Adobe、Flashアプリ開発ツール「Flex」をオープンソース化――開発者コミュニティの拡大を目指す

 米国Adobe Systemsは4月26日、Flashアプリケーション開発ツールの「Adobe Flex SDK」をオープンソース化すると発表した。

 Flex SDKにはFlashアプリケーションを作成する機能が