pdfである。誤訳の指摘や訳の改善案を歓迎する。なお、日本語訳の利用条件は原文に準ずる。

日本語訳のバージョンは日付で管理している。冒頭を見よ。

日本語訳を用意するに当たっては、独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA)の支援を得た。


GNU 一般公衆利用許諾書 (GNU General Public License)

バージョン3のディスカッション・ドラフト1 2、2006年1 月16 7 27 日本語訳、2006年8 月25 9 15

これは草稿です。GNU 一般公衆利用許諾書の、正式に発表されたバージョンではありません。

Copyright (C) 2006 Free Software Foundation, Inc. 51 Franklin Street, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301 USA Everyone is permitted to copy and distribute verbatim copies of this license document, but changing it is not allowed.

(訳: 本契約書の内容を、逐語的に複写し頒布することは許可する。しかし変更は認めない。)

This is an unofficial translation of the GNU General Public License into Japanese. It was not published by the Free Software Foundation, and does not legally state the distribution terms for software that uses the GNU GPL–only the original English text of the GNU GPL does that. However, we hope that this translation will help Japanese speakers understand the GNU GPL better.

(訳: 以下はGNU General Public Licenseの非公式な日本語訳です。これはフリーソフトウェア財団 (Free Software Foundation)によって正式に発表されたものではなく、GNU GPLが適用されたソフトウェアの頒布条件を法的に有効な形で述べたものではありません。頒布条件としては、GNU GPLの英語版テキストで指定されているもののみが有効です。しかしながら、私たちはこの翻訳が、日本語を使用する人々にとってGNU GPLをより良く理解する助けとなることを望んでいます。)

翻訳は八田真行 <mhatta@gnu.org>が行った。原文はhttp://gplv3.fsf.org/gpl-draft-2006-01-16 07-27.htmlである。誤訳の指摘や訳の改善案を歓迎する。なお、日本語訳の利用条件は原文に準ずる。

前文

ソフトウェア向けライセンスのほとんどは、あなたからそのソフトウェアを共有したり変更したりする自由を奪うように設計されています。それとは対照的にGNU 一般公衆利用許諾書は、フリーソフトウェアを共有し変更するあなたの自由を保証し、そしてソフトウェアが、そのユーザすべてにとって自由なものであることを保証することを目的としています。私たちフリーソフトウェア財団は、私たちのソフトウェアの大半にGNU 一般公衆利用許諾書を適用しています。その作者に適用しようという意志があれば、他のいかなるプログラムにも適用することが可能です( フリーソフトウェア財団のソフトウェアのいくつかは、GNU GPL の代わりにGNU 劣等一般公衆利用許諾書で保護されています) 1 。あなたが、あなたのプログラムに適用することもできます。

私たちがフリーソフトウェアについて語るとき、それは自由について言及しているのであって、価格についてではありません。私たちがいくつか有する一般公衆利用許諾書のそれぞれは、あなたがフリーソフトウェアのコピーを頒布する(そして、希望によっては頒布サービスに対して課金する)自由を有するということ、あなたがソースコードを受け取るか、あるいは入手したければ入手できるということ、あなたがソフトウェアを変更でき、あるいはその一部を新たなフリー・プログラムで利用できること、そしてあなたが、そういったことができると知らされることを保証すべく設計されています。

あなたの権利を守るため、私たちは、誰かが上記のようなあなたの権利を否定したり、あなたに権利を放棄するように求めることを禁止することを義務 けなければなりません。このような制約を設けると、 そこで、あなたがソフトウェアのコピーを頒布したり改変したりする場合、あなたにもある種の責任を追わせる が発生することになります。

たとえば、あなたがGPLが適用されたプログラムのコピーを頒布する場合、それが無料であろうと手数料を取るものであろうと、あなたは受領者にあなたが持つすべての権利を与えなければなりません。あなたは、彼らもまた、ソースコードを受け取るか後に受け取ることができることを保証しなければなりません。そしてあなたは、彼らにこうした条項を示し、彼らの権利について彼らに知らしめなければなりません。

GNU GPLを利用する開発者は、あなたの権利を二つの手順を踏んで守ります。その手順とは、(1) ソフトウェアに著作権を主張し、(2) この許諾書を提示して、あなたにソフトウェアを複製、頒布、あるいは改変する法的な許可を与える、というものです。

開発者や作者を保護するため、GPLでは、このフリーソフトウェアには何の保証もないということを明確に説明します。ソフトウェアが誰か他の人の手で改変されて手渡された場合、GPL ではその受領者に、彼らが入手したのはオリジナルではないことを告げ、よって他者によって持ち込まれた問題がオリジナルの作者の名声には全く影響しないことを保証します。 ユーザと開発者両方の便宜のため、 GPL では改変されたバージョンには変更された旨印付けることを要求しており、改変されたバージョンの問題が誤ってオリジナルのバージョンに帰せられることがないようにしています。

いくつかの国々では、ユーザがデジタル制限管理 (Digital Restrictions Management) から逃れられるようにするソフトウェアを禁止する法律を採用してしまっています。 一部のコンピュータは、ユーザに対し、コンピュータ内のソフトウェアの改変されたバージョンをインストールしたり、実行したりするためのアクセスを拒否するように設計されています。 DRM これは、ユーザ がソフトウェアを変更する自由を守るというGPLの目的とは根本的に相容れません。そこでGPLは、GPLが保護するソフトウェアは、そこから逃れることが禁止されているデジタル制限の対象になることも、あるいは他の著作物を対象にすることも決してない このような方法で制限されることがないということを保証します。 2

(訳注: Digital Restrictions ManagementはFSFの独特の語法。通常はDigital Rights Management。)

最後に、すべてのプログラムはソフトウェア特許によって絶え間なく脅かされています。国家は、特許が汎用コンピュータにおけるソフトウェアの開発と利用を制限することを認めるべきではありません。しかし、そういったことを認めてしまっている地域においては、私たちは、フリーなプログラムの再頒布者が個々にパテントライセンスを入手し、実質的にプログラムをプロプライエタリにしてしまうという特別な脅威を避けたいと思います。こうした事態を防ぐために、GPLでは、いかなる特許も皆がフリーに利用できるよう許諾されるか、全く許諾されないかのいずれかである 特許がプログラムを非フリーとするために使われることがないということを明確に 保証しています。 3

(訳注: 本契約書で「プロプライエタリ (proprietary)」とは、ソフトウェアの利用や再頒布、改変が禁止されているか、許可を得ることが必要とされているか、あるいは厳しい制限が課せられていて自由にそうすることが事実上できなくなっている状態のことを指す。詳しくはhttp://www.gnu.org/philosophy/categories.ja.html#ProprietarySoftwareを 参照せよ。)

複製や頒布、改変に関する正確な規約や条件は以下の通りです。 4

GNU 一般公衆利用許諾書 複製、頒布、改変に関する 5 規約と条件

0. 定義

「許諾されたプログラム」(licensed program) とは、本許諾書に従って頒布されるプログラムやその他の著作物すべてを意味する。 6 「『プログラム』」(Program) とは、そのようなプログラムあるいは著作物すべてを指し、「『プログラム』を基にした著作物」(work based on the Program) とは、著作権法における『プログラム』か派生的著作物のどちらかすべてを意味する。言い換えれば、『プログラム』かその一部を、改変の有無にかかわらず含む著作物のことである。 7 本許諾書において、個々のライセンシーは「あなた」として表現される。また、「『プログラム』」 (Program) とは、本許諾書に従って許諾された、作者性 (authorship) が存在する著作物のすべてを意味する。 本許諾書を通じて、「改変」(modification) という用語の意味には翻訳と拡張が含まれるが、この二つに限定されない。 「改変された」 (modified) 著作物には、その内容が翻訳された、あるいは追加されたバージョンが含まれるが、この二つに限定されない。 8 他の著作物を「基にした」 (based on) 著作物とは、その成立に適用可能な著作権法の下での許可を必要とする改変されたバージョンすべてを意味する。「『保護された著作物』」(covered work)とは、改変されていない『プログラム』か、『プログラム』を基にしたその他の著作物の一つのことである。 9 個々のライセンシーは「あなた」として表現される。

著作を「伝播」(propagate)するとは、適用可能な著作権法の下で許可を必要とする行為を行うことを意味する。コンピュータ上で実行すること、あるいは私的な 他者と共有せずに改変を加えることは除く。 10 「伝播」には、複製、頒布(改変の有無を問わない)、公衆への利用可能化 11 再許諾が含まれ、またいくつかの国々では他の活動も含まれる可能性がある。著作物を「伝達」 (convey) するとは、第三者がコピーを作成あるいは受領するのを可能とする伝播のすべてを意味するが、再許諾は除く。 12

ある著作物におけるある当事者の「主要パテントクレーム」 (essential patent claims) とは、すでに取得しているか取得する予定であり、著作物を作成、利用、販売することによって侵害される可能性がある、当事者が行使する許可を与え得るすべてのパテントクレームを意味する。 13

1. ソースコード

著作物の「ソースコード」(source code)とは、著作物に改変を加えるに当たって好ましいと考えられる形式のことである。「オブジェクトコード」(Object code)とは、著作物のソースコード以外の形式を取ったバージョンすべてを意味する。

実行可能な著作物 14 の「『システムライブラリ』」 15 (System Libraries) には、以下に合致する下位ユニットのすべてが含まれる。そのような下位ユニットとは、 (a) 同一の下位ユニットが、オブジェクトコードが実行される ( もし必要なら ) 特定のオペレーティングシステムの重要かつ主要なコンポーネント ( カーネル、ウィンドウシステムなど ) としてか、オブジェクトコードを作成するのに使われるコンパイラか、それを実行するのに使われるオブジェクトコード・インタープリタかの付属物として通常含まれているもの、あるいは (b)( 付随的な拡張がある可能性は別として ) 下位ユニットが、そのシステムコンポーネントかコンパイラかインタープリタでの著作物の利用を可能とするためにのみ機能するか、広く使われている、あるいは標準的なインターフェースを実装するためのみに機能し、その実装が、ソースコード形式で公衆に対して利用可能となっているものである。 16

