FSFがGPLv3策定の最終段階を変更

 フリーソフトウェア財団(FSF:Free Software Foundation)は、GNU一般公衆利用許諾契約書のバージョン3(GPLv3)を策定する最終プロセスの変更を進めている。FSFの常任理事Peter Brown氏は、この変更の理由として、次のドラフトにおける改訂範囲が広いことと、策定の正念場を迎えるにあたって「FLOSSコミュニティに改めてこのプロセスに関わってもらう」必要があることを挙げている。なお、今回の改訂内容は、最近のNovellとMicrosoftとの協定によって持ち上がった問題や、特許とデジタル著作権管理(DRM)に関わる言い回しについてコミュニティから提起された問題に対処するものになる。

FSFE、新設のFreedom Task Forceによりコミュニティを支援

米国ではFSF(フリーソフトウェア財団)が、唱道キャンペーンやGPL(GNU一般公衆利用許諾契約書)の次期バージョンについての協議過程などを通してコミュニティとの接触を保ってきた。それに対して欧州ではFSFE(欧州フリーソフトウェア財団)によってFTF(Freedom Task Force)と呼ばれる組織が設立され、FTFがコミュニティ支援の役割の多くを担っている。FTFはまだ比較的新しい組織だが、著作権問題に対する独特なアプローチによってヨーロッパにおけるフリーソフトウェアの教育やライセンス準拠といった分野ですでに実績を上げ始めている。

フリーソフトウェア化を視野に入れたFedoraによるリポジトリの再編成

Red Hatの支援するFedoraプロジェクトは現在、次バージョンのリリースに先がけて様々な改変を進めているところである。例えば来るFedora 7ではCoreおよびExtraソフトウェアリポジトリが統合される予定であることを契機に、非フリー系および非オープン系ソフトウェアについてはプロジェクトのガイドラインに則していないものをリポジトリから取り除くべく、Fedora開発陣による監査が行われている。そして最終的に同プロジェクトは、そのパッケージガイドラインを“フリーソフトウェア”オンリーとした内容に改訂するかもしれないというのだ。

レンダリングエンジンの置き換えによるXara LXのフォーキング

先週、ベクトルグラフィックエディタのXara LXに関して大きな動きが見られた。このプロジェクトについてはオープンソースコミュニティの貢献者たちと同社の経営陣との間に意見の対立が存在し、ここ数カ月は膠着状態に陥っていたのだが、貢献者側の1人がコードベースをフォーキングした成果を公開したことで再び動き出したのである。この行為に対しては会社側からの承認も得られており、オフィシャルなSubversionリポジトリに登録することが申し出られている。

賛否入り混じる反響を呼んだBlackboardの特許公約

教育コンテンツの管理システムを提供する主要企業の1つであるBlackboardは、オープンソースのeラーニングに携わるプロジェクトおよび企業に対して自社特許の権利行使をしないとする公約を発表した。この公約による保護の対象には、教育機関が組織内で開発した、いわゆる「自家製」の学習システムも含まれる。ただし、この公約によって保護されるオープンソースのソリューションは、プロプライエタリなソフトウェアにバンドルされていないものに限る、との但し書きが付いている。この点についてはさまざまな反応があるが、多くのオープンソースプロジェクトは、今後の行く末については懐疑的な態度を示しながらも今回のBlackboardの動きを前向きに評価している。

フリーソフトウェア・ライセンスの作成に苦闘するブラジル・パラナ州

GNU General Public License(GPL)第3版を作成する目的の一つは、翻訳しやすいように、使用する文言を国際化することにある。その努力の必要性に疑問をお持ちの向きは、ブラジル・パラナ州における代替フリー・ライセンスへの取り組みを見ていただきたい。必ずや納得されるだろう。同州の現行代替ライセンスは、その作成意図にも拘わらず、Free Software Foundation(FSF)とそのラテンアメリカ版、FSFLAからフリーではないという烙印を押され、同州は不満をかこちながら目下改訂中なのだ。GPLの国際版があれば、こうした事態は全く生じなかったか、少なくとも必要最小限の作業で済んだだろう。

