LinuxWorld:GPLv3は予定どおりにいくだろう -- Moglen

マサチューセッツ州ボストン — Software Freedom Law Center(SFLC)の会長で常任理事のEben Moglenは、LinuxWorld Conference & Expoで火曜日にBoF(birds of a feather)のプレゼンテーションを主催し、GNU General Public License(GPL)バージョン3の草稿プロセスの進捗状況について論議した。Moglenによると、「Vistaは遅れるし、Office 12も遅れるが、GPLバージョン3は予定どおりにいくだろう」

このBoFに先立ち、GPLv3やSFLCやその他のトピックについてMoglenと話をする機会があった。

GPLv3

この1月、Free Software Foundationは以前から予想されていたGPLの改訂作業に取りかかった。予定では、2007年1月までに終了して使えるようにするということだった。

Moglenによると、GPLv3の注解の分量は予想していたほど大きくないが、公開討論に使われているツールのせいもあって、コメントの質はよくなっているそうだ。

このツールはStetといって、GPLv3プロセスのために特に作られたものだ。Moglenによると、Stetでは、ユーザが自分のコメントを追加する前に、既に作成されているコメントを見るようになっているため、コメントの数を減らす効果があった。また、ユーザはコメントを作成する際にライセンスの特定の部分を選択しなければならないので、「結局見る必要がなかった」コメントの数を減らすことにもなったという。

Stet(のコード)は今のところ公開されていないが、Moglenによると、FSFは近いうちにStetのコードをGPLの下でリリースするそうだ。現在、Stetは自動生成ツールのないXML形式に依存しており、GPLv3草稿でしか使用できない。FSFはこのアプリケーションを完成させて「まもなく」リリースするつもりだという。

DRMと特許

Moglenによると、GPLv3プロセスではこれまでにGPLv3の主要な問題がDRMと特許であることを明らかにしたが、なぜもっと明快で簡潔なライセンスにできなかったのかとの声も若干あったそうだ。GPLv3をもっと明快で簡潔にする方法を大いに提案してもらいたいと思っているが、そうした提案はまだ非常に少ないという。

しかし、Moglenは次の草稿に記載されるはずの多くの変更点を具体的に挙げはしなかった。彼が概略を説明してくれた唯一の変更点は、個人プライバシーの侵害に関係するもので、DRMセクションに含まれる。Moglenによると、著作権法を使って個人プライバシーを強化するというのは面白い考えだったが、規定を設けるとなると異論が出そうなので見送られたそうだ。

Moglenは、Linus Torvaldsがこのライセンスについて作成したコメントにも言及し、カーネル・チームがGPLv3を採用しなければGPLv3にどんな影響があるかという話をしてくれた。LinuxカーネルはGPLの「or any later version」という件を使っていないプロジェクトの1つだからだ。

Moglenは「Linusは私が非常に深刻に受け止めている事柄を述べた」と言ったが、MoglenはTorvaldsのコメントを特に重視しているわけではなかった。また、自分の目標はライセンスをよくすることであり、カーネル・チームがGPLv3を採用しなければ「彼らから見てよいライセンスができなかった」ことになると力説した。

Moglenは「完璧なGPLv2理論」と出合ったことも話してくれたが、これは現行のGPLでまったく問題ないという説である。驚いたのは、GPLv3草稿の発表前に、そういう立場を表明していないと思われる人たちから寄せられたからだという。

LGPLとGFDLに対する変更

アップグレードの対象となっているライセンスはGPLだけではない。Moglenによると、FSFではLesser General Public License(LGPL)およびGNU Free Documentation License(GFDL)の新バージョンの最初の草稿を7月1日までにリリースする予定だ。

Moglenは、これらのライセンスの草稿についてはあまり話さなかったが、現在のGFDLで出てきた問題の一部は新しいGFDLで解決されるかもしれないと語った。特にDebianプロジェクトは、GFDLライセンスで認められているドキュメントの変更不可部分(Invariant Sections)についてのGFDLの条項に関して問題があった。

その他のトピック

先週、SFLCはSoftware Freedom Conservancy(SFC)を立ち上げた。Moglenの見るところ、SFCはフリーソフトウェアにとって — GPLv3を勘定に入れてもなお — 「この春に起きた最大の出来事」かもしれないとのことだ。

Moglenによると、SFCはフリーソフトウェアの開発者たちが自分自身でやろうとすると難しくて時間のかかるサービスを彼らに提供する割安な手段であるという。Moglenは多くのプロジェクトがSFCを活用するようになってほしいと語った。

LinuxWorldトレードショー自体に関して、Moglenは企業がフリーソフトウェアの「理由」を理解し始めていると言った。Moglenは次のように語った。「以前は参加者の多くが、Linuxと周辺ソフトウェアがどこから来るのか分かっていなかったが、だんだん認識が高まってきて、フリーソフトウェアの考え方を理解し始めている。たとえ彼らがRichard Stallmanの言うフリーソフトウェアと同じ意味でこの言葉を使っていないとしてもだ。ベンダの固定化を避けることについて語るとき、彼らは自由のことを言っているのだ。言葉の意味は違っているかもしれないが、以前よりも自由について気にかけている」

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