オブジェクトコード形式の著作物に「『完全に対応するソースコード』」(Complete Corresponding Source Code) 17 とは、その著作物を理解、翻案、改変、コンパイル、リンク、 生成、インストール、( 実行可能な著作物に関しては ) 18 オブジェクトコードを実行する 、または著作物を改変する 19 上で必要とされるソースコードすべてを意味する。ただし、『システムライブラリ』や、いま列挙した活動を行う上で利用はされるが、著作物の一部ではない汎用のツール、あるいは一般的に利用可能なフリープログラムのうち、そうした活動で改変されずに利用されるものは除外される。『完全に対応するソースコード』には、例えば上記の活動をコントロールするために使われるスクリプトや、プログラムのソースファイルと関連づけられたインターフェース定義ファイル、加えて共有ライブラリや、著作物のその他の部分との間の緊密 複雑なデータのやりとり 20 やコントロールフローなどのためにその著作物が設計上明確に必要とする 21 動的にリンクされた下位プログラムのソースコード 、そしてプログラムのソースファイルと関連づけられたインターフェース定義ファイルなどが含まれる。

また、『完全に対応するソースコード』には、( おそらくあなたによって改変された) 改変されたバージョンの著作物 ソースコードを、 から、 その著作物の機能があなたの改変によって変えられた部分を除きあらゆる場合において元の著作物のそれと同等であるように、推奨される、または主要とみなされる利用形態でインストール、実行し、それによって同じ範囲の状況下においては完全に同じ機能性を実現 22 するのに必要な、すべての暗号化または認証コード キー 23 も含まれる( 例えば、著作物が DVD プレーヤであり、ある DVD を再生することができた場合、改変されたバージョンもそれらの DVD を再生できなければならない。著作物がオンラインサービスと通信する場合、改変されたバージョンも同じオンラインサービスに同じように通信でき、サービス側からは見分けがつかないようになっていなければならない ) 24 さらに『完全に対応するソースコード』には、著作物の出力結果を開封ないしアクセスするのに必要なすべての復号化コードも含まれる。 25 上記に関わらず、著作物の利用自体が、通常ユーザが必要なコード キーをすでに持っていることを暗に示している おり、読み込んだり複製したりすることができる、あるいはプライバシー用アプリケーションの場合にはユーザが自分自身の鍵を生成できるということを暗に示している場合には、そのようなコード キーを含む必要はない。ただし、著作物のオブジェクトコードを基にキーが生成されたり、キーがその利用を制限するハードウェア上にある場合には、『対応するソース』にキーを含むと言う要件は変更されない。 26

『対応するソース』には、正式には本許諾書をそのライセンスとして指定していないが、第 7 項に従い本許諾書に従った著作物に含める資格のある部分を含んでいる可能性がある。 27

完全に対応するソースコード』には、ユーザが『完全に対応するソースコード』の他の部分から自動的に再生成できるものを含む必要はない。

特別な例外として、以下の場合には『完全に対応するソースコード』に特定の下位ユニットを含む必要はない。そのような下位ユニットとは、(a)同一の下位ユニットが、実行形式が実行されるオペレーティングシステムの重要かつ主要なコンポーネント(カーネル、ウィンドウシステムなど)としてか、実行形式を作成するのに使われるコンパイラか、それを実行するのに使われるオブジェクトコード・インタープリタかの付属物として通常含まれている場合、あるいは(b)(付随的な拡張がある可能性は別として)下位ユニットが、そのシステムコンポーネントかコンパイラかインタープリタでの著作物の利用を可能とするためにのみ機能するか、広く使われている、あるいは標準的なインターフェースを実装するためのみに機能し、その実装が、本許諾書が適用されたソフトウェアにとってすでに広く利用可能とはなっていないパテントライセンスを必要としない場合である。 28

2. 基本的な許可

本許諾書の下で認められたすべての権利は、『プログラム』に主張される著作権の条項に基づき与えられるものであり、ここで述べられた条件が満たされている限り覆すことはできない。本許諾書は、あなたが改変されていない 29 『プログラム』を無制限に実行する許可を明示的に肯定する。『プログラム』を実行することによる出力結果は、それが内容として『プログラム』を基にした著作物 『保護された著作物』を構成する場合のみ本許諾書で保護される。本許諾書は、あなたの「フェアユース」またはその同等物の権利を、著作権法によって提供される通りに承認する。

本許諾書はあなたに、『プログラム』の私的な改変と実行に無制限な 30 許可を与える 私的に改変されたバージョン 31 を作成、実行する許可、または他者に対してあなたのために『プログラム』の改変されたバージョンを作成、実行させる許可 32 を与える。ただし、それはあなたが『プログラム』を基にした著作物を作成、利用、頒布する誰にも対しても 誰かに対し、そのような改変されたバージョンのどれかにおいて、あなたの主要パテントクレームのいずれかに関し、本許諾書に準拠した 33 、『プログラム』を基にした著作物の一つを作成、利用、販売、その他伝達したということに対して特許侵害訴訟を提起しない限りにおいてである た場合、そのような改変されたバージョンすべてに関してここで与えた許可は終了する

伝達以外の『保護された著作物』の伝播は、制限なく認められる。ただし、それはあなた以外の当事者がコピーを作成または受領できない限りにおいてである。 再許諾は認められない。第 10 項の規定により、再許諾は必要ないからである。 34 あなた以外の当事者がそうすることを可能とする伝播 伝達「頒布」として、以下の第4 項から第6 で示す条件の下で認められる。 35

3. デジタル制限管理 (Digital Restriction Management) ユーザの権利を技術的手段によって否定してはならない 36

フリーソフトウェアライセンスの一つとして、本許諾書は、著作権の主張される著作物をユーザが複製、改変、共有する自由を制限しようとする技術的試みは生来的に疎んずる。本許諾書のそれぞれの条項は、ライセンサーの意図を明白に述べたこの宣言を踏まえて解釈されるべきである。 37 本許諾書の他の条項に関わらず、ユーザのプライバシーを違法に侵害するような『保護された著作物』を頒布することや、 38 『保護された著作物』を実行するユーザが、本許諾書によって認められた法的権利を最大限に行使することを拒否するような頒布 伝達形態には、一切の許可を与えない。

『保護された著作物』は、 合衆国法典第 17 編第 1201 項における効果的な技術的保護手段 (effective technological “protection” measure)の一部を構成してはならない。すなわち、『保護された著作物』をあるデータを生成あるいはアクセスするシステムの一部として頒布するということは、同じデータにアクセスする能力がある他のソフトウェアに対して、少なくとも本許諾書の下での開発、頒布、利用に関する一般的許可を与えたということになる。 あなたが『保護された著作物』を伝達する場合、あなたは『保護された著作物』の利用を含む技術的手段回避を禁止する法的権力をすべて放棄し、また第三者が著作物のユーザに法的権利を行使する手段として著作物の実行や改変を制限するという意図をすべて放棄することになる。 39 ( 訳注 : 合衆国法典第 17 編第 1201 項の日本語訳については、 http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/code/bill-1998-b.htm などを参照せよ。 )

4.[1] 逐語的な複製

あなたは、『プログラム』のあなたが受領したのと同じソースコードの逐語的な複製を、いかなる媒体でも複製、頒布 伝達してよい。ただしその場合、あなたはそれぞれのコピーにおいて顕著でかつふさわしく、適切な著作権告示を掲載しなければならない。また、すべての許諾告示、あらゆる保証の不在の告示をそのまま保全し、そして『プログラム』の受領者すべてに、『プログラム』といっしょにこの許諾書のコピー ( もしあれば ) 7 項で義務付けられた中央リスト (central list)を渡し、そして、第7 項に従って『プログラム』の一部に存在する追加的条項のすべてに従わ なければならない。これらのコピーの受領者は、本許諾書 ( と第 7 項に従った追加的条項のすべて ) で与えられたすべての権利を保有することになる。 40

あなたは、コピーを送付するという物理的行為に関して、 伝達するそれぞれのコピーに関して 41 いかなる価格を付けても良いし、無料で行っても 手数料を課しても良い。また、手数料を取ってサポートや保証保護 (warranty protection)を提供しても良い。 42

5.[2] 改変されたバージョンのソースの頒布 伝達

『プログラム』のコピーを、第2 項が示した条件に従って改変し、『プログラム』を基にした著作物を形成した場合、あなたは そのような改変点や 『プログラム』を基にした著作物の一つ、あるいはそうした著作物を『プログラム』から作成するための改変点 43 を上記第4項の規定に従ってソースコードの形式で複製、頒布 伝達することができる。ただしその場合、あなたは以下の条件すべてを満たさなければならない。

a) 改変された著作物に、あなたが著作物を変更したということと、あらゆる変更の日時を述べた目立つ告示を載せること。

b) 改変された著作物全体を、全体として、本許諾書の下で、コピーを手に入れた人全員に許諾すること。本許諾書は、下記第7項で許可されているものを除き、改変されることなく著作物全体に、すなわちその全部分に、それがどのようにパッケージされているかに関わらず 44 適用されなければならない。本許諾書はこの他に著作物を許諾する手段を認めていないが、あなたが本許諾書以外で別途そのような許諾を得ていた場合には、それによって得られた許可まで無効とするものではない。

c) 改変された著作物が対話的なユーザインターフェースを有していた場合、適切な著作権告示を表示する便利な機能を搭載し、それによってユーザに対しプログラムには何の保証も存在しないこと(あるいはあなたが保証を提供するということ)、ユーザは改変された著作物をこれらの条件 本契約書に従って再頒布 伝達することができるということ、そして本許諾書のコピーと(もし存在するならば)第7項に合致したその他の条項をまとめた中央リスト (central list)を見るにはどうしたら良いかを伝えること。特に、そのようなインターフェースがメニューのようなユーザコマンドやオプションの一覧を表示する場合、上記の情報を表示するコマンドは目立つように配置されていなければならない。さもなくば、改変された著作物はこの情報を起動時に表示しなければならない。ただし、『プログラム』がそのような対話的モードを持っており、この情報を起動時に表示しない場合は除く。 『プログラム』に、この小項の指定に当てはまらない対話的なインターフェースがある場合、あなたは改変された著作物が起動時に上記の情報を表示するようにする必要はない。 45

