FSF、米パソコン業者と協力してフリーなマシンを開発

 GNU/Linuxがきちんと動作するハードウェアを見つけるのは簡単ではない。ましてや、完全にフリーなシステム、つまりプロプライエタリなドライバやファームウェアを一切使わずに動作するマシンを探すとなると、作業は困難を極める。印刷はOpenPrinting、スキャナはSANEのデータベースというように、個別の機能については情報が得られるが、フリーシステム全体の情報を得られる場所はほとんどないに等しい。この間隙を埋めるべく、フリーソフトウェア財団(FSF)では、GNU/Linuxをサポートするハードウェアのリストの作成を独自に進めている。そして、次の1歩として、米でパソコン販売を手がけるLos Alamos Computers(LAC)と協力して、GNU/Linuxをプレインストールしたフリーなコンピュータを世に送り出す試みを始めた。

FSFが模倣品・海賊版拡散防止条約に反対の立場を表明

 模倣品・海賊版拡散防止条約(Anti-Counterfeiting Trade Agreement:ACTA)をどの国が調印するかはまだ誰も知らないが、不穏な兆候が散見されることから、Free Software Foundation(FSF)は予想される事態への注意を広く喚起するためにキャンペーンを開始した。FSFキャンペーン・マネージャのMatt Lee氏によると、ACTAは「恐怖と疑惑の土壌を生む」ものであり、最悪のシナリオの場合フリーソフトウェアに悪評を与え、悪者に仕立て上げる危険性がある。

GPLv3リリースから一年

 今から一年前の2007年6月29日、18ヶ月におよぶコミュニティや企業関係者との幅広い議論を経てGPL(GNU一般公衆利用許諾契約書)LGPL(GNU劣等一般公衆利用許諾契約書)の第3版がリリースされた。さらに11月にはAGPL(GNU Affero一般公衆利用許諾契約書)の第3版もリリースされた。FOSS(フリー/オープンソースソフトウェア)動向の専門家たちは現時点でのこれらのライセンスについて、成功度はほどほどだとしながらも、フリーソフトウェアの啓蒙に寄与し続けているという点で評価している。

自由なソフトウェア開発活動の支援を通じて世界に貢献するBradley Kuhn氏

 Software Freedom Law Centerの創立メンバの1人であるBradley Kuhn氏は、フリーソフトウェアという理念の古くからの擁護者であり、FLOSSコミュニティにおいて最大の発言力を有す人物とも目されている。そして先日Linux.comは、以前にFree Software Foundationの取締役を務めていた同氏から最近の活動状況について話を伺うことができた。

ソフトウェア特許に強気で臨むEnd Software Patentsプロジェクト

 発足から4か月を経たEnd Software Patents(ESP)プロジェクトが、新たなWebサイトの立ち上げを進めている。このサイトには、経済学者、コンピュータサイエンティスト、弁護士、そして一般の人々がこのプロジェクトを支援すべき理由が述べられている。特に目を惹くのが、2006~2007年の米国特許情勢をまとめたレポート、そして“米国法の下におけるソフトウェアおよびビジネスモデルの特許性の影響について論じた最も優れた論文”に賞金10,000ドルが与えられる奨学金コンテストだ。

Trend Microの特許戦略が火種となり、FOSSコミュニティでボイコット機運が盛り上がる

 Trend Micro側としてはBarracuda Networksに対する特許侵害訴訟はフリーソフトウェアをターゲットとしたものではないと主張するかもしれないが、フリー/オープンソースソフトウェア(FOSS)コミュニティのメンバはとてもそうは受け取らないだろう。実際、最大の当事者であるBarracuda NetworksのCEO兼代表を務めるDean Drako氏によると、Barracuda側が先週末にこの件に関する支援をコミュニティに要請したところ“膨大な数の人々”からのコメントが寄せられたとのことだ。そしてより重大なことに、Trend Microの主張が引き金となって同社へのボイコット機運が高まりだしているのである。

FOSSにおける絶妙な中庸を目指して

 昨年、DellがUbuntuを搭載した一般向けのデスクトップおよびノートPCの提供を開始し、その他の大手コンピュータ会社に先鞭をつける形となった。これに伴い、DellはPC製品のパッケージに何を含めるべきかという点で議論が重ねられた。Dell製PCにUbuntu 7.10のカスタマイズ版とLinDVD(市販のLinux用DVD再生ソフトウェア)が含まれていることを取り上げた最近のiTWireの記事に対しては、法律面での疑問からDellの真意に至るまでのさまざまなコメントが生粋のFOSS支持者たちから寄せられた。明らかに、FOSSコミュニティはユーザを満足させようとしてさまざまな方向に引っ張られている。果たしてほどよい中庸というものは存在するのだろうか。つまり、FOSSコミュニティは純粋主義者と実用主義者の間を取り持ちながら、有用な成果物を提供し続けることができるのだろうか。

