「OSSコミュニティの仕事はソフトだけでは終わらない」──著作権研究の権威がLinuxイベントで強調:LinuxWorld San Francisco 2006リポート

 米国サンフランシスコで開催されている「LinuxWorld Conference & Expo San Francisco 2006」(8月14日〜17日)では、「コミュニティ」「著作権」「仮想化」などさまざまなテーマで、オープンソースにかかわる議論が繰り広げられている。スタンフォード大学法学部のローレンス・レッシング教授は8月15日の開幕基調講演で「オープンソース・コミュニティの仕事はOSとアプリケーションだけでは終わらない」とする見解を披露した。

Jon "maddog" Hall氏の語る発展途上国におけるFOSSの役割

Jon “maddog” Hall氏が代表を務めているLinux Internationalは、フリーおよびオープンソースソフトウェア(FOSS)の発展を支援する全世界のエンドユーザの連携を目的とした非営利団体である。この5月にHall氏がLinuxWorld Johannesburgの席上で行った基調講演には、聴衆の一部を驚かせたであろう発言が含まれていた。そこでわれわれはHall氏にコンタクトし、今回の南アフリカ訪問の意図や発展途上国におけるFOSSの役割などについて質問をしてみた。

「オープン標準へのコミットが顧客価値の最大化に通じる」─米国デルのマネジャーが語るLinux戦略

デルのLinux戦略──その全容を日本の企業に訴求すべく、先ごろ、米国デルでLinuxとHPCC(ハイパフォーマンス・コンピューティング・クラスタ)、および仮想化にかかわるグローバル・アライアンスを担当するマネジャー、ケビン・ノリーン(Kevine Noreen)氏が来日し、東京ビックサイトで催されたLinux/オープンソース・ソフトウェアの総合イベント「LinuxWorld Expo/Tokyo 2006」(会期:今年5月31日〜6月2日)で講演を行った。ここでは、同Expo会場で実施したノリーン氏に対するインタビューの概要を、一問一答の形式で報告する。

野村ホールディングス、LinuxイベントでIT戦略を披露──「Linux+メインフレーム」で基幹システムを刷新

今年5月31日からの3日間、東京ビックサイトで開催されたLinux/オープンソース・ソフトウェア(OSS)の総合イベント「LinuxWorld Expo/Tokyo」の最終日(6月3日)、野村ホールディングスのグループIT戦略部長、金澤亨氏が基調講演を行い、同社のIT(情報技術)戦略を披露した。野村ホールディングスでは、LinuxとIBMメインフレームによって基幹システムをの刷新を行ったが、金澤氏の講演では、その背後にある同社の戦略/方針が具体的に語られた。

Motorolaが開発者リソースを統合

今週月曜、コンシューマ向け電子機器メーカーの大手、Motorolaは、Webベースの開発者リソースの再編を発表した。いくつかある既存のプログラムは、新たな素材を加え、MOTODEVと呼ばれる1つのサイトに統合される。新しいサイトには、報告書や技術仕様書、それに、Linuxベースの携帯電話を含む同社のさまざまな製品向けのソフトウェア開発キット(SDK)が用意されている。

LinuxWorld Toronto:Wine、デスクトップ、標準規格の話題

トロント発 ― LinuxWorld Conference & Expo Torontoの最終日は忙しい1日になった。Novell CanadaのCTO、Ross Chevalier氏は、なぜ今年が ― これまでの年とは違って ― Linuxデスクトップ導入の年であるかについて基調講演を行った。また、Free Standards Groupの取締役Jim Zemlin氏はLinux Standard Baseの重要性を語り、開発者Ulrich Czekalla氏はWineプロジェクトの現状について見事な発表を行った。

LinuxWorld Torontチュートリアル:セキュリティとRed Hat認定試験

今年のLinuxWorld Conference & Expo Torontoの初日は、いつものように3時間に及ぶチュートリアルの2本立てで始まった。チュートリアルのリストから私が選んだのは、午前の部はTony Howlett氏の「オープンソース・セキュリティツールの世界」、午後の部はDee-Ann LeBlanc氏による「Red Hat認定資格に全力で取り組むための心得」だった。

FUDCon、そしてFedora Foundationの終焉

マサチューセッツ州ボストン ─ 先週の金曜日、LinuxWorld Conference & Expoの終了後、ボストン大学(Boston University School of Management)で開催された第5回Fedora User and Developer Conference(FUDCon)に出席した。Fedora Foundationの終了(時間の問題だったが)に関するRed Hatの発表についてホールでは噂話が飛び交っていたが、おもしろい講演も聴けた。

Linux Terminal Server Projectリリース4.2

マサチューセッツ州ボストン――Linux Terminal Server Project(LTSP)はシンクライアントとLinuxサーバの接続を簡単化するためのソフトウェアであるが、このたびLinuxWorld Conference & Expoにて同ソフトウェアの4.2リリースがアナウンスされた。今回の新規リリースでは、ローカルデバイスサポートの改善、必要なメモリ量の削減、スキャナおよびマルチヘッドのサポート、および2.6カーネルの採用が行われている。

Maemoと770を携え、オープンソースと歩むNokia

Nokiaは「ものを作る」会社です――先週、LinuxWorldの聴衆を前に、プロダクト・マネージャAri Jaaksiがこう語った通り、Nokiaはこれまでソースコードを公開したことはなかった。ところが、770 Internet tabletを登場させたNokiaは、それに合わせてオープンソース・アプリケーション・プラットフォームを立ち上げ、プログラマを既存のオープンソース・プロジェクトに派遣する一方、すでにオープンソースに貢献しているプログラマにも資金を提供し、オープンソース・ソフトウェアの推進に向けて動き出した。

オープンスタンダードが重要な理由

オープンソースソフトウェアはすばらしいものだ。しかし、これをやみくもに崇拝する原理主義者には決して賛同できない。こういう人々は、IT分野の記者として取材した多くの団体で目にしてきた。LinuxではなくWindowsを使っているという理由で人々を非難することは、特定の製品に人々を縛りつけようとする独占的ソフトウェア業者の高圧的な政策と質的には変わりがない。では、本当の選択肢を人々に与えるオープンスタンダードは存在しうるのだろうか? ここでは、私が支持できる考え方を紹介しよう。

SourceForge.net Community Choice Awardの受賞作発表

昨日、LinuxWorld ExpoのSlashdot Loungeにおいて、初のSourceForge Community Choice Awardsの受賞作が発表された。 出席者の1人、Robin Millerは「授賞式は熱狂につつまれていました。SourceForge.netの社員とOSTGのマーケティング担当者が、Tシャツやカズー(おもちゃの笛)を満席の観衆に向かって投げ入れていました」と語る。 SourceForge.netはNewsForgeと同様、OSTGによって運営されている。

LinuxWorldの総括

今年のLinuxWorld Conference & Expo Bostonは、明らかに落ち着いた雰囲気だった。同僚の1人は「眠気を誘う」とこぼしていた。IBMやHPのような大御所が出展していないのを不思議がる者も多かった。この展示会はBoston Convention Centerで開催された。同時に2つか3つの展示会が行える、広大で複雑な構造をした会場だ。セミナー室から展示フロア、報道関係者ロビーまで歩く距離が展示会の規模の判断基準だったとしたら、確かに大規模な展示会だといえるだろう。しかし、展示フロアを埋めつくすほどの出展者数ではなく、多くのブースでは説明員が時間をもてあましているように見えた。