これらの要件は、改変された著作物に全体として適用される。 46 あなたによって追加された、改変された著作物における区別可能な一部分が、『プログラム』から派生したものではなく、それ自身として独立の分離した著作物と合理的に考えられる場合 範囲において、あなたがそれらを特に『プログラム』と結合させて利用せず、 47 分離した著作物として頒布 伝達するならば、そのような部分には本許諾書やその条項は適用されない。しかし、同じ部分を『保護された著作物』と結合させて利用するために頒布する際には、そうした結合がどのような形式で起ころうとも、結合された全体は本許諾書に従って許諾されなければならず、その他のライセンシーに対する本許諾書の許可は完全に全体まで、よって全体のすべての部分へと拡張される。あなたの部分には、第7 項で記述されているような限定された方法で、この結合の一部として他の条項が適用されていてもよい。 48

よって、完全にあなた一人で書かれた著作物に、権利を主張したりあなたの権利に挑戦することがこの項の目的ではない。むしろ、この項の目的は『プログラム』を基にした派生的あるいは集合的著作物の頒布をコントロールする権利を行使することにある。 49

一巻の記憶装置か頒布媒体の中かその上にある、『保護された著作物』とその他の分離あるいは独立した著作物との編集物は、その本質からして『保護された著作物』の拡張ではない。このようなものは、編集作業とそれに由来する著作権が個々の著作物が許可する権利を越えて編集物のユーザの著作物へのアクセスや法的権利を制限するのに使われない限り、「集積物」(aggregate)と呼ばれる。『保護された著作物』を単にそのような集積物に含めるだけでは、その集積物の他の部分にまで本許諾書が適用されるということにはならない。

6.[3] ソース以外の形式における 頒布 伝達

あなたはオブジェクトコード形式の『保護された著作物』を、第4項並びに第5項の規定に従って複写、頒布 伝達することができる。ただしその場合、あなたは機械読み取り可能な『完全に対応するソースコード( 文中では「対応するソース」) も本許諾書の規定に従って、以下のいずれかの方法で頒布 伝達しなければならない。

a). オブジェクトコードを物理的製品(物理的頒布媒体を含む)で頒布 伝達する。その際、対応するソースを、ソフトウェアのやりとりで一般的に使われる耐久性のある物理的媒体 に固定していっしょに頒布 伝達する。あるいは、

b). オブジェクトコードを物理的製品(物理的頒布媒体を含む)で頒布 伝達する。その際、最低でも3年、あるいはあなたがその製品モデルに補修用部品やカスタマーサポートを提供する限り有効な、書面による申し出を添付する。その申し出には、全ての第三者に対して、ソースの物理的な頒布にかかる費用の10 倍以下の価格で、その製品に含まれるソフトウェアのうち本許諾書で保護されるものすべてに対応するソースのコピーを、ソフトウェアのやりとりで一般的に使われる耐久性のある物理的媒体で頒布 伝達する旨を記載する。この際、物理的にこのソースの伝達を行うのにかかる合理的なコスト以上の価格を要求してはならない。 50 あるいは、

[b1. オブジェクトコードを物理的製品 ( 物理的頒布媒体を含む ) で伝達する。その際、最低でも 3 年、あるいはあなたがその製品モデルに補修用部品やカスタマーサポートを提供する限り有効な、書面による申し出を添付する。その申し出には、『対応するソース』を無料でネットワークサーバから複製するためのアクセスを提供する旨を記載する。 ] 51

c). オブジェクトコードの個々のコピーを、対応するソースを提供するという書面による申し出のコピーといっしょに私的に頒布 伝達する。この選択肢は特別な場合の非商業的な頒布に 特別な場合、かつ非商業的な場合のみに、そしてあなたがオブジェクトコードを上記小項b 6b または 6b1 52 に合致した申し出といっしょに受領した場合にのみに認められる。あるいは、

d). オブジェクトコードを、指定の場所から複製するためのアクセスを提供することによって頒布 伝達し、対応するソースに対しても同じ場所を通じて同じ方法かつ追加的費用無し 53 で複製するための同等のアクセスを提供する。受領者が、対応するソースをオブジェクトコードといっしょに複写することを義務 ける必要はない。

[オブジェクトコードを複製する場所がネットワークサーバの場合、対応するソースは同等の複製機能をサポートする異なったサーバ上にあっても良い。ただし、あなたはそのサーバの運営者と交渉し、対応するソースを上記の要件を満たすのに必要な期間利用可能にしておくよう、明示的に取り決めておかなければならない。また、オブジェクトコードの傍らに、対応するソースはどこで見つけられるかを明確に指示しておかなければならない。]

e. オブジェクトコードをピア・ツー・ピア伝送を使って伝達する。ただしこの場合、その著作物のオブジェクトコードと『対応するソース』は一般公衆に小項 6d の下無料で提供されるということをあなたが知っており、また他のピアにも知らせておかなければならない。 54

この節に合致し て伝達される『対応するソース の頒布は、公衆に仕様が公開されており、特許によって 妨げられておらず、 ソースコード形式で公衆が利用可能な実装があり、 55 展開や読み込みや複製に特別なパスワードやキーを必要としない形式で行われなければならない。

対応するソースには、正式には本許諾書をそのライセンスとして指定していないが、第7項に従い本許諾書に従った著作物に含める資格のある部分を含んでいる可能性がある。 56

オブジェクトコードの分離した一部であり、そのソースコードが『対応するソース』から『システムライブラリ』として除外されているものは、オブジェクトコードの著作物を伝達する場合に含む必要はない。 57

7. ライセンスの両立性 (License Compatibility) 追加的条項 58

あなたが『プログラム』を基にした著作物を公開するとき、あなたは自らが追加し、あなたが適切な著作権の許可を有しているか、与えることができる部分に対して、そういった部分を保護するあなた自身が定めた条項を含めてもよい。ただし、そういった条項は本許諾書が許可した活動すべてを明示的に許可しているか、本許諾書に従った利用また本許諾書の下での再許諾を許可していなければならない。あなたの条項は別途書かれていてもよいし、本許諾書に追加的な書面による許可を加えたという形でも良い。今述べたような形であなた自身が追加した部分を許諾する場合、そういった部分は分離された形ではあなたの条項の下で利用することができるが、著作物全体としては本許諾書の保護下に留まる。著作物を複製したもの、あるいは著作物を基にした著作物では、あなたの条項を、それらが適用される部分が相当量存在する限り、本許諾書を保全しなければならないのと同様に保全しなければならない。

あなたは『プログラム』、あるいはその一部を、本許諾書の条項を補完するような条項の下で受領したかもしれない。 59 このような追加的条項には、小項 7a で提供されるような追加的許可と、小項 7b で提供されるような追加的要件がある。あなたが保護された著作物のコピーを伝達する際には、その著作物が本許諾書の以前のバージョンの下での利用も許可していない限り、ソースコードのどこか中心的な一点において、その著作物の全体あるいは一部を管轄する追加的条項をすべて列挙しなければならない。 60

  a. 追加的な許可

追加的許可は、本許諾書の要件に一つかそれ以上の例外を設ける。 61 本許諾書の下での再許諾や伝達を許可する条項を含むライセンス文書は、追加的許可のリストとして扱われる。ただしその場合、ライセンス文書はそのような再許諾や伝達において永続する要件が存在しないということを明確にしていなければならない 62

『プログラム』全体に適用可能な追加的許可は、すべてそれらが本許諾書に含まれているかのように扱われ、適用可能な法の下で有効である限りにおいて、本許諾書の条件への例外とみなされる。追加的許可が『プログラム』の一部にのみ適用される場合には、その部分は別途使われる場合はそれらの許可の下で利用できるが、『プログラム』全体は本許諾書によって追加的条項無しで管轄されたままとみなされる。 63

追加的な許可とは別に、あなたの条項では、限定された種類の追加的要件をあなたが追加した部分に追加しても良い。認められる追加的要件は以下の通りである。

b. 追加的な要件

追加的要件は、保護された著作物の利用、改変、伝播にさらなる制約を課す条項である。本許諾書は追加的要件の行使に関する手続きにのみ影響し、それらが著作権者によって成功裡に行使可能であることは主張しない。 64 本許諾書で認められるのは以下に示す追加的要件のみである。 65

a 0) 追加された条項で、ある種の著作権告示や、その他の 指定された合理的な法的告示、あるいは作者特定(author attributions)の保全を義務 てよい。 る条項。あるいは、

