GNU LGPLv3 Discussion Draft 日本語訳
GNU 劣等一般公衆利用許諾書 (GNU Lesser General Public License)
バージョン3のディスカッション・ドラフト、2006年7月27日
日本語訳、2006年10月16日
これは草稿です。GNU 劣等一般公衆利用許諾書の、正式に発表されたバージョンではありません。
Copyright (C) 2006 Free Software Foundation, Inc.
51 Franklin Street, Fifth Floor, Boston, MA 02110-1301 USA
(訳: 本契約書の内容を、逐語的に複写し頒布することは許可する。しかし変更は認めない。)
This is an unofficial translation of the GNU Lesser General Public License into Japanese. It was not published by the Free Software Foundation, and does not legally state the distribution terms for software that uses the GNU LGPL–only the original English text of the GNU LGPL does that. However, we hope that this translation will help Japanese speakers understand the GNU GPL better.
(訳: 以下は GNU Lesser General Public License の非公式な日本語訳です。 これはフリーソフトウェア財団 (Free Software Foundation)によって発表さ れたものではなく、GNU LGPLを適用したソフトウェアの頒布条件を法的に有効 な形で述べたものではありません。頒布条件としてはGNU LGPLの英語版テキス トで指定されているもののみが有効です。しかしながら、私たちはこの翻訳が、 日本語を使用する人々にとってGNU LGPLをより良く理解する助けとなることを 望んでいます。)
日本語訳は八田真行 <mhatta@gnu.org>が行った。原文は http://gplv3.fsf.org/lgpl-draft-2006-07-27.htmlである。誤訳の指摘や訳 の改善案を歓迎する。なお、日本語訳の利用条件は原文に準ずる。
このバージョンのGNU 劣等一般利用許諾書では、GNU 一般公衆利用許諾書 (GNU General Public License)バージョン3の条項や条件を取り込んだ上で、以 下に列挙する追加的な許可で補足するものとする。
0. 追加された定義
本文中で使われている通り、「本許諾書」はGNU 劣等一般公衆利用許諾書バー ジョン3を指す。「GNU GPL」は、GNU 一般公衆利用許諾書バージョン3を指す。
『ライブラリ』とは、GNU GPLの第0項で定義された『プログラム』のことを指 す。『アプリケーション』とは、『ライブラリ』が提供するインターフェース を利用するが、『ライブラリ』を基にはしていない著作物すべてのことである。 『ライブラリ』によって定義されたクラスの下位クラスを定義するのは、『ラ イブラリ』が提供するインターフェースの利用の一形態と見なされる。「結合 著作物」 (Combined Work)とは、『ライブラリ』の一部を含む著作物であり、 『アプリケーション』を『ライブラリ』とリンクないし結合することで作成さ れる。
結合著作物に対する『最小限の対応するソース』 (Minimal Corresponding Source)とは、結合著作物に対応するソースのことを意味するが、以下を除く:
a. 結合著作物において、分離して考えたときに、『アプリケーション』を基 にはしているが『ライブラリ』は基にしていない部分に対応するソースコー ドすべて。また、
b. 『ライブラリ』の改変されたバージョンと『アプリケーション』を再リン クまたは再結合して作成された、結合著作物の改変されたバージョンをイン ストールまたは実行するのに必要なキーを除いたすべてのキー。
結合著作物に『対応するアプリケーションコード』 (Corresponding Application Code)とは、『アプリケーション』のオブジェクトコードまたはソー スコードを意味する。『対応するアプリケーションコード』には、『アプリケー ション』から結合著作物を再生成するために必要なデータやユーティリティ・ プログラムすべてが含まれるが、結合著作物の『システムライブラリ』は除く。
1. GNU GPL第3項への例外
あなたは、本許諾書の第3項および第4項に従い、本許諾書によって保護された 著作物を伝達 (convey)することができる。その際、GNU GPL第3項の第2段落に 束縛される必要はない。
2. 改変されたバージョンの伝達
