Red Hat Summit 2007――最終日:授賞式とMoglen 2007年5月16日19:34 5月11日、サンディエゴで開催されていた第3回Red Hat Summitが幕を閉じた。この日に予定されていた日程は半日。掉尾を飾ったのは第1回Innovation Awardsの発表式だったが、私はEben Moglenに独占インタビューをしていたため会場には行けなかった。その代わり、世界を変えるための秘法を知ることができた。
FSFによるLGPL新規ドラフトのリリース 2007年4月6日10:06 Free Software Foundationから先日、GNU Lesser General Public License(LGPL)第3版の第2ドラフトがリリースされた。今回の新規ドラフトでは全体的な改訂が施された他、LGPLとGPL(GNU General Public License)との連携の強化、新たな“linked version”(リンクされたバージョン)という概念の導入、結合著作物(combined work)の頒布に関する条件の追加が行われている。
Stallman氏とTorvalds氏、NovellがGPLv3についてコメント――「GPLv2の実用的な代替案になるだろう」(Torvalds氏) 2007年4月2日09:53 先日公開されたGNU一般公衆利用許諾契約書バージョン3(GPLv3)のドラフト第3版に対し、相次いでコメントが寄せられている。これまでのところ、フリーソフトウェア財団(FSF)の創立者Richard M. Stallman氏、Linuxの生みの親Linus Torvalds氏、Novellのグローバル広報ディレクタBruce Lowry氏の意見が届いている。彼らの反応からは、いくつかの新たな観点と、コンセンサスの形成に向けて考えられる少なくとも1つの動きが浮き彫りになる。同時に、このドラフトをめぐって数日後に始まる議論の行方を決定づけそうな論点も明らかにされている。
GPLv3ドラフト新版:特許やロックダウン技術に対する新たなアプローチを導入 2007年3月30日10:35 FSF(フリーソフトウェア財団)がGPLv3(GNU一般公衆利用許諾書バージョン3)のドラフト改訂第3版をリリースした。今回のドラフト新版で行なわれた変更のうち、説明や法律的な文言が増えたことやGPLの新たな側面を反映するための細々とした変更点については、特に問題なく受け入れられる可能性が高そうだ。しかし今回のドラフトでは、特許に関する文言の明確化(Novell社がMicrosoft社と結んだ類いの契約の再発防止をねらうものなど)ばかりか、物議をかもしがちな問題であるロックダウン技術(ユーザの自由を束縛/妨害する技術)に対する新たなアプローチなど、一筋縄では行かないであろう変更も一部に含まれている。
ロイターによる再度の誤報に意見する 2007年3月29日13:45 ロイターから配信されたニュースによると“Linux陣営”(Linux camp)なる存在が現在、MicrosoftとNovellとの提携に対して“妨害工作”を画策しているそうだ。1つ不思議に思うのだが、ロイターという会社は、Linuxコミュニティに関する虚報を流すことに何か特別な意図を持っているのか、あるいはそうではなくLinuxコミュニティのことを根本的に誤解していてそれを正す意思がないのか、いったいどちらなのだろう……。
FSFがGPLv3策定の最終段階を変更 2007年3月29日10:04 フリーソフトウェア財団(FSF:Free Software Foundation)は、GNU一般公衆利用許諾契約書のバージョン3(GPLv3)を策定する最終プロセスの変更を進めている。FSFの常任理事Peter Brown氏は、この変更の理由として、次のドラフトにおける改訂範囲が広いことと、策定の正念場を迎えるにあたって「FLOSSコミュニティに改めてこのプロセスに関わってもらう」必要があることを挙げている。なお、今回の改訂内容は、最近のNovellとMicrosoftとの協定によって持ち上がった問題や、特許とデジタル著作権管理(DRM)に関わる言い回しについてコミュニティから提起された問題に対処するものになる。