  1) また、それらの条項が保護する部分 内容の起源が誤って表示されることがなく、その内容の 変更 改変されたバージョンがオリジナル・バージョンとは異なるということがソースコードにおいて、あるいは特定の合理的な手段で印づけられていることを求めてもよい。 る条項。あるいは、

b 2) 追加された条項で、 本許諾書のそれとは異なる保証や責任の否認を本許諾書で使われているのとは異なる規定として述べてよいあるいは、

c 3) 追加された条項で、指定された貢献者 ライセンサーや作者 66 の名前の宣伝目的での利用を禁止あるいは制限してよい。また するか、または、ある指定の商品名、商標、サービスマークは、明示的な許可がある場合を除き、宣伝目的では適用可能な商標法の下でフェアユースとして認められた方法でのみ使うことを義務 てもよい。 る条項。あるいは、

d 4) 追加された条項で、 それが保護する内容の改変されたバージョンがコンピュータネットワークを介してユーザとやりとりすることを意図した著作物において だった場合、そうしたユーザが即座に完全な 対応するソースコード のコピーを同じネットワークセッション 67 を通じて入手できるようにする機能設備を含むことを義務 てよい。 る条項。あるいは、

e 5) 追加された条項で、ソフトウェア特許の報復を課してよい。すなわち、指定の条件に基づき、あなたが追加した部分の利用許可を、 以前に提起された他のソフトウェア特許訴訟への報復ないし防御として起こされたものか、あるいは侵害したとされるソフトウェアに、保護された内容の一部が、おそらくは他のソフトウェアと結合した形で含まれている場合を除き、ソフトウェア特許訴訟(言い換えればすなわち、あるソフトウェアがある特許を侵害していると主張する訴訟)を提起した当事者に緊密に関連するユーザに対しては、 それが保護する内容の利用許可を完全あるいは部分的に終了あるいは終了させうるとしてもよい。 とする条項。あるいは、 ただしあなたの条件では、報復を以下の二つのケースの部分集合に限定しなければならない。1. 他から起こされたソフトウェア特許訴訟への報復( 元が報復への報復である場合を除く) という正当性を欠いた訴訟。2. この著作物の一部、あるいはどこか他でリリースされたが、あなたが追加した部分と一緒にされ、全体としてはあなたの部分にここで適用された条項の保護下にあるコードに対する訴訟 68 6) 本許諾書で明示的に述べられた要件と種類や範囲が正確に同等な条項、あるいは本許諾書によって、明示的かそうでないかを問わず、許可されていないことが明確な活動への許可を否定するような条項。 69

他の追加的な条件を、あなたの条項として追加してはならない。よって、本許諾書を利用するいかなる著作物にも、他の条件は存在しない。本許諾書はあなたが設けた条項を強制しようとはしないし、それらが正当であるとかあなたによって強制可能であるとか言う主張もしない。単に、あなたがそういった条項を用いることを禁止しないというだけのことである。

弁護士費用に関する条項、法や裁判所 (forum) 、裁判地 (venue) の選択に関する条項、仲裁裁判 (arbitration) に関する条項、必須契約受諾条項 (mandatory contractual acceptance clause) 、著作物の名称変更に関する要件、伝達されたコピーが本許諾書以外のライセンスによって管轄されることを要求する条項など、他のすべての追加的要件は禁止される。 70

c. あなたによって追加、あるいは削除される条項

他者が著作物を改変した際に、彼らがあなたの部分を改変した場合、彼らはそのような部分の彼らのバージョンを、追加的な許可抜きで本許諾書に従いリリースすることができる。その場合には、追加的な許可の効力が無くなったことに関する告示を含めるか、本許諾書に追加して特定の許可を与えた告示を削除すればよい。こうすれば、あなたの条項によって認められているが、本許諾書自体では認められていない幅広い許可が、彼らの改変点、あるいは彼らの改変の結果として生まれたあなたの部分の改変されたバージョンにまで適用されるということはなくなる。しかしながら、あなたの条項によって追加された特定の要件の方は、あなたの追加した部分から派生したものには依然として適用される。

あなたが保護された著作物のコピーを伝達するとき、あなたはそのコピーから、あるいはその一部から追加的許可を削除することができる。 71 いくつかの追加的許可は、あなたが著作物を改変した際にはそれら自身の削除を要求することがある。 72

追加的要件は小項 7b で述べられたもののみが認められる。あなたが受領した『プログラム』がほかの追加的要件を課そうとしていた場合には、あなたはそういった要件を削除して良い。 73

あなたは追加的許可、あるいは小項 7b で認められた追加的要件を、あなたによって保護された著作物に追加され、あなたに著作権許可がある、あるいはあなたが許可を与えることができる内容に適用してもよい。小項 7b で認められていない要件を追加するのは本許諾書への違反であり、第 8 項によるあなたの権利の終了につながる。

本節に従い保護された著作物に条項を追加する場合、あなたは関連したソースファイルにそれらのファイルに適用される追加的条項の告示を載せるか、適用可能な条項が見つけられる場所を示す告示を載せなければならない。 74

著作物が本許諾書の以前のバージョンの下での頒布も許可していないかぎり、この節によって著作物に含まれるすべての他の条項は、いっしょにまとめて著作物中の中央リストに列挙されなければならない。

8.[4] 終了

あなたは『プログラム』を、本許諾書が明示的に規定している場合を除き伝播、あるいは改変、再許諾 75 してはならない。それ以外に『プログラム』を伝播、あるいは改変、再許諾しようとする試みはすべて無効であり、著作権者は誰でも、本許諾書の下でのあなたの権利を、あなたに違反について合理的な手段で通知したときから60 日を経過した後ならばいかなる時にも終了できる。あなたが本許諾書に違反した場合、著作権者は誰でも、最後に違反が行われたときから 60 日以内であれば、あなたに違反について知らせる告知を、いかなる合理的手段でも通告することができる。通告することにより、著作権者はあなたのライセンスをいつでも終了することができる。 76 しかしながら、コピーや権利をあなたから本許諾書の下で受領した当事者に関しては、彼らが完全に本許諾書に準拠している限り、彼らの許諾まで終了させられることはない。

9.[5] 契約ではない コピーの所有に必要とされない受諾 77

あなたは、『プログラム』のコピーを受領あるいは実行 78 するために本許諾書を受諾する必要はない。ピア・ツー・ピア伝送を使った単なるコピーの受領によって起こされる保護された著作物の副次的な伝播も、同様に受諾を必要としない。 79 しかしながら、本許諾書以外に、あなたに対して『プログラム』やその他『保護された著作物』の伝播や改変をする許可を認めるものはない。これらの行為は、本許諾書を受諾しないのであれば著作権侵害である。そこで、『プログラム』(か他の『保護された著作物』)を改変あるいは伝播することにより、あなたはそうするために本許諾書とその規定や条件を受け入れたということを示したとする。

10.[6] 下流ユーザへの自動的許諾

あなたが『保護された著作物』を再頒布 伝達するたびに、受領者は自動的にオリジナルのライセンサーから、本許諾書、あるいは第7項で導入される追加的条項の対象としてその著作物を伝播 実行、改変、伝播する許諾を得る。あなたは、受領者に与えられた、あるいは肯定された権利の行使に対してこれ以上制限を課してはならない。ただし、( 著作物の改変に関して)第7項によって認められた、限定された方法による制限はこの対象外である。そこで、あなたは本許諾書の下で認められた権利の行使に対してライセンス料、ロイヤルティや他の料金を課してはならない。 80 なお、あなたには本許諾書への第三者による準拠を強制する責任はない。

伝播がある組織の支配権の譲渡取引の結果として発生する場合、著作物のコピーを受領するそれぞれの取引当事者は、利害関係のある当事者の前任者から著作物の『対応するソース』の所有に関するライセンスと権利も得る。 81

11. 特許の許諾 82

『保護された著作物』を頒布する場合、 83 あなたは受領者にパテントライセンスを与え、著作物のどのバージョンを受領した誰にとっても、またいかなるすべてのバージョンの『保護された著作物』に対しても、本許諾書によって認められているか予想されている活動すべて、すなわちインストール、実行、著作物のいずれかのバージョンの頒布、その出力結果の利用を許可することになる。 84 このパテントライセンスは包括的であり、ロイヤルティフリーであり、世界的に有効である。 85 このパテントライセンスは、あなたが『保護された著作物』を頒布した時点あるいは将来において、『保護された著作物』、あるいは『保護された著作物』の合理的に予想される利用によって侵害または違反されるすべてのパテントクレームのうち、あなたがコントロールあるいは再許諾の権利を持つものすべてをカバーする。 86

あなたが『プログラム』を受領する際には、『プログラム』や、本許諾書の下で伝達され『プログラム』が基にしたいずれかの内容の、それぞれの作者あるいは伝達者からの約款 (covenant) も結ばれる。その約款では、約款を結んだ当事者が、当事者が伝達した内容に存在する自らのすべての主要パテントクレームを、あなたに対して、あなたが本許諾書の下で権利を行使することに関して主張する ( あるいは他者に主張させる ) ことがないということを述べていなければならない。あなたが保護された著作物を伝達する場合、あなたもまた、保護された著作物を基にした著作物の受領者を含むすべての受領者と、あなたは保護された著作物にある自らのすべての主要パテントクレームを主張しないという同様の約款を結ばなければならない。 87

もしあなたが、『保護された著作物』が再許諾できず一般にすべての人にとって利用可能ではない 88 あるパテントライセンスに依存するのを知っていながら故意に頒布 伝達するならば、下流のユーザを、(1)あなた自身はあなたが得たライセンスで守られた、ありうべき特許侵害クレームから防衛するよう行動しなければならない。 するか、 (2) 保護された著作物の『対応するソース』を、本許諾書の条項の下で無料で、公衆に利用可能なネットワークサーバかその他の容易にアクセスできる手段を通して誰もが複製できるということを保証しなければならない。 89

本許諾書は、適用可能な特許法の下であなたが利用可能な暗黙的許諾、その他の侵害への防御手段を排除したり制限したりするように構成されたものではない。 90

12.[7] 『プログラム』にとっての自由、あるいは死 他者の自由を明け渡してはならない 91

何らかの条件(裁判所の指令や協定など)があなたに課せられ、それが本許諾書の条件と矛盾したとしても、あなたが本許諾書の条件を免れることにはならない。あなたが、『プログラム』やその他本許諾書によって『保護された著作物』を、本許諾書が課す義務と他の関連した義務を同時に満たすように頒布 伝達できないのであれば、結果としてあなたはそれを頒布 伝達することは全く不可能である。例えば あなたが パテントライセンスが、直接的あるいは間接的にあなたから受け取ったコピーを持つすべての人によるロイヤルティフリーな再頒布 伝達認めない 禁止するパテントライセンスを受諾したのであれば、あなたがそれと本許諾書の両方を満たす唯一の方法は、頒布 『プログラム』の伝達を完全に止めてしまうことであろう。 92

