ディストリビューション・レビュー [4/28更新]

 バザールモデルで開発されているLinuxの世界では、日々、新たなディストリビューションが誕生しており、その数は増加し続けている。また、Linuxに比べて数は少ないものの、BSDの世界でもデスクトップ用やファイルサーバ用といった特定用途向けの派生物が生み出されている。ここでは、数多あるオープンソース・ディストリビューションのレビュー記事をお届けする。

確実な進化を感じさせる「Ubuntu 9.04」 2009年04月28日
 世界的に現在もっともポピュラーなLinuxディストリビューションといえば、Debian GNU/Linuxをベースに誰もが使用可能なデスクトップOSを目指して開発されているUbuntuであることに間違いない。DistroWatchのページヒットランキングでも、2005年以降は常にNo.1の座をキープしている。もともとデスクトップ用途でスタートしたディストリビューションだが、最近のバージョンでは、サーバ用途に特化したサーバ版も公開されている。2009年4月23日に、その最新版であるUbuntu 9.04(コード名「Jaunty Jackalope」)がリリースされた。オフィシャルサイトでは、デスクトップ版(Ubuntu Desktop Edition)、サーバ版(Ubuntu Desktop Edition)が1枚のCDイメージ(32ビット版および64ビット版)とし公開されているほか、今回はネットブック用のNetbook Remix版も同時公開された。なお、デスクトップ版に関しては、Ubuntu Japanese Teamによって日本語環境を強化した「9.04 Desktop 日本語 Remix CD」(32ビット版)がダウンロード可能だ。 [記事全文]

サーバOSとしても進化しつつある「PC-BSD 7.1」 2009年04月21日
 伝統的なBSD UNIXの流れを汲むオープンソースのディストリビューションとして、真っ先に名前が挙げられるのがFreeBSDであろう。FreeBSDはその安定性と信頼性により、サーバ用途としては確固たる地位を築いているが、エキスパート向けともいえる操作性からデスクトップ分野ではほとんど普及していない。今回紹介する PC-BSD は、その FreeBSDをベースに、主にデスクトップOSとしての使いやすさを目指して開発されているディストリビューションである。最新版は、FreeBSD 7.2-PRERELEASEをベースとする「PC-BSD 7.1 Galileo Edition」だ(2009年4月10日リリース)。最近のバージョンでは、日本語環境も整いつつある。フリーのデスクトップOSの選択肢のひとつとして試用してみるとよいだろう。 [記事全文]

相互運用性が強化された「SUSE Linux Enterprise 11」 2009年04月14日
 ノベルが提供するSUSE Linux Enterprise(以下、SLE)は、Red Hat Enterprise Linuxと双璧をなす商用Linuxディストリビューションだ。その最新版である「SUSE Linux Enterprise 11」が2009年3月27日にリリースされた。高度なシステム管理、Windowsとの高い相互運用性、安定した仮想化環境など、エンタープライズ市場に不可欠な機能をサポートする。 [記事全文]

円熟期に入ったRHELクローン、CentOS 5.3 2009年04月07日
 商用Linuxディストリビューションとして圧倒的なシェアを誇る、Red Hat Enterprise Linux(以下「RHEL」)。今回紹介する CentOS は、そのRHELから商標や商用パッケージなどライセンス的に問題になる部分を取り除いて、再構築したフリーのディストリビューションだ。もちろん、Red Hatからのサポートは受けられないが、RHEL互換の安定サーバ環境を無償で構築できるため、特にサーバ用途として人気の高いディストリビューションとなっている。なお、RHELは多くのアーキテクチャをサポートするが、CentOS 5.3がサポートしているのはi386およびx86_64のみである。 [記事全文]

PCトラブル発生時の心強い味方「SystemRescueCd」 2009年03月31日
 今回はちょっと毛色の変わったLinuxディストリビューションとして、データ救出のアーミーナイフとも評される SystemRescueCd を紹介しよう。SystemRescueCdは、クラッシュ時のデータの復旧、ディスク・パーティションの管理やバックアップ、システムメモリのテストといったシステムレスキュー用途に特化した、Gentoo LinuxをベースにしたLinuxディストリビューションだ。ext2/ext3/ext4、ReiserFS、Reiser4、btrfs、XFS、 JFS、VFAT、NTFS、ISO9660といった主要なファイルシステムに対応し、ライブCDとして提供されている。USBメモリーにインストールすることも可能なので、ネットブックなど光学ドライブを持たないシステムでも利用できる。 [記事全文]

OpenSolarisのデスクトップ進化形 Jaris 2009年03月24日
 かつてLinuxがPoor man’s Solarisと揶揄されていたのは遙か昔、今では商用UNIXのシンボル的存在であったサン・マイクロシステムズのSolarisも OpenSolarisとしてオープンソース化される時代となった。今回紹介するJaris(ヤリス)は、OpenSolarisをベースに、デスクトップOSとしての使いやすさ加えること目指して開発されている国産のディストリビューションである。ファイルシステムにはほぼ無限のスケーラビリティや高速スナップショット機能などで話題のZFSを採用し、Windowsアプリケーションの実行機能、キヤノン・エプソン製プリンタドライバの同梱などで、正規版の登場以前から注目を集めている。 [記事全文]