GPLv3最終草案を巡るTorvaldsの見解

 GPLv3の討論は間もなく終了する。年内には現実のものとなるだろう。しかし、Linuxカーネル・チームがGPLv3を採用するかどうかは、まだわからない。Linus Torvaldsは以前ほど強くは反対していないが、それでもGPLv3への全面移行を支持しようとはしない。

 先だって、Linux Kernel Developersメーリングリストに「(Torvaldsは)GPLv3最終草案がより穏やかなものになったことに大いに感心している」という主旨の書き込みがあった。これに対して、6月10日、Torvaldsは次のように応じた。

 最悪だった以前の草案に比べて格段に良くなったという意味では、大いに感心した。

 しかし、私は、今も、GPLv2の方が明らかに優れていると思っている。

 二重ライセンスはありそうもない(技術的にも極めて難しい)が、少なくとも理論的には可能だ。ともあれ、GPLv3でライセンスすべき現実的な理由がどう考えても見つからないのだ。私が知る限り、言われている理由は2つしかない。「TiVo化」に対する辛辣な意見(はっきり言っておくが、私は問題はないと考えている)とNovell-MSに関するヒステリックな懸念(すでに沈静化したようだが、極めて率直に言えば、あの議論のかなりの部分はNovellが結んだ提携についてというよりGPLv3を推進するための口実に思える)だけだ。

 これに続いて、Torvaldsは、SunがGPLv3の下でOpenSolarisをライセンスする可能性について次のように書いている。

 ところで、Sunが本当にOpenSolarisをGPLv3の下でリリースするつもりだと仮定すれば、(GPLv3を制定する)十分な理由になるだろう。GPLv3はv2ほどよいライセンスだとは思わないが、一方で私は現実家だ。カーネルが2種類のライセンスの下で2重に出回り摩擦が発生するのが避けられるのなら、GPLv3を支持すべき理由にはなると思うのだ。しかし、それは仮定の話であり、実際には理由はまったく見あたらない。

 個人的には、(この仮定の実現性は)疑わしいと思っているからだ。もっとも、ご存じの通り、私にはJavaのオープンソース化を予測できなかったという前科がある(*)。だから、自分の予測に絶対的自信を持っているわけではない。

Linus

(*)それに、私はSunがリリースする前からそうするよう求めていた――Javaの恐るべき旧ライセンスを論じる私的な集まりで私はBill Joyを見捨てて退場した。

NewsForge.com 原文