あなたを特許やその他の排他的権利を侵害するよう誘導することや、その法的な正当性に挑戦することは本節の目的ではない。本節の唯一の目的は、フリーソフトウェアの頒布システムの一体性を保護することにある。多くの人々がこのシステムの一貫した適用を信頼して、幅広い種類のソフトウェアを頒布するという寛大な貢献をしてきたが、彼あるいは彼女がソフトウェアを他のシステムを通じて頒布したいかどうかは作者/ドナー次第であり、ライセンシーがその選択を強要することはできない。 93

[13.[8] 地理的な制限

ある国において、『プログラム』の頒布 伝達や利用が特許やインターフェース著作権かによって制限されていた場合、『プログラム』を本許諾書の下に置いたオリジナルの著作権者は、それらの国々を明示的に除外する地理的頒布 伝達制限を付けてもよい。こうすることにより、除外されていない国々の中でのみ頒布 伝達は許可される。このような場合、本許諾書は制限を本許諾書の本文に書かれているかのように取り込むものとする。]

14.[9] 本許諾書の改訂されたバージョン

フリーソフトウェア財団は、改訂されたあるいは新しいバージョンのGNU 一般公衆利用許諾書を折りに触れて発行することができる。そのような新バージョンは、その精神においては現在のバージョンと似たものになるだろうが、細部については新たな問題や懸念を解決すべく異なるものになるだろう。

それぞれのバージョンには、区別のつくようなバージョン番号が振られている。『プログラム』において、ある特定のバージョン番号が振られた本許諾書「かそれ以降のいかなるバージョン(or any later version)」が適用されると指定していた場合、あなたは指定の番号のバージョンか、それ以降にフリーソフトウェア財団によって発行されたバージョンのいずれかの規定と条件に従うか選ぶことができる。『プログラム』が本許諾書のバージョン番号を指定していなかった場合、あなたはフリーソフトウェア財団によってかつて発行されたどのバージョンを選択してもよい。

(訳注: 日本語訳のバージョンは日付で管理している。冒頭を見よ。)

15.[10] 例外の要請 94

『プログラム』の一部を頒布条件が異なる他のライセンスの下にある他のフリーなプログラムに取り込みたい場合、作者に連絡して許可を求めよ。フリーソフトウェア財団が著作権を保有するソフトウェアに関しては、フリーソフトウェア財団に連絡せよ。私たちは、時折そのような例外を設けることがある。私たちは、私たちのフリーソフトウェアのすべての派生物がフリーな状態に保たれること、そして一般にソフトウェアの共有と再利用を促進するという二つの目標を鑑みて判断を下すだろう。

無保証

16.[11] 保証の否認 95

『プログラム』には、適用可能な法で許可されている範囲において何の保証もない。書面で述べられていない限り、著作権者やその他の当事者は『プログラム』を「あるがまま(as is)」で、明示的暗示的を問わず、いかなる種類の保証もなく提供する。この保証には、商用可能性や特定目的への適合性の暗黙的保証が含まれるが、これらに限定されない。『プログラム』の質や性能に関するリスクはすべてあなたに帰属する。『プログラム』に問題があると判明した場合、あなたは必要なすべての対応、補修、修正にかかる費用を負うものとする。

17.[12] 責任の限定 96

適用可能な法において義務 けられるか、書面による同意がない限り、著作権者あるいはその他『プログラム』を上記で許可された通りに改変あるいは再頒布 伝達する当事者は、たとえ損害が発生する可能性について事前に通知されていたとしても、あなたに対して損害賠償責任を有しない。ここでの損害には、『プログラム』の利用あるいは利用できないことから発生した一般的、特殊的、偶然的、必然的な損害のすべてが含まれる(データの消失やデータの不正確な解釈、あなたや第三者によって被った、あるいは『プログラム』が他のプログラムといっしょにうまく動作しなかったために引き起こされた損害などが含まれるが、これらに限定されない)。

18. 明確に述べられていない限り、『プログラム』は安全性が極めて重視されるシステムでの利用はテストされていない。 97

規約と条件はここまで 98


1この挿入句的なGNU LGPLへの言及は不要です。また、第7項に即したGNU GPLに対する許可的例外の集合としてLGPLの新バージョンを用意した今となっては、あまり意味がありません。

2DRMは、ユーザが改変あるいは取り替えたプログラムを実行する可能性を否定するような、Treacherous Computingやコンピュータ・ハードウェアにおけるその他の変更を基礎にしたとき、よりたちの悪いものになります。こうした手段がGPLで保護されたソフトウェアに適用されると、プログラムを実行する自由は見せかけでしかなくなってしまうのです。そこで、私たちは前文におけるDRMに関する言及において、こうした技術的制限の強制や補完のために使われる法律の賦課についてではなく、この事実そのものを強調することにしました。(訳注: Treacherous ComputingはFSF独特の用語。通常はTrusted Computing)

3GPLv2の第7項(GPLv3で対応するのは第12項)が防止すべく設計されていた類のパテントライセンス慣行は、ソフトウェア特許がフリーなプログラムを非フリーにしてしまい、ユーザがGPLの下で権利を行使するのを妨げる脅威のいくつかある在り方の一つに過ぎません。GPLv3では、特許の危険と闘うためにより包括的なアプローチを採っています。

4この言明は冗長で、不必要なものです。また、一般にフリーソフトウェアのユーザが理解している通り、GPLがその要件で特に問題としているのは複製や頒布、改変についてですが、GPLでは、例えば、改変されていない『プログラム』を実行する権利の肯定のようなユーザの権利の他の側面についても言及しています。

5脚註4を参照してください。

6「許諾されたプログラム」という用語はドラフト1で定義されていましたが、全く使われていませんでした。

7私たちはGPLv3で使われる用語を国際化しようと試みたのですが、ドラフト1では不完全でした。例えば、「『プログラム』を基にした著作物」(work based on the Program)の定義で、アメリカ合衆国の著作権法における専門用語の「派生的著作物」(derivative work)を使い続けていたのです。また、この定義で使った「含む」(containing)という語の意味があまり明確ではないという指摘も寄せられました。そこで私たちは、「基にした」(based on)という言い回しを特定の国の著作権法体系の語法に依存しない、中立的なものになるよう一般化して定義しなおし、以前の定義をこれで置き換えることにしました。詳しくは「用語の無国籍化に関する意見書」(Opinion on Denationalization of Terminology)をご覧ください。

8私たちは、「改変」(modification)の定義を「改変された(著作物)」(“modified”work)の定義で置き 換え、その上で「基にした」の一般化された新しい定義の基礎として使いました。これによって、アメリカ合衆国著作権法の専門用語である「派生的著作物」を取り込んでしまっていた、GPLv2やドラフト1における定義への代替物が用意できたのです。詳しくは「用語の無国籍化に関する意見書」をご覧ください。なお私たちは、今回置き換えられた「改変」の定義で使われている「(プログラムの)拡張」(extension)という用語は広く定着しており、プログラムへ内容を追加することと同義だと見なしています。また、私たちは『プログラム』の範囲を定めるのは著作権法であって、恣意的なファイルの境界ではないということにも言及しています。

9脚註7と8、加えて「用語の無国籍化に関する意見書」も参照してください。「基にした」の定義は、「『プログラム』を基にした著作物」の範囲を越えて一般化されています。「『プログラム』を基にした著作物」には『プログラム』自身が含まれなくなったことに注意してください。

10「伝播」(propagate)の定義にあった「私的」(private)という用語は、行動を描写する言い回しで置き換えられました。「私的」という語は、法的にも常識のレベルでも、多くの、しかもしばしば互いに衝突するような意味合いを持っています。

11アメリカ合衆国以外の多くの国々の著作権法や、ある種の国際的著作権条約では、「公衆に対して利用可能にする」、あるいは「公衆とやりとりする」ということを著作権者の専有的権利の一つとして認めています。詳しくは「用語の無国籍化に関する意見書」を参照してください。

12「用語の無国籍化に関する意見書」を参照してください。ドラフト1では、ライセンスがある国の著作権法における専門用語の意味に縛られないようにするため、「伝播」を定義しました。しかし、ドラフト1では「頒布」(distribute)という用語はそのまま使い続けていました。この語は、「頒布」という概念を認め、第三者がコピーを作成あるいは受領することを可能にするあらゆる種類の伝播に対して頒布条件を適用するようないくつかの著作権法体系においては、カバーする範囲がまちまちなのです。こうしたアプローチを採ったことが招いた混乱は、私たちのライセンス国際化(中立化)のための努力が不完全なものであったことを示しました。今回ドラフト2では、新しく「伝達」(convey)という語を定義し、著作権法における専門用語とは混同される懼れがない、ソフトウェアの頒布に関するいくつかの慣用的な言及は別として、規定や条件においては一貫して「伝達」で「伝播」を置き換えました。

なお、今回私たちは第2項で再許諾を明示的に禁止しました(脚註34を参照)ので、新しい用語である「伝達」の定義からも再許諾を除外しました(伝播の実例からも除外してあります)。

13 結果的にドラフト2においては「パテントクレームを主張しないという約款」(covenant not to assert patent claims)として実を結んだ、ドラフト1の「明示的なパテントライセンス」という言い回しを明確化するための努力の一環として、私たちは新たに「主要パテントクレーム」(essential patent claims)という言い回しを定義しました。この定義では、ドラフト1よりも精密に、許諾される(あるいは今回の定式化に従えば、主張しないという約款の対象となる)パテントクレームの集合を明記しています。最も注目すべき点は、「合理的に予期される利用」(reasonably contemplated use)への言及が削除されたということです。この言い回しについては、ディスカッション・コミッティーのメンバ数名から不明瞭であるとの指摘がありました。また私たちは、ほとんどの国々で特許権者の基本的な専有的権力を定義するのに使われている動詞(特許が主張される発明を「作成、利用、販売」(making, using, selling)する)を使いました。詳しくは「パテントクレームを主張しない約款に関する意見書」をご覧ください。

14 (原註15)『システムライブラリ』の定義は、実行不可能なオブジェクトコード著作物には適用できません。この定義に従えば、そのような著作物には『システムライブラリ』が存在しないということになります。

