Dell、Linux搭載PCの販売をついに決断――ユーザーの強い要望が後押し

 米国Dellは3月28日、ユーザーの強い要望にこたえ、Linux OSを搭載したデスクトップPCおよびノートPCを発売すると発表した。発売時期は未定。

 先月同社のCEOに復帰したマイケル・デル氏は、顧客サービスを改善するための施策を矢継ぎ早に打ち出している。

 同社は昨年末から不正会計を巡る株主提訴や、ノートPCバッテリのリコール、さらには下半期(7月-12月期)の世界PC出荷台数でHP(HP)にトップの座を奪われるなど、苦境に立たされていた。

 今回のLinux OS搭載PCの発売も、顧客サービス改善の一環として行われている。同社ではLinux OS搭載PCの発売で、業績が回復することを期待しているようだ。

 Dellによると、ユーザーからの要望やアイデアを書き込める同社のブログ「Dell IdeaStorm」には、Windowsに替えてLinuxを搭載したPCの販売を求める要望が殺到したという。

 同社はこの要望を受け入れ、Linux OSを搭載したPCの販売を決断したと発表した。

 Dell IdeaStormに書き込まれた同社のコメントによると、Linux OS搭載PCの発売は、すでに同社が法人向けに販売しているLinux搭載サーバや、Linux OSの選択も可能なハイエンドPC「Precision Workstation」向けに提供しているLinuxのサポートを、一般PCに拡大する戦略に基づくものであり、その第1弾として一部のデスクトップPCとノートPCにLinux OSをプリインストールして発売するという。

 なお、搭載されるハードディスクモデルやスペックの詳細、Linuxディストリビューションの種類などは来週以降に発表される予定だ。

 3月28日に公表されたLinux OS搭載PCに関するユーザー・アンケートの結果では、Linux OS搭載PCの発売を希望するユーザーの70%以上が、Linux OS搭載PCを自宅と会社の両方で利用したいと回答。デスクトップPC/ノートPCどちらも選択可能にしてほしいという希望が大半を占めたという。

 さらに、ユーザーの多くは、Linux OS搭載PCのサポート・サービスについて、Linuxのサポートは現存のコミュニティを中心としたサポート・フォーラムで十分だとしており、ソフトウェアのサポートよりもハードウェアのサポートのほうを重要視していることが明らかになった。

 Dellによると、ユーザーはどのLinuxディストリビューションを選択するかよりも、各種ドライバの対応やLinuxのカーネル・サポートのほうに高い関心を持っているという。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

米国Dell
http://www.dell.com/

提供:Computerworld.jp