ChangeLog:FSFの2つの賞はSahana ProjectとTed Ts'oの手に 2007年3月29日10:00 Free Software Foundation(FSF)が2006 FSF Awardsの受賞者を発表した。Award for Projects of Social Benefitは災害救援活動を管理するために創設されたフリーソフトウェア・プロジェクトSahanaに、Award for the Advancement of Free Softwareは、Linuxカーネルに関する仕事など、フリーソフトウェアに対するTs’oの生涯にわたる貢献を讃えてTheodore Ts’oに贈られた。
Novell-Microsoft協定によるGPLv3の遅れ 2007年3月22日11:02 2006年11月のNovellとMicrosoftとの協定により、GNU一般公衆利用許諾第3版(GNU GPLv3)の最終ドラフトの公開が遅れている、とフリーソフトウェア財団(FSF:Free Software Foundation)の常任理事Peter Brown氏は語る。
FSFE、新設のFreedom Task Forceによりコミュニティを支援 2007年3月9日10:25 米国ではFSF(フリーソフトウェア財団)が、唱道キャンペーンやGPL(GNU一般公衆利用許諾契約書)の次期バージョンについての協議過程などを通してコミュニティとの接触を保ってきた。それに対して欧州ではFSFE(欧州フリーソフトウェア財団)によってFTF(Freedom Task Force)と呼ばれる組織が設立され、FTFがコミュニティ支援の役割の多くを担っている。FTFはまだ比較的新しい組織だが、著作権問題に対する独特なアプローチによってヨーロッパにおけるフリーソフトウェアの教育やライセンス準拠といった分野ですでに実績を上げ始めている。
決して万能とは言えないFSFEの信託ライセンス契約 2007年2月22日10:42 今週、Free Software Foundation Europe(FSFE、フリーソフトウェア財団ヨーロッパ)は、Fiduciary License Agreement(FLA、信託ライセンス契約)公開の声明を出した。FLAとは、フリーソフトウェア・プロジェクトが著作権をまとめて単一の組織または被信託者の管理下に置くという形の著作権譲渡の契約である。FLAのねらいは、大規模プロジェクトにおける著作権管理の問題を緩和すること、また世界共通ではない著作権の差異を吸収することにあるが、厳密にどれだけの重要性や有用性、または必要性がこの契約にあるかは、フリーソフトウェア・コミュニティのどの人物に相談を持ちかけるかによって変わってくる。またFSFEは、本家である米国のフリーソフトウェア財団の忠告にある程度逆らってまでこうした動きを進めているようだ。
NovellがLinuxを失う――いえ、誤報です 2007年2月8日10:22 注 おそらく、責任はReutersのJim Finkleに帰せられるだろう。インターネットに流れた途方もない誤報の発端は、同記者の記事だからだ。ご存じだろうが、同記者はNovellがLinuxを配布する権利を失うと報じた。
BSD派生ディストリビューション全体に影響しうるライセンス問題の発覚 2007年1月11日09:44 FreeBSDカーネルにGentoo Linuxのデザインコンセプトを組み合わせるという構想のGentoo/FreeBSDプロジェクトは現在、非常に微妙な立場に追いやられている。すべての発端は、同プロジェクトのメイン開発者であるDiego “Flameeyes” Pettenò氏がlibkvmライブラリとstart-stop-daemonに関する作業を進めている際に、1つのライセンス問題の存在に気づいた事であった。Pettenò氏の説明するところでは、その問題は同氏のプロジェクトに大幅な制限を課す可能性のみならず、その他すべてのBSD派生プロジェクトにも影響を及ぼす危険性すら秘めていると言うのだ。
Free Ryzom、緒戦は敗退するも戦いを継続 2007年1月5日09:57 Free Ryzom キャンペーンは先の入札で MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG) 「Ryzom」の所有権の獲得に失敗したが、 また別のゲームの開発や獲得に向けて新たに再出発をしようとしている。 ただし今はまだ、その新たなキャンペーンの戦略がどのようなものとなり、 どれほどの支持を得られるのかは定かではない。