15(原註14)『対応するソース』(Corresponding Source、ドラフト1では『完全に対応するソースコード』(Complete Corresponding Source Code))の定義は、本許諾書において最も複雑な定義です。この定義をより明確で理解しやすいものにするため、私たちは第1項の最終段落にあった例外を削除し、それを新しく「『システムライブラリ』」(System Libraries)の定義として書き直し、『対応するソース』の定義の最初の段落で使っています。

16 ドラフト1では、標準的なインターフェースを実装したシステムコンポーネントは、その実装が「本許諾書の下で、ソフトウェアに対しすでに一般的に利用可能とはなっていないパテントライセンスを必要としない」ならば、システムライブラリの例外にあてはまるとしていました。この言い回しは多くの人によって、システムライブラリの例外は、第三者の特許が存在するかどうか調査するという義務を課しているのだと解釈されましたが、それは私たちが全く意図していなかったことです。私たちがいつも念頭に置いているのは、フリーソフトウェアにおける実装のサポートに障害がないということを保証することなのです。そこで私たちは、このことを特許への明示的な言及無しで指定することにし、『システムライブラリ』の定義における改訂された言い回しでは特許への言及が削除され、一方インターフェースには自由に利用可能な参照実装が存在しなければならないとしています。

17『完全に対応するソースコード』を『対応するソース』に短くするという、ありきたりな変更を加えました。ドラフト1でも、第6項ですでにこの短縮形を使っています。

18GPLで保護されているソフトウェア以外の著作物にとっては、オブジェクトコードを「実行する」という概念は一般に意味がありません。

19『対応するソース』の定義のこの部分を改訂するに当たっては、私たちはここでの言い回しの一部があまりに曖昧、あるいは明確な制限に欠けているとする懸念を払拭しようとしました。特にそうした懸念が寄せられたのが、「理解する」(understand)、「翻案する」(adapt)といった動詞に対してですが、これらは元々意図的に幅広く意味が取れるようにしてあったものです。今回私たちが、『対応するソース』に含まれるソースコードとはどんなものかを定義するに当たっては、著作物のオブジェクトコード形式を生成あるいは(そうできるなら)実行できるか、改変されたバージョンを開発、生成、実行できるか、という点に留意しました。

20(原註21)「親密」(intimate)という語を「複雑」(complex)という語で置き換えました。「親密」では分かりにくいという意見があったからです。

21(原註20)ここでは、『対応するソース』に含まれる共有ライブラリや動的にリンクされた下位プログラムとは、著作物が「明確に」(specifically)必要とするよう設計されているものだとはっきりさせました。この定義ならば、著作物によって呼び出されるものの、他の既存の実装とたやすく取り替えることができるライブラリは含まれないということがより明確になります。

22「コード」という用語を「キー」という用語で置き換えました。ソースコードとオブジェクトコードの混同を防ぐためです。

23置き換える前の言い回しよりもこちらの言い回しのほうが明確だと思います。

24この段落の以前のバージョンは、私たちが意図したよりも幅広く受け取られました。今回は特定の例を挙げることで、読者に対し、ユーザがソフトウェアを名目的ではなく実質的に改変するために、ソースコードと共にキーも受領しなければならない状況とはどのようなものなのかを具体的に示しています。詳しくは「デジタル制限管理に関する意見書」を参照してください。

25復号化コードへの言及には多くのコメントが寄せられました。多くの読者にとって誤解を招きやすい書き方だったようです。これは、ユーザが読むことができない暗号化されたデータの生成しかできないようにプログラムが制限されないことを保証するということを意図していたのですが、結局、私たちはこれは必要ないという結論に達しました。ユーザが、本当に彼らが改変したバージョンのプログラムをインストール、実行できる限り、彼らはそうしたければオリジナルのプログラムを改編し、暗号化なしにデータを出力させるようにできるはずだからです。そこで、この一文はドラフトから削除することにしました。

26著作物の利用が、単にユーザがキーを「持っている」ということを暗示するというだけでは、ユーザがそれを使う自由を保証するのに十分ではありません。ユーザは、キーを読んだり複製したりすることもできなければならないのです。そこで、コンピュータ内の特別なレジスタにキーがある、というような場合はこの要件を満たしません。ユーザの個人キーがプライバシーを保護したり個人データの頒布を制限したりするために使われるアプリケーションでは、ユーザは明らかにキーを読んだり複製したりすることができますから、『対応するソース』には含まれないということになります。一方で、キーがオブジェクトコードを基に生成されたり、ハードウェアの中に存在するがユーザがそのキーを操作することはできないという場合には、キーは『対応するソース』の一部として提供されなければなりません。

27この段落は、以前は第6項の最終段落でした。『対応するソース』の定義に含まれていたほうがより適切だと考えられたので移したものです。

28脚註14で指摘した通り、この段落は第1項の第2段落における『システムライブラリ』の新しい定義で置き換えられました。

29『プログラム』がライセンシーによって受領されたままの著作物として定義されているにも関わらず、「改変されていない」という言い回しを追加したのは、この許可を、以下の段落における、特許報復の対象となる許可とより明確に区別するためです。

30厳密に言えば、この許可は、改変されていない『プログラム』を実行する許可と違い、全く無制限というわけではありません。なぜなら、この段落で述べられた条件に従い終了するかもしれないからです。

31「特許報復に関する意見書」でより詳しく説明しますが、この言い回しは明確化のために改訂されました。

32自分のために、誰か他の当事者に著作物を改変してもらう権利は、著作物を改変する権利に本来備わっているものです。ここで明確に述べているのは、特許報復条項の効果を、改変されたバージョンの開発を破棄することによって避けることはできないということをはっきりさせるためです。

33「特許報復に関する意見書」を参照してください。この段落に行った変更は、より正確には、許可と共に許可の終了を発動する訴訟の種類も定義したということになります。例えば、脚註13で述べたように、私たちは新しく定義した「主要パテントクレーム」という用語を使っています。

34再許諾の明示的な禁止は、GPLの行使が常に著作権者によって行われることを保証します。通常、再許諾は、頒布の連鎖において個々のライセンサーと許諾について交渉する手間を省くという意味で実践的に有用、あるいはライセンシーにとって必要と見なされていますが、GPLはこの問題を「自動的許諾条項」という別の違った方法で解決します。

35文章を単純化、明解化するため、私たちは新たに定義した「伝達」という語を使っています。脚註12と「用語の無国籍化に関する意見書」を参照してください。

36ドラフト1では、デジタル制限管理に関連していたのはこの項の一部だけだったので、このタイトルはミスリーディングでした。ドラフト2では、この項はDRMとは直接的には全く関連しません。一部はユーザがDRM付きで入手したフリーソフトウェアを変更することを止めさせる法的手段の邪魔をするよう設計されたものですが、間接的な関係という以上のものではないのです。そこで、私たちはこの項のタイトルをその直接的な目的に焦点を合わせて改めました。私たちのライセンスは、ユーザがソフトウェアを複製、改変、共有する権利を否定する技術的手段や、そういった手段から逃れることを禁止する法律の影響に抵抗するためにできることをします。詳しくは「デジタル制限管理に関する意見書」を参照してください。

37これらのセンテンスでは、曖昧な部分の解決に当たり、ユーザに対してその自由に技術的な制限がかけられるのを保護するという方向で司法がライセンスを解釈するよう導くということを狙っていました。しかし、GPLの要件では、DRMそれ自身に対してどうこうというよりはDRMが課せられたソフトウェアを改変する自由を守るということに集中していますので、その一環として、このセンテンスは削除することになりました。

38ユーザのプライバシーに対する違法な侵入に言及したこの条項では、公共機関の執行努力を補佐するため、開発者に対して著作権を基にしたスパイウェアやマルウェアと闘うための武器を与えることを狙っていました。しかしこの条項に対する皆さんの多くからの反応は圧倒的に否定的なものでしたので、私たちはこれを削除することにしました。

39私たちは第3項の第2段落を幅広く見直し、二つのセンテンスに分割しました。今回最初のセンテンスでは、アメリカ合衆国のデジタルミレニアム著作権法(Digital Millennium Copyright Act, DMCA)における回避禁止条項を特に念頭に置いて言及しています。二つめのセンテンスでは、より一般性のある言明を志向したものですが、その権利放棄や否認はとりわけヨーロッパ連合の著作権指令(European Union Copyright Directive, EUCD)やそれに関連して実施された立法の反回避手段条項の機能への対応を念頭に用意されたものです。GPLv3の起草に当たり、私たちが基本としているアプローチは特定の著作権法体制、中でも特にアメリカ合衆国のそれへの言及を削除するというものですが、反回避手段のためにアメリカとヨーロッパが採っている異なったアプローチにはそれぞれ独特の特徴があるということや、フリーソフトウェアにこれらの法律が投げかける危険の重大性を鑑み、より特化した解決策が必要と判断しました。特に、EUCDは技術的制限手段の実装者に、反回避手段法の実施を放棄する権限を与えるとしています。DMCAではまた違った書き方ですが、DMCAの効果には『保護された著作物』はその「保護」手段の一部となることはないということを宣言するのが最良の対抗策であるというのが私たちの見解です。 「デジタル制限管理に関する意見書」も参照してください。

40第4項の最初の段落における主要な変更点は、『プログラム』の全部ないし一部における追加的条項の存在可能性に関するものです。私たちは、第7項と整合性のない言い回しを削除しました。その言い回しが行っていた仕事は、今では第7項自身が行います。また、私たちは伝達者が、第7項で義務付けられる追加的条項の中央リストを提供しなければならないこと、受領者は完全なGPLの権利に加えて『プログラム』に設定されたすべての追加的条項が与える権利も受領することを明確にしました。

