Lenovo、SUSE Linux搭載ThinkPadを技術者向けに提供開始──LinuxWorld San Francisco 2006リポート

 Lenovo GroupとNovellは8月15日、LenovoがLinux OSを搭載するハイエンドのノート型PCの販売およびサポートを開始すると発表した。

 Lenovoは、「ThinkPad T60p」ノート型PCに、Novellが先月リリースした「SUSE Linux Enterprise Desktop(SLED)10」を搭載したモデルを、電子工学技術者およびチップ設計者向けに提供する。14インチ・ディスプレイを搭載したモデルは3,099ドルから、15インチ・モデルは3,199ドルから。

 両社によると、このLinux搭載モデルの提供プロジェクトは、第3のパートナーであるIntelの働きかけによってスタートしたもので、1年以上前から準備が進められてきた。Intelは、Linuxを稼働するハイエンドのラップトップ機を自社のエンジニアに支給することを検討していたという。

 オープンソースOSであるLinuxは、EDAやCAD、特にチップ/回路設計の分野で広く使われている。シノプシス、メンター・グラフィックスや、市場トップのケイデンス・デザイン・システムズといったベンダーの設計ソフトウェアは、ほとんどがLinux上で稼働する。

 LenovoのThinkPad担当ワールドワイド・マネジャー、ビル・アイオリ氏によると、IntelはSUSE Linux搭載ThinkPadの第1ベータ・テスターであり、いずれ同製品を「数千台」規模で導入する見込みだという。

 PCメーカーは長らく、自社製品への大規模なLinuxプリインストールに消極的だった。Microsoftの機嫌を損ねる心配や、どのLinuxディストリビューションをインストールすればいいのか、コストに見合うだけの市場規模があるかどうか、といった不安があったからだ。

 今回発表されたLenovoの新モデルでは、企業顧客は希望するコンフィギュレーションとその他のソフトウェア要件をNovellに伝えると、Novellがその顧客用に構成したカスタム・バージョンのSLED 10をLenovoに送り、それをLenovoがノートPCにインストールする。

 さらにLenovoは、その他のアプリケーション(EDAやCADアプリケーションも含む)のインストールも行い、ドライバが異常停止したり、OSが異常終了したりしないことを確認するという。

 また、電子設計業界はまだほとんどが米国に集中していることから、この新モデルの主なターゲットは米国の企業ユーザーになる、とアイオリ氏は述べた。

 ただし、NovellのLinuxおよびオープン・プラットフォーム・ソリューションの製品マーケティング・ディレクターオー、ジャスティン・スタインマン氏によると、NovellはLinuxが広く使われている他の専門業界の技術者とともに、同じようなコンフィギュレーションのノートPCのテストを行っているという。そうした業界には、自動車製造や金融サービスなどが含まれる。

 両社は、今回発表したLinux搭載モデルが一般の消費者やLinux愛好者向けでないことを強調している。個人ユーザーはOSがインストールされていないT60pを購入できるが、SUSEまたは別のLinux OSを自分でインストールしなければならない。

 ただし、Windowsを必要としないユーザーは「Microsoftに1円も払わなくていい」ため、約100ドルの節約になる。「そうしたユーザーは、年間50ドルでノベルからSLED 10のサポートを受けることもできる」と、アイオリ氏は語っている。

 なお、ヒューレット・パッカード(HP)は6月、今年末までに6種類のノート型PCモデルでSLED 10の動作認定を行うと発表している。

(エリック・レイ/Computerworld オンライン米国版)

提供:Computerworld.jp