2006年:FSFが社会に働き掛けを行なった年 2007年1月4日09:01 2006年が始まった頃のFSF(フリーソフトウェア財団)と言えば、およそ内向的で、自分たちの活動それ自体にしか目を向けていなかった。例えば、GNUプロジェクトのような開発作業やライセンス問題のような高度に戦略的な事柄などのように、自分たちの活動そのものや自分たちの活動に直接的に関わってくる事柄 にしかほとんど関心がなかった。それが今や、それらの活動だけにとどまらず、以前はしていなかったような活動(例えば、支持者へと働き掛けを行ない、ハッカー以外の人からの協力/支持を集める必要があるような市民運動への参加を呼び掛けることなど)にも手を広げ、公然と社会活動家組織へと変貌を遂げている。とは言え今はまだ、このような変化によって当のFSF職員でさえも呆然と立ち尽くしてしまっている状態だ。
FSF、MMORPGキャンペーンを最優先課題に設定 2006年12月20日09:32 Free Software Foundation(FSF)はFree Ryzom Campaignを今後のフリーソフトウェア運動にとっての最優先プロジェクトと位置づけ、同キャンペーンに60,000ドル拠出することを明らかにした。同キャンペーンは、破産したソフトウェア開発会社が開発したMMORPG(Massively Multiplayer Online Roleplaying Game)Ryzomのコードを、同社の破産手続きの際に買い取ろうと活動している。
gNewSenseがFSF公認ディストリビューションに仲間入り 2006年11月14日10:33 スプラッシュ画面やその他ブランディング要素の向こう側をどのように想像しようと、最近発表されたばかりでUbuntuのDapper Drakeリリースではまだ利用できないLinuxディストリビューションgNewSenseには、目新しい点がほとんど見当たらないだろう。実際、このディストリビューションを支えるアイルランドのフリーソフトウェア支持者、Brian Brazil氏とPaul O’Malley氏によると、gNewSenseのハードウェアの認識率が特に無線カードについてはUbuntuよりも低いことにユーザは気付くかもしれないという。では、誰がどんな理由でgNewSenseを使うというのだろうか。
FSFはGPLv3の変更を分割すべし 2006年10月20日10:35 解説:GNU General Public Licenseの3番目のバージョン(GPLv3)を策定するプロセスは、命運が尽きたわけではないが、Linus Torvaldsらのカーネル開発者の批判が厳しいことで失速した様子だ。プロセスがこれまでと同じ方向に進んだとしても、現在GPLを利用している大勢のユーザが新しいライセンスに切り替えない可能性がある。その結果がもたらす重大な影響のリスクをあえて受け止める覚悟がフリー/オープンソース・ソフトウェア(FOSS)コミュニティにあれば別だが、そろそろ戦術を見直す時期だろう。
GNU LGPLv3 Discussion Draft 日本語訳 2006年10月16日14:00 GPLv3 ディスカッション・ドラフト2の議論と並行して改訂が進められている、LGPLの新バージョンLGPLv3のディスカッション・ドラフトの日本語全訳を公開する。なお、この訳に関する意見や誤訳の指摘は、本記事へのコメントとして寄せて頂けるとありがたい。
GPLv3 Discussion Draft 2 Rationale 日本語訳 2006年10月16日09:00 GPLv3 ディスカッション・ドラフト2に付随して発表された、趣旨説明書 (Rationale)の日本語全訳を公開する。以前の趣旨説明書と違い、原文の修正・追加点に網羅的な注釈を付けるという形式になっている。かなり大部で込み入った内容ではあるが、一連のGPLv3を巡る議論の理解には欠かせない。なお、この訳に関する意見や誤訳の指摘は、本記事へのコメントとして寄せて頂けるとありがたい。
FSFに辟易するLinus Torvalds氏 2006年9月29日10:37 先週金曜(9月22日)、GPLv3のドラフトを非難する声明書が数名のカーネル開発者によって公表された。これを受けて、Software Freedom Law Center(SLFC)の議長Eben Moglen氏は昨日、GPLv3の策定プロセスへの参加を求める「新たな案内状」をカーネル開発者に宛てて出すことになった。Moglen氏の文面に対し、Linus Torvalds氏は、GPLv3に対する自分の立場ははっきりしており、FSFにはいい加減うんざりしていると応じた。