41この条項の元々の言い回しは、GPLがソフトウェアの頒布に課金することを認めているということを明確にするのがその狙いでした。ところが私たちがライセンス中やその他の文書でこのことを努めて説明しているにもかかわらず、GPLはサービスに課金することは認めているがソフトウェアを販売することは認めていないと信じている人や、GPLはダウンロードに関しては無料であることを要求すると思っている人が明らかに存在します。私たちは、課金を「手数料」(fee)として言及しています。「手数料」という用語は、一般にはサービスと関連づけられて利用される言葉です。また元々の言い回しでは、「送付という物理的行為」(the physical act of transferring)についても言及していましたが、ここでの意図は、送付するという実際の行為へ課金するのと、すべての第三者に対してライセンス料を課そうとする試みとを区別しようということだったのです。しかしながら、「物理的」という語は「物理的媒体による頒布のみ」という風にも読むことができます。そこで今回の改訂された言い回しでは、私たちは「手数料」の代わりに「価格」(price)という言葉を使い、「物理的」という用語を削除することにしました。

42明白であるべきことを明示的に指摘することには何の害もありません。そこで、GPLで保護されたソフトウェアを伝達する人はそのソフトウェアのサポートに関して商業的サービスを提供することができるということははっきりと述べておくことにしました。

43改変されたバージョンを作成するために使われるパッチを伝達するのは、改変されたバージョンそれ自身を伝達するのと等価です。

44私たちは、以前はより不格好なやり方で、続く小項5cの文中で述べられていたポイントを、より単純に言い換えて小項5bに追加しました。頒布者が、改変された著作物を巧みに細分することによってGPLのコピーレフト要件を回避することはできません。

45いくつかのパブリック・コメントへの反応として、私たちは小項5cの最後のセンテンスをより明快に書き直しました。中身は変わっていません。

46小項5bによってこのセンテンスは冗長なものとなりました。

47 GPLで保護された特定の著作物の一部として、あるいはそれと結合した形でのみ利用されるよう設計されているが、本体とは別途伝達されるコンポーネントは、別の著作物としてではなく本体となる著作物の一部として見なされるべきです。

48ディスカッション・プロセスにおいて明らかになったことですが、小項5cに続く段落は不必要に難解でした。私たちはこの部分をより短く、そして私たちが思うに、より明解にしたつもりです。他のところ(例えば小項5b)と重複した言明は削除し、「結合」(combination)という用語の利用を制限しました。この語は多くの読者を混乱させたようです。

49この意図の表明は不必要だと考えられるので削除しました。また、この言明にはアメリカ合衆国の著作権法に特有の用語法を使っているという欠点もあります。

50パブリック・コメントのいくつかで為された主張に応じて、私たちはドラフト1で緩められた要件を復活させることにしました。『対応するソース』のコピーの価格はソースの頒布を物理的に行うコストとして合理的なものに限定される、というものです。

51『対応するソース』をネットワークサーバからダウンロードできるようにする、という書面による申し出によって、『対応するソース』を提供するという新たな選択肢は、皆さんに考慮と議論をして頂くために提案したものです。過去、ダウンロードは多くの状況において、多くのユーザにとっては便利な選択肢とは言えませんでした。これはブロードバンド・ネットアクセスが一般化した多くの地域においてはもはや真とは言えません。加えて、最近ではデータをダウンロードし、CDかDVDに収め、それをソースディスクを時たま準備して郵送するコストと比べてもリーズナブルな価格で顧客に郵送するというサービスが登場しています(例えば、ある企業は8.52米ドル払えば、2GBから4.7GBの間のデータを含むDVDを焼いてアメリカ合衆国から他の国々へと発送してくれます)。そのようなサービスが利用できるということは、選択肢6b1は、ブロードバンドへのアクセスがあまり一般的ではない国々のユーザにとってさえ、選択肢6bよりも悪いということはないということを示唆します。

52この選択肢の言い回しは、より明瞭にするために改訂されました。この小項は、個々人間における、個人的で非商業的なコピーの共有を容易にすることを意図しています。

53私たちとしては、以前は暗黙のうちに示していたと思っていたことを、今回は明示しています。バイナリがネットワークサーバからのダウンロードとして提供される場合、この小項に従ってネットワークサーバから利用可能になっている『対応するソース』は、追加的費用無しで提供されていなければなりません。

54 「BitTorrent伝播に関する意見書」を参照してください。

55ここでの主要な目的は、頒布者がソースコードをパッケージするにあたり、一般的によく知られたメカニズムを利用するということを保証したいということです。しかし多くの人は、頒布形式が「特許によって妨げられていない」(unencumbered by patents)こと、という要件は、第三者による特許を調査せよという義務を課すものだと解釈していました。ドラフト2では、標準的な実装に関するシステムライブラリの例外(現在では『システムライブラリ』の定義)の条項と同様、特許への言及を削除し、代わりにソースコード形式による実装が公衆に利用可能であるということを義務付けるようにしています。

56このセンテンスは、第1項における『対応するソース』の定義に移動されました。

57この変更は『システムライブラリ』の定義を活かし、今まで暗黙のうちに示していたものを明示したものです。GPLで保護された著作物をオブジェクトコードで頒布する場合、暗黙のうちにその著作物が依存する『システムライブラリ』まで頒布する責任が発生するということはないということが明確になりました。

58「追加的条項に関する意見書」で説明するように、私たちは第7項を広汎に書き直しました。従来伝統的に理解されてきたような形でのライセンスの両立性(compatibility)は、GPLで保護されたプログラムに追加的条項をどう配置するかという問題が持ついくつかの側面の一つに過ぎないからです。

59ドラフト1の第7項では、追加的条項が元の作者によって『プログラム』全体に適用される可能性を直接的には解決していませんでした。詳しくは「追加的条項に関する意見書」をご覧ください。

60これは中央リスト要件の言い換えで、「バージョン2かそれ以降」を指定した著作物への例外と共に書かれています。以前は第7項の最後に置かれていました。また、ここでは追加的条項が著作物の一部分と同様に著作物全体をもカバーする可能性があるということを認めています。

61GPLの要件への例外として追加的許可を使っている実例として、GNU LGPLのバージョン3を提供します。

62 名目的には制限が緩いか非コピーレフトかのどちらかであるフリーソフトウェア・ライセンスは、暗黙的に再許諾条項を含んでいると仮定されるか、明示的に「他のライセンスの下での」頒布を許可しているかのどちらかです。しかしこうしたライセンスのいくつかは、それが含む要件のすべてが再許諾条項によって打ち消されるのか、それとも要件のいくつかは、何か他のライセンスの条項の下で、名目上頒布するということになるコードの下流ユーザにも適用され続けるのかについては、明確にすることができていません。

私たちは、この問題を小項7aで解決します。再許諾条項を含む正式なライセンスは自動的にGPLv3と両立し、あたかも正式なライセンスには追加的な要件が全く含まれていないかのように扱われます。しかし、それはそのライセンスが、再許諾条項がライセンス中のすべての追加的要件を消し去ると明確にしているときのみです。それ以外は、再許諾条項はGPLv3との両立性を分析する目的としては無視されます。それぞれの追加的要件は、小項7bで認められた追加的要件の一覧の範疇に収まるかどうかを決定するべく考慮されなければなりません。

63この段落の第2センテンスは、ドラフト1の第7項の最初の段落で述べられていたことをより明確に言いなおしたものです。この段落の最初のセンテンスは新しく導入されたもので、著作物全体に適用される追加的許可の効果について言及しています。

64追加的要件の行使については第8項で指定された手続きによることを義務付けます。

65より明解にするため、許可される追加的要件のリストは書きなおされました。また、多様な対応が可能な要件カテゴリを追加しました。

66貢献者(Contributor)というのはいくつかのほかのフリーソフトウェア・ライセンスでは定義されている用語ですが、私たちのライセンスでは使われていません。ここでは、同義の専門用語である「ライセンサー」と「作者」で置き換えています。

67「機能設備」(functioning facilities)というフレーズや、ドラフト1の小項7dの言い回しをパブリック・ネットワークにおける利用を想定していない改変されたコードに適用されてしまう潜在的な可能性に関する懸念はここで解決されています。

68両立可能な特許報復条項に関するドラフト1における小項7eの言い回しは、読者が理解するうえで特に難解なものでした。ここでは、内容を変えることなく完全に書きなおされています。

69 ここまでで列挙したようなカテゴリのどれかにはうまく当てはまらないが、そもそもGPLが同じ要件を明確に設けているか、あるいはその要件が禁止することを明確に許可していないかという意味で厳密には「追加的」とは言えない他の要件を収容するために、このような汎用的カテゴリを用意しました。このカテゴリには、ほかのライセンス文書の条項に含まれる、言い回しこそ異なるが内容的には正確にGPLの条項と同じものであるようなある種の要件も含むことができます。

70今回は、GPLで認められない追加的許可である類の要件の例を、網羅的ではありませんがリストとして提供しています。よく質問としてあがるのが、弁護士費用に関する規定や法の選択条項のようなこれらある種の条項はGPLと矛盾するのか、ということです。そのような規定のいくつかは、典型的には契約を志向した見方から起草されたライセンス文書で見られるものですが、そういったライセンスの起草者やユーザにとっては、どうして私たちが純粋な著作権のライセンスという文脈ではそれらを要件としてみなすのかは明白ではないのかもしれません。 

71私たちは、もはや改変した人による追加的許可の削除を以前のように義務付けてはいません。

72例としては、LGPLv3の小項2bをご覧ください。

73追加的許可と違い、小項7bの下で認められる追加的要件は削除してはなりません。しかし、改訂された第7項は、追加的許可と同じように削除できるほかの追加的要件にはこの条件が適用されないことを明確にしています。ここで特に私たちが懸念しているのは、自らの著作物を、GPLにGPLの条項とは矛盾する追加的要件、たとえば商用目的での利用を禁止する、というようなものを追加してライセンスしようとするプログラム作者の慣行です。そのような条項はプログラムを非フリーにしてしまい、GPLの基本的な目的とは矛盾する可能性があります。しかし、そういった条項が根本的に非倫理的であるとは言えなくても、それらをこのような方法で追加することは必ずライセンシーの権利や義務を不確かなものにするのです。

