Dell、Ubuntu搭載モデルを発売へ

 DellはUbuntu搭載デスクトップおよびノートパソコンを自社Webサイトで販売するためCanonicalとの提携交渉を進めていたが、このほど合意に達した。5月1日、正式に発表する。これは、今年2月、DellのIdeaStormサイトにLinux搭載デスクトップを求める声が殺到したことを受けたもの。

 Canonicalの営業担当ディレクターJane Silberによると、同社はDell製コンピューターの一部モデルについてUbuntuの動作確認作業に入るという。これまでのところ両社ともUbuntu搭載モデルを明らかにしていないが、The 451 Groupのシニア・アナリストNick Selbyによるとノートパソコン1機種とデスクトップ・パソコン3機種になるとみられる。

 Dellの広報担当Jeremy Bolenは、Ubuntu搭載モデルの販売価格や機種について述べるには時期尚早だが「ごく普通のお客様を想定したもの」になるだろうと述べた。

 「先ほど『今後数週間以内』と申し上げましたが、さらにもう一点、進捗を示す事実を披露しましょう。当社は搭載予定のディストリビューションをすでに入手しており、製品の詳細を詰めるべき段階に入っています」

 また、価格は未定だが、Ubuntu搭載マシンは「同じ構成の典型的なWindowsマシンよりも低価格になる」はずだと明言した。

 一方、CanonicalのSilberは具体的な提携内容については明らかにせず、検証作業を行う同社に対してDellが何らかのOEM費用あるいはサポート費用を支払うか否かについても沈黙を守った。しかし、顧客がDellからUbuntu搭載マシンを購入する際、CanonicalによるUbuntuのサポートをWebサイトを通して購入できるようにすることを明言した。

 さらに、Dellが製品に搭載するUbuntuはバージョン7.04(Feisty Fawn)であり、ダウンロード版と同じものになるはずだと述べた。「ダウンロードで入手可能なUbuntuと同じものです。プレインストールされているので手間が省けるというだけのことですから、欲しくもないソフトウェアを買わされることはありません」

 今回の発表の時期についてはVistaの販売不振と何らかの関係があるのではという憶測があるが、これに対してDellのBolenは今回の発表はVistaとは無関係でありIdeaStormに殺到したLinux搭載デスクトップを求める「お客様の圧倒的な意見」によるものだと述べた。

 アナリストのSelbyも「Vista不振の影響はないでしょうし、それが主たる理由だとしたら驚きです」と言う。

 また、Dellがすでに提携関係にあるRed HatやNovellではなくUbuntuを選んだ理由については、「Red HatやSUSE 10.2はデスクトップ用OSとしては適切でなく、Ubuntuのような使い勝手は実現できないという判断」からだと見る。

 「Microsoft的なWebの使われ方は廃れようとしています。……このOS(Vista)はゴミだと言われる状況になったのかもしれません」

 UbuntuはLinux派にとっては極めて満足できるものだ。しかし、Linuxに不慣れな、あるいはDellのWebサイトで初めてLinuxを知ったというレベルにある大多数の人々にとってはどうだろうか。「Canonicalは、お客様の不満という、これまで経験したことのない世界に踏み込むことになるかもしれません」(Selby)。

 一般の利用者がLinuxを使えるかどうかという問題について、Selbyは、利用者の多くはUbuntuマシンを使っていることに気づきもしないだろうが、印刷とマルチメディアについては戸惑う可能性があると警告する。そして、搭載予定のFeistyではそうした問題も幾分かは解消されているが、一般消費者向けとしてのUbuntuの弱点はこの2点が大きいと言う。しかし、その一方で、一般消費者にもWindowsの代替品に関する話題に「耳を傾ける機運が生まれている」とも述べた。

 また、今回の提携はCanonicalのサポート・モデルが大規模化に耐えられるかどうかの試金石であり、顧客の発する膨大な数のサポート要求に晒されたことのない若い企業にとって試練となるかもしれないと言う。

 DellがLinux搭載パソコンを販売するのは、今回が初めてではない。2000年〜2001年に、Red HatのLinuxをデスクトップとノートパソコンに搭載したことがある。しかし、需要が少ないことを理由に販売を中止した。

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