フランス大統領候補者、フリーソフトウェア関連の問題について語る

 4月22日のフランス大統領選挙第1回投票に参加するフリーソフトウェアの支持者たちには、世界でも他に類を見ない情報が提供される。それは、フリーソフトウェア、著作権、特許、デジタル著作権管理に関わる問題に対する主要政党すべての方針声明である。さらに(少なくとも北米の人々にとって)驚くべきことは、候補者の大部分がこうした問題をしっかりと把握し、明確な立場を打ち出していることだ。

Swiftfoxのライセンスは、オープンソース系ブラウザに対する背信行為か?

 SwiftfoxはFirefoxをベースとしたブラウザの一種であるが、両者の間には1つの大きな隔たりがある。つまりSwiftfoxのライセンスは第三者による再パッケージングや再配布を禁じているため、Swiftfoxを友人に直接手渡したり、Linuxディストリビューションのリポジトリに登録することはできないのだ。

イスラエルのGPL関連訴訟に提出された抗弁書

 イスラエル法廷におけるGNU一般公衆利用許諾書(GPL)の意義を問おうとするJin対IChessUの訴訟事件は、被告のIChessUが詳細な抗弁書を提出したことで、略式裁判手続きから通常の裁判へと移行し、これにより審理は長期化し、考えられる裁決に一切の制限がなくなる。だが、FOSSコミュニティにとってもっと重要な点は、今や訴訟の行方がGPLの解釈、またはイスラエル著作権法の下でのGPLの有効性のいずれかにかかっているように思われることだ。

GPLv3ドラフト新版:特許やロックダウン技術に対する新たなアプローチを導入

 FSF(フリーソフトウェア財団)がGPLv3(GNU一般公衆利用許諾書バージョン3)のドラフト改訂第3版をリリースした。今回のドラフト新版で行なわれた変更のうち、説明や法律的な文言が増えたことやGPLの新たな側面を反映するための細々とした変更点については、特に問題なく受け入れられる可能性が高そうだ。しかし今回のドラフトでは、特許に関する文言の明確化(Novell社がMicrosoft社と結んだ類いの契約の再発防止をねらうものなど)ばかりか、物議をかもしがちな問題であるロックダウン技術(ユーザの自由を束縛/妨害する技術)に対する新たなアプローチなど、一筋縄では行かないであろう変更も一部に含まれている。

オープン・フォント・ライセンスSILの改訂版がリリース

 リテラシーと少数言語の研究・保存に取り組む非営利団体SIL Internationalが、SIL Open Font License(OFL)バージョン1.1のリリースを発表した。OFL-Discussを含む複数のメーリング・リスト上で交わされた数か月にわたる議論を踏まえ、ライセンスの文言が明確化され、特にフォントの埋め込みと予約フォント名の許容が明文化されている。

FSFE、新設のFreedom Task Forceによりコミュニティを支援

米国ではFSF(フリーソフトウェア財団)が、唱道キャンペーンやGPL(GNU一般公衆利用許諾契約書)の次期バージョンについての協議過程などを通してコミュニティとの接触を保ってきた。それに対して欧州ではFSFE(欧州フリーソフトウェア財団)によってFTF(Freedom Task Force)と呼ばれる組織が設立され、FTFがコミュニティ支援の役割の多くを担っている。FTFはまだ比較的新しい組織だが、著作権問題に対する独特なアプローチによってヨーロッパにおけるフリーソフトウェアの教育やライセンス準拠といった分野ですでに実績を上げ始めている。

「100万羽のペンギン」プロジェクトがもたらすもの

キーボードを叩く猿が100万匹集まることで最終的にシェイクスピアの全集を完成できるとしたら、100万羽のペンギンでも同じようなことができるだろうか。ある大手出版社は、FOSSを用いたオンライン・プロジェクトによって小説の共同執筆ができないかと考えている。しかも、その出版社がPenguinというのが面白い。

Linux.comの記事、イスラエルのGPL訴訟の陳述となる

IChessu社によるGNU General Public License(GPL)侵害を問う裁判がイスラエルで起こされたことをLinux.comが以前に報じた翻訳記事)が、この記事が訴訟の陳述の一部となっている。ただし、どの一部かという点で意見が分かれる。原告のAlexander Maryanovsky氏は、この記事は訴訟を有利に進める材料になったとする。対照的に、被告弁護団は訴訟への関連性は低いと見る。

GPLv3 Discussion Draft 2 Rationale 日本語訳

GPLv3 ディスカッション・ドラフト2に付随して発表された、趣旨説明書 (Rationale)の日本語全訳を公開する。以前の趣旨説明書と違い、原文の修正・追加点に網羅的な注釈を付けるという形式になっている。かなり大部で込み入った内容ではあるが、一連のGPLv3を巡る議論の理解には欠かせない。なお、この訳に関する意見や誤訳の指摘は、本記事へのコメントとして寄せて頂けるとありがたい。

クリエイティブ・コモンズ改訂に立ちはだかるGPLと同種の問題

CCL(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス)は、現在GPL(GNU一般公衆利用許諾書)に次いでおそらく最もよく使用されているオープンソースライセンスだ。それにも関わらず、GPL 3.0の起草が広くメディアで取り上げられているのに対し、現在進行中のCCLの改訂はほとんどメディアに注目されていない。またそれら二つのライセンスの起草者たちも、互いに相談しながら起草を行なうというようなことはしていない。しかし実はCCL 3.0の優先事項にはGPL 3.0における優先事項と同種のものが少なくない。例えば、言い回しの明瞭化、用語の国際化、DRM(デジタル著作権管理システム)問題への対処などである。中でももっとも優先すべき共通の重要事項はと言えば、主な利害関係者の要求を満たすということに他ならない。つまり、ライセンスの詳細の議論と同じくらいに苦労が絶えないのが、有力な利害関係者からライセンスに対する支持/信用を取り付けるという部分というわけだ。