74ドラフト1の第7項では、追加的条項は書面で書かれていることを要求していました。ドラフト2の第7項の最終段落では、適用可能な追加的条項の告示がどう示されるべきかをより詳しく述べています。

75第2項において再許諾は明示的に禁止されるようになりましたので、第8項でそれに言及する必要はありません。

76より理解しやすくするため、私たちは非自動的な終了手続きを言い換えました。

77ドラフト1の第9項のタイトルに関しては、多くの激しい反対を受けました。それも主に弁護士からです。これは私たちにとっては驚きでした。というのも、私たちが項につけたタイトルは、法的な重要性を持つことを想定したものではなかったからであり、しかも、第9項の内容自体は基本的にGPLv2の第5項から何も変わっていなかったからです。私たちは、第9項のタイトルを、この項の最初のセンテンスを要約するようなものに変えました。

第9項は、それが言うことを意味しています。すなわち、単にコードを受け取ったり実行したりするだけなら、GPLを契約として受諾することもそれを表明することも必要としないということです。より広く言えば、私たちは自らのライセンスを意図的に著作権許可の一方的授与として構成しており、その基本的な運用は契約法の外に存在します。ライセンサーとライセンシーの間に一国法に基づく契約関係があるかどうか、あるとすればいつ成立したかは、必ずしも本許諾書の運用において何か問題になるわけではありません。

78GPLは、第2項が認めていたように、『プログラム』の実行に関しては何の条件も課していません。『プログラム』の受領に関しても何の条件も課していないのと同じです。

79「BitTorrent伝播に関する意見書」をご覧ください。

80ドラフト1では、現在は小項5bになった中核的コピーレフト条項から、部分から「無料で」という言い回しを削除していました。その理由は、今回第4項の第2段落へ加えた変更と関連しています。すなわち、こういう言い回しが、GPLはコピーの頒布に課金することを認めていないのだ、という誤解を広めるのに貢献してきたということです。本来「無料で」という言い回しを使った目的は、第三者からロイヤルティを徴収しようとする試みを防ぐことでした。一方で、これらの言い回しの削除は、ライセンス料の課金がもはやライセンス違反だとみなされなくなる危険を生んでいます。

  そこで、私たちは第10項で、ライセンス料やロイヤルティの課金の明示的な禁止を新たに追加しました。この項はそのような条項を置くのに適切な場所です。というのも、こうした禁止を設けるのは、GPLが保護するコードの下流受領者により強い制限を課すことはできない、という一般的な要件の特定の帰結だからです。

81合併や企業買収を行う当事者は、譲渡される権利や責任に関して不確実性を縮小することにプレミアムを乗せます。これは、もちろんその資産にGPLで保護されたソフトウェアが含まれる企業に関する取引においても同じことです。そのような取引により、従前は内部的に利用、改変されていたソフトウェアに対してGPLの頒布に関する要件が発動されるのか、されるとしたらどの時点でなのかということが、特に懸念されています。そのような懸念を念頭に、ディスカッション・コミッティーの一部のメンバはGPLの譲渡を認めるべきだと提案し、一方他の人は伝播やライセンシーの定義に関して複雑な変更を提案しました。

私たちの立場からすれば、GPLが企業支配権の取引において障害になってはならないという点に関しては全く同意するのですが、GPLがもたらす帰結の回避を特に狙って、取引を巧みに構成することができてしまいそうなのが気にかかります。一つの例として、ある企業があるGPLで保護されたソフトウェアを内部的に使っていたケースを考えてみましょう。その企業がある部門を売却しようとしていたとして、そのソフトウェアの改良点に実装されている企業秘密についてはコントロールを手放したくないとします。そのような場合、企業はソースコード自体を自分自身の手元に留め、バイナリだけを買い手に与えるかもしれません。これは、私たちが思うに、許されるべきではありません。

ドラフト2ではこの問題を、良くない副作用が懸念される条項の定義や譲渡の許可ではなく、支配権の取引を自動的許諾で扱われる特殊なケースとして扱うことで解決します。第10項の第二段落に従えば、支配権の取引においてあらゆる部分、あらゆる形式のGPLで保護された著作物を受領した当事者は、伝播の連鎖におけるすべての上流ライセンスに加えて、利害関係のある当事者の前任者から『対応するソース』を所有するライセンスと権利を得るということになるのです。

82本項のタイトルから「許諾」に関する言及を削除しました。第11項は、もはやパテントライセンスの授与やその下での頒布のみを扱っているわけではないからです。私たちは、明示的なパテントライセンスの授与をパテントクレームを主張しないという約款で置き換え、暗黙に示された権利の保全に関する新しい段落は暗黙の特許許諾に限定されないようにしました。

83ドラフト1におけるパテントライセンスの授与は、ドラフト2ではパテントクレームを主張しないという約款で置き換えられました。脚注87と「パテントクレームを主張しない約款に関する意見書」をご覧ください。

84「主張しない約款」における対応する言い回しとして、私たちは単純に「本許諾書の下でのあなたの権利の行使」を使いました。

85ご覧のように、パテントライセンスの形式主義は約款や保証で置き換えられましたので、これらの制限は不必要になりました。

86明示的なパテントライセンスに言及した最終センテンスの最後の部分は、主張しない約款においては、第0項で定義された主要パテントクレームへの言及で置き換えられました。

87「特許を主張しない約款に関する意見書」でより詳しく説明するように、私たちはドラフト1における明示的なパテントライセンスをパテントクレームを主張しない約款で書きなおしました。「主要パテントクレーム」や「基にした」といった定義された用語を用いた新しい言い回しは、パテントライsンスの言い回しよりも単純で明快だと確信しており、また私たちが公衆やディスカッション・コミッティーから得た明示的パテントライセンスに関する広範なコメントへの返答にもなっていると思います。

ドラフト1では、明示的なパテントライセンスは『プログラム』の作者によって与えられてはいませんでした。しかし、ドラフト2の約款では、元々のライセンサーがそれ以降のすべての他の伝達者として同じ約款を結ぶことを引き受けます。これが、約款が二つの部分(ライセンシーの権利をコヴェナンティーとして、ライセンシーの義務をコヴェナンターとして指定)から構成されている基本的な理由です。

88パテントライセンスが再許諾可能であったり一般に広く利用可能である場合、それらはこの段落が目標としている、下流における特許侵害責任の移動に関するリスクの問題を悪化させるということはありません。

89ディスカッション・プロセスにおいて第11項の第2段落について意見を求めた後、私たちは段落の目的を果たす特定の防御の形式を提供することを決めました。パテントライセンスによって利益を得る保護された著作物の頒布者は、『対応するソース』を公衆ネットワークサーバで利用可能にするよう調整するなどによって、『対応するソース』が無料で公衆に利用可能であり、誰でもアクセスや複製ができるということを保証できます。より汎用的な防御要件はオプションのままにしておきますが、それは、ソースコードの公衆頒布を強制したくはないからです。本項に従う頒布者は、彼らの下流受領者を防御するほかの手段を提供するほうを選好することもできます。

90この規定がなければ、法の運用によって利用可能な暗黙のパテントライセンスやその他の特許侵害防御策が、例えば明示的な「主張しないという約款」によって無効とされるという主張をすることができる可能性があります。私たちは、これらの権利や防御策を可能な限りの範囲においてユーザに保全することが重要だと考えます。加えて、暗黙の許諾や似た類の権利の利用可能性が、第二段落の下でのある種の防御が有効であるために必要である可能性があります。

91私たちはこの項のタイトルをその目的と効果により近いものへと置き換えました。その目的とは、GPLが受領者に約束する自由を完全無欠に与えないような頒布を妨げるということです。以前のタイトルは、ある当事者の頒布の試みによってある特定の状況下において本項が発動されたからといって、別にプログラムが「死ぬ」とは限らないという意味で正確とは言えませんでした。同じ状況に面している他のユーザにとっては、そのプログラムはフリーであり続けるでしょう。

92ここで示した例は、本項を発動するのはパテントライセンスの受諾(条件の自己賦課)であり、またそのようなパテントライセンスの有効な条項が下流の受領者によるGPLの自由の行使を実際に禁止するようなものであることをより明確にするために若干書きなおされています。本項を発動しないパテントライセンスを受諾した頒布者は、それでもなお第11項の第2段落に従う義務があります。

93この段落は、目的を言明していますが、実質的な条項や条件は含んでいません。GPLv2における私たちの経験からすれば、これはもはや必要ではなく、そしてそもそも今まで必要であったこともないということになります。

94GPLv3の最終バージョンからは削除する可能性があるとして、第15項はカッコでくくっています。実際のところ、この項はユーザに対し、作者がGPLの強力なコピーレフトを緩めるような例外を認める可能性があるということを示すという意味で価値があるのですが、現在はそのような例外のための枠組みを、第7項という本許諾書の内部で提供しています。第15項は、許可でも要件もない意味で、GPLの条項の外部に存在する規定なのです。FAQやその他の教育的文書に移すほうがより適切かもしれません。

95本項の説明となるタイトルを追加しました。

96本項の説明となるタイトルを追加しました。

97安全性が重要視されるフリーソフトウェアの開発者や頒布者から歓迎されると思って第18項の新しい免責を追加したのですが、それとは裏腹にこうした人々からの第18項への反応は一般に芳しいものではありませんでした。安全性が重視されるアプリケーションの頒布に関わる企業は、この免責の削除を推奨しました。通常の場合は第16項や17項の汎用的な保証や責任の免責に拠り、特別な免責は必要な時に第7項の下で追加するというほうがよいという見解です。これらのコメントを鑑みて、私たちはGPLv3ドラフトから第18項を削除することにしました。

98このドラフト からは、「あなたの新しいプログラムにこれらの条項を適用するにはどうしたらよいか」という付録部分を削除しました。簡潔化のため、代わりにライセンス文書では別途の文書としてこうした説明を含むウェブページに言及することができます。