Linux.comの記事、イスラエルのGPL訴訟の陳述となる

IChessu社によるGNU General Public License(GPL)侵害を問う裁判がイスラエルで起こされたことをLinux.comが以前に報じた翻訳記事)が、この記事が訴訟の陳述の一部となっている。ただし、どの一部かという点で意見が分かれる。原告のAlexander Maryanovsky氏は、この記事は訴訟を有利に進める材料になったとする。対照的に、被告弁護団は訴訟への関連性は低いと見る。

FSFはGPLv3の変更を分割すべし

解説:GNU General Public Licenseの3番目のバージョン(GPLv3)を策定するプロセスは、命運が尽きたわけではないが、Linus Torvaldsらのカーネル開発者の批判が厳しいことで失速した様子だ。プロセスがこれまでと同じ方向に進んだとしても、現在GPLを利用している大勢のユーザが新しいライセンスに切り替えない可能性がある。その結果がもたらす重大な影響のリスクをあえて受け止める覚悟がフリー/オープンソース・ソフトウェア(FOSS)コミュニティにあれば別だが、そろそろ戦術を見直す時期だろう。

GPLv3 Discussion Draft 2 Rationale 日本語訳

GPLv3 ディスカッション・ドラフト2に付随して発表された、趣旨説明書 (Rationale)の日本語全訳を公開する。以前の趣旨説明書と違い、原文の修正・追加点に網羅的な注釈を付けるという形式になっている。かなり大部で込み入った内容ではあるが、一連のGPLv3を巡る議論の理解には欠かせない。なお、この訳に関する意見や誤訳の指摘は、本記事へのコメントとして寄せて頂けるとありがたい。

Konsoleライセンス違反問題で表面化したGPLの曖昧さ

Konsoleの作者Lars Doelle氏は7月、2つのプログラムにKonsoleのライセンスであるGPL(GNU一般公衆利用許諾契約書)に違反している疑いがあるというメモをMotorolaFans.comのフォーラムへと投稿した。GPL違反という問題は今に始まったことではない。しかし今回の場合Doelle氏は違反者に対し告知するだけに留まらず、違反プログラムの「ユーザ」に対しても違反プログラムの使用禁止を命じている。

FSFに辟易するLinus Torvalds氏

先週金曜(9月22日)、GPLv3のドラフトを非難する声明書が数名のカーネル開発者によって公表された。これを受けて、Software Freedom Law Center(SLFC)の議長Eben Moglen氏は昨日、GPLv3の策定プロセスへの参加を求める「新たな案内状」をカーネル開発者に宛てて出すことになった。Moglen氏の文面に対し、Linus Torvalds氏は、GPLv3に対する自分の立場ははっきりしており、FSFにはいい加減うんざりしていると応じた。

Linus Torvalds氏がGPLv3策定プロセスに参加しない理由

Linus Torvalds氏はGNU General Public License(GPL)バージョン3の草案作成に参加していないが、それは何故なのだろうか? これまでにもTorvalds氏は、しばしば同プロセスおよびGPLv3の草案そのものに対する批判をしてきており、また最近ではカーネル開発者間での非公式な意見調査において同ライセンスに対する反対票を投じていることから、この草案プロセスに同氏が参加しない理由は明白のようにも思われる。Torvalds氏は、委員会という形態を嫌悪する理由として、こうした運営方式では同氏が好ましいと考える寄与が成されないこと、および、他のすべてのライセンスをGPL下に囲い込もうとしているFree Software Foundation(FSF)との間に、理念上の相違がある点を挙げている。

GPLにドイツ裁判所からお墨付き

最もよく知られたフリーソフトウェア・ライセンスGPLに抵触したとして民事訴訟を起こされていたD-LINK Germany GmbHに対して、ドイツ法廷はこのほどGPLにとって記念すべき判断を示した。この訴訟は、gpl-violations.orgプロジェクトを通じて、GPLで保護されたソフトウェアの違法利用を撲滅すべく活動している著名なLinuxハッカーHarald Welteが起こしたもの。電子メールでの取材に対し、Welteは、不法行為の内容と証拠収集活動について語った。