『ライブラリ』のコピーを改変し、かつあなたの改変点において、ある機能が (その機能が呼び出される際に引数として渡されるものを除いて)その機能を利 用する『アプリケーション』から提供される関数やデータを参照する場合、以 下のどちらかに従えば、あなたは改変されたバージョンのコピーを伝達するこ とができる:
a. 本許諾書に従って伝達する。ただし、『アプリケーション』が関数やデー タを提供しない場合でも、その機能が依然として動作し、機能の目的のうち 意味あるものとして残った部分はすべて実行するよう誠実な配慮を尽くさな ければならない。
b. GNU GPLに従って伝達する。この場合、本許諾書によってそのコピーに適 用可能な追加的許可は一切認められない。
3. ライブラリのヘッダファイルに由来するコードや各種データを取り込んだオ ブジェクトコード
オブジェクトコード形式の『アプリケーション』は、『ライブラリ』の一部で あるヘッダファイルに含まれるコードや各種データを取り込むことができる。 あなたは、そのようなオブジェクトコードを、あなたが選択したいかなる条項 の下でも複製、伝達してよい。ただし、取り込まれたコードが数値的パラメー タや、データ構造のレイアウトやアクセサー、小さなマクロ、インライン関数 やテンプレート(長さにして10行以下)ではない場合、あなたは以下の両方を行 わなければならない。
a. オブジェクトコードのコピーそれぞれにおいて、『ライブラリ』がその中 で利用されており、『ライブラリ』とその利用は本許諾書によって保護され ている旨を目立つように告知する。
b. オブジェクトコードに、GNU GPLと本許諾書のコピーを添付する。
4. 結合著作物
あなたは、結合著作物に含まれる『ライブラリ』部分の改変を事実上禁止した り、そのような改変をデバッグするためのリバースエンジニアリングを禁止し たりしない限り、結合著作物をあなたが選択したいかなる条件の下でも複製、 伝達してよい。ただしその場合、以下をすべて行う必要がある。
a. 『ライブラリ』が結合著作物中で利用されており、また『ライブラリ』と その利用は本許諾書で保護されるということを、結合著作物のコピーそれぞれ において目立つように告知する。
b. 結合著作物に、GNU GPLと本許諾書のコピーを添付する。
c. 実行時に著作権告示を表示する結合著作物の場合、そういった告示文に 『ライブラリ』の著作権告示と、ユーザに対してGNU GPLと本許諾書のコピー がどこにあるかを示す参照先情報を含める。
d. 以下のどれか一つを実行する:
0) 本許諾書の条項に従い、『最小限の対応するソース』を伝達する。また、 『対応するアプリケーションコード』を、『対応するソース』の伝達に 関してGNU GPL第6項が指定しているのと同様のやり方で、ユーザが『ア プリケーション』を『ライブラリ』の改変されたバージョンと再結合ま たは再リンクして改変された結合著作物を作成するのに適した形式、か つそういった再結合や再リンクを許可する条項の下で伝達する。
1) 『ライブラリ』をリンクするのに適した共有ライブラリメカニズムを利 用する。適したメカニズムとは、(a)実行時すでにユーザのコンピュー タシステムに存在する『ライブラリ』のコピーを利用し、(b) 結合著作 物を作成した際の『ライブラリ』のバージョンとインターフェースに互 換性がある『ライブラリ』の改変されたバージョンと適切に機能するも のである。
5. 結合ライブラリ
あなたは、『ライブラリ』を基にした著作物であるライブラリ機能を、『アプ リケーション』ではなく、かつ本許諾書で保護されていない他のライブラリ機 能と一緒に、単一のライブラリ内で並置し、そのような結合ライブラリをあな たが選んだ条項に従って伝達することができる。ただし、その場合以下の両方 を行わなければならない。
a. 結合ライブラリに、他のライブラリ機能と結合されておらず、本許諾書の 条項に従って伝達される、元のままの『ライブラリ』を基にした著作物を添 付する。
b. その一部が『ライブラリ』を元にした著作物である結合ライブラリに、対 応する結合されていない形式の同じ著作物がどこで見つかるかを説明した目 立つ告示を載せる。
6. GNU 劣等一般公衆利用許諾書の改訂されたバージョン
フリーソフトウェア財団は、改訂された、あるいは新しいバージョンのGNU 劣 等一般公衆利用許諾書を、折に触れて発行することができる。そのような新バー ジョンは、その精神においては現在のバージョンと似たものになるだろうが、 細部については新たに生じた問題や懸念を解決すべく異なるものになるだろう。
それぞれのバージョンには、区別のつくようなバージョン番号が振られている。 『ライブラリ』において、ある特定のバージョン番号が振られたGNU 劣等一般 公衆利用許諾書「かそれ以降のいかなるバージョン (or any later version)」 が適用されると指定していた場合、あなたは指定の番号のバージョンか、それ 以降にフリーソフトウェア財団によって発行されたバージョンのいずれかの規 定と条件に従うか選ぶことができる。『ライブラリ』が特定のバージョン番号 のGNU 劣等一般公衆利用許諾書を指定していなかった場合には、あなたはフリー ソフトウェア財団によってかつて発行されたGNU 劣等一般公衆利用許諾書のど のバージョンを選択してもよい。