「GPLv3」策定のガイドライン発表される

今朝、Free Software Foundation(FSF)は、GNU General Public License(GPL)第3版の策定に向けて、改訂作業のガイドラインおよび作業標準を発表した。Peter Brown(FSF常任理事)は、改訂作業にできるだけ多くの人々を参加させることがこのガイドラインの目的だと言うが、ライセンスの変更に関してFSF側の具体的なアイデアはすぐには発表されないようだ。

Brownは、フリーソフトウェア・コミュニティばかりでなく、GPLソフトウェアのビジネス・ユーザーにも、これから懸案事項がつぶさに検討されるのだということを知って欲しいと考えている。「FSFが著作権を保有するのはGPLソフトウェアのほんの一部分だけであることを認識する必要がある。これは我々にとって興味深い問題だ。今回の作業を通じて、ソフトウェア開発者、ユーザー、企業など、フリーソフトウェアにかかわってきたすべての人々と話し合うことになる。それゆえ透明性が重要なのだ」

Jim Gatto(Pillsbury Winthrop Shaw Pittman法律事務所の知財/特許弁護士)は、GPL第3版をずっと待っていたと言う。「多くの人々がGPLに様々な懸念を抱いている」

「最大の障害はリンクの問題だ。クローズソース・プログラムでのGPLコードの使用について多くの問題が提起されている」と彼は言う。もうひとつの懸念は、Gattoが「オープンソース・ライセンスの拡散」と呼ぶものにある。

「それぞれに別のライセンスが適用される2つのオープンソース・コードを使いたいとき、双方のライセンス条項が矛盾するためにそうすることが不可能な場合がある」とGattoは言う。この問題を解決するため、GPL第3版では純正オープンソース・コードの混合を無制限に認める但し書きが付くと彼は予想する。

Gattoが第3版に期待するもうひとつの項目は特許に関するものだ。「少しややこしいのだが、いくつかの制限について、その精神を失わずに潜在的な問題をできる限り少なくするために、問題点をはっきりさせる必要がある」

意見聴取・改訂作業を促進するため、改訂関連の問題を中心に集められる座長委員会に主だった開発者やビジネス・ユーザーを招請する計画だ。Brownによれば、そこでのすべての意見に残らず目を通し、それに基づいて問題点を明らかにすることになるという。

これらの委員会は提案書を出すことを期待されていて、その提案書はGPLライセンス原版の作者で、フリーソフトウェア・イデオロギーの生みの親であるRichard Stallmanに預けられる。「Richardはのっぴきならぬところまで関与しており、すべての問題を最終的に裁決する立場にある」とBrownは言う。しかし、委員会の作業の重要な側面は「負荷を分散することだ」という。

委員会座長は招請された人だけが務めるが、それぞれの座長は自分の委員会のメンバを自由に選ぶことができる。Brownによれば、FSFでは既に委員会座長の第一候補者リストができており、これからそれが発表されるようだ。

FSFが他のソフトウェア・ライセンスと共存する方向に進んでもFSFのイデオロギーが薄まると考える人はいないはずだとBrownは言う。「コミュニティにとって、フリーソフトウェアの基本原理に立ち戻るよい機会だ。ライセンスが弱まることは決してない。GPLの条項は根本的に変化しない、我々はそれをずっと守ってきたのである。できるだけ多くの意見を採り入れて、できるだけよいライセンスを作ることになる」

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