WaylandやHTML5の実験的サポートが追加された「GTK+ 3.2」リリース

 9月25日、マルチプラットフォーム対応のGUIツールキット「GTK+ 3.2」がリリースされた。WaylandサポートやWebブラウザ上でGTK+アプリケーションを実行できるHTML5バックエンドサポートなど、先進的な機能が実験的機能として実装されている。

 GTK+はGUI作成用のマルチプラットフォームツールキットで、The GTK+ Teamによって開発が進められている。対応言語はC/C++のほか、PythonやPerlなど。当初はオープンソースのフォトレタッチソフト「GIMP」のユーザーインターフェイス作成を目的に作られたが、現在ではGIMP以外のアプリケーションでも使われているほか、GNOMEデスクトップ環境の基盤としても利用されている。ライセンスはLGPL。

 GTK+ 3.2は、バージョン3系の最新安定版となる。バージョン3系ではX11のネイティブAPIではなくグラフィックライブラリ「Cairo」を描画APIとして利用しているが、バージョン3.2ではさらに実験的な機能としてディスプレイサーバー「Wayland」への対応や、HTML5対応Webブラウザ内でGTK+アプリケーションを実行できるHTML5バックエンド実装などが行われた。WaylandはDirect Rendering Manager(DRM)、カーネルモードセッティング(KMS)といったLinuxの機能を活用し、描画にOpenGL ESを利用するLinuxデスクトップ向けのディスプレイサーバー。WaylandはUbuntuがX Window Systemからの切り替え計画を発表するなど、注目を集めている。なお、Waylandサポートは同じくマルチプラットフォーム対応のGUIツールキットであるQtでも実験的ではあるが行っている。

 そのほか、CSSによるテーマ作成機能サポート機能の強化や、「GtkFileChooser」および「GtkAssistant」の改善、「GtkFontSelection」の「GtkFontChooser」への置き換え、「GtkPaned」や「GtkMenuBar」、「GtkNotebook」といったウィジェットで幅と高さの調節が可能となるなどの改良が行われている。また、新ウィジェットとして「GtkLockButton」と「GtkOVerlay」が導入されている。

 GTK+ 3.2は、GTK+ ProjectのWebサイトなどから入手できる。LinuxおよびUNIX向けのソースコードやWindows(32ビットおよび64ビット)向けバイナリおよびソースコードが提供されている。

The GTK+ Project
http://www.gtk.org/