X11の置き換えを目指すディスプレイサーバー「Wayland 1.0.0」がリリース

 ディスプレイサーバー開発プロジェクト「Wayland」のKristian Hogsberg氏は10月22日、「Wayland 1.0.0」およびそのリファレンス実装「Weston 1.0.0」を公開した。ディスプレイサーバーとしての基本的な機能がそろい、今後の開発に向けたベースになるリリースという。

 Waylandは2008年にHogsberg氏が開始したプロジェクト。LinuxなどUNIX系OS向けのデスクトップ画面描画を行うディスプレイサーバーおよびそのプロトコルで、X Windows Systemの置き換えと位置付けられることもある。モダンなソフトウェアアーキテクチャへの対応、軽量さ、簡素化などを特徴とし、UbuntuやFedoraなどが採用を計画している。

 Wayland 1.0についてHogsberg氏は、プロトコルに基本的な機能が揃い、今後新機能を構築する土台になると説明している。7月末に公開したバージョン0.95からの変更はバグの修正とドキュメンテーションが主となるが、APIスレッドセーフなどの変更が0.99.0までに加わっているという。

 今後は互換性を維持するためのバージョン番号付けを行っていくとのことで、方針としてはX Serverにならい、後方互換性を維持しながらアップデートを行っていくという。たとえばクライアントがサーバーにバージョン情報を伝え、サーバーはクライアントに対応するイベントのみを通信する、といった方法で互換性の維持を行うとのこと。新しいAPIを追加すると同時に古いものを非推奨にしたり削除することも考えられるが、クライアントには対応するインターフェイスを動的に探し、利用できない場合はフォールバックする仕組みを設けるという。バージョン1系においても今後プロトコルやAPIの追加が行われるが、既存のWaylandで動作するクライアントアプリケーションは今後バージョン1系でのバージョンアップが行われても動作するとのこと。

 数週間以内にドキュメンテーションを主な目的とした1.0.1をリリースする予定だが、その後のロードマップは現時点ではないと記している。

 WaylandおよびWestonは、FreedesktopプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。ライセンスはMIT License。

Wayland
http://wayland.freedesktop.org/