ソフトウェア特許侵害で訴えられた企業がFOSSコミュニティに支援を要請

 Trend Microから起こされた特許訴訟を闘うにあたり、Barracuda NetworksはFOSS(フリー/オープンソースソフトウェア)コミュニティに支援を求めた。この訴訟は定評のあるFOSSのセキュリティソフトClam Antivirus(ClamAV)を巡るもので、Barracuda社は自社のファイアウォールおよびWebフィルタリングのハードウェア機器製品と共にこのソフトウェアを配布している。

機能のすきまを埋めるGNU PDF

 多くの平均的ユーザから見れば、GNU/LinuxにおけるPDFファイルのサポートはかなり進んだように思えるだろう。PDFファイルの作成、表示、編集にはそれぞれOpenOffice.org、Kpdf、pdftkまたはPDFeditのようなプログラムを利用することができる。だがそれで終わりではない、と語るのは最近誕生したGNU PDFプロジェクトの創設者Jose Marchesi氏だ。「残念ながら、既存のフリープログラムには多くの機能が欠けている」。フリーソフトウェア財団(FSF:Free Software Foundation)がGNU PDFを最優先プロジェクトの1つとし、その進捗を速めるための寄付を積極的に求めている最大の理由はそこにある。

ネットワーク分散型ソフトウェアを想定したFSFライセンスのリリース

 GPLv3(GNU General Public License version 3)がリリースされてから約5カ月の間を経て、今回Free Software Foundation(FSF)からはGNU Affero General Public License(GAGPL)が公開された。これによりFSFの定める主要ライセンスの改訂作業はすべて完了したことになる。このGAGPLの適用対象としては、Webアプリケーションやサービス型ソフトウェアなどのネットワーク分散型ソフトウェアが想定されている。

GNU LGPLv3 日本語訳

去る6月末、GNU GPLv3と共に正式リリースされた、GNU Lesser General Public Licenseバージョン3 (LGPLv3)の日本語全訳を公開する。読みやすさ、理解のしやすさを旨に訳出した。訳に関する意見や誤訳の指摘は、本記事へのコメントとして寄せて頂けるとありがたい。

GPLv3は企業ユーザーへの「招待状」――FSF代表ストールマン氏が強調 「プロプライエタリ製品はビジネスの革新を妨げる!」

 フリー・ソフトウェア・ファウンデーション(FSF)は6月29日、フリー・ソフトウェア・ライセンス規約「GPL(GNU General Public License)」の新バージョン「GPLv3」を正式にリリースした。FSFの代表、リチャード・ストールマン氏は、GPLv3のリリースを記念して米国マサチューセッツ州ボストンにあるFSF本部で開催されたイベントで、企業が非プロプライエタリ技術を使わないのは「愚かなことだ」と言い切った。ベンダーが販売するプロプライエタリ製品を使い続けることは、企業にとってビジネスの革新を妨げると同時にセキュリティを弱体化させる行為である──というのが、GPLの16年ぶりの改訂で意気あがるストールマン氏の主張なのである。

GPLv3に対するOpen Source Initiativeでの承認を求める投稿

 Free Software Foundation(FSF)よりGPLv3(GNU General Public License version 3)が正式にアナウンスされてから2時間と経たないうちに、Open Source Initiative(OSI)のlicense-discussメーリングリストにおいて、「OSDに準拠したライセンスとしてのOSIによる認可を検討して頂きたく、下記のライセンスを提出する次第です」という内容のメッセージが投稿された。

FSF、GPLv3をリリース──策定プロセスのまとめと今後の活動

 FSF(フリーソフトウェア財団)が今日午後、GPLv3(GNU一般公衆利用許諾契約書バージョン3)の正式リリースを記念した式典をボストンにある同財団のオフィスにおいて行なう予定だ。式典の主な内容は、地元のフリーソフトウェア活動家たちを招いた昼食会と、新ライセンスへ移行するいくつかのGNUプロジェクトの発表だという。またFSFの代表であり設立者のRichard M. Stallman氏による、開発者がGPLv3へ移行すべきである理由についての演説も行われるという。なおこの式典の模様はビデオとしてFSFのウェブサイトで公開される予定とのことだ。

ビデオクリップ:フリーソフトウェアおよびStallman氏との出会い――Eben Moglen氏の独占インタビュー(5)

 サンディエゴで開催されたRed Hat Summitで収録したEben Moglen教授へのインタビューシリーズも第5回目を迎え、紹介すべきビデオクリップも今回を含めて残すところ2つとなった。今回同教授が語るのは、Richard Stallman氏との出会いと法務顧問として活動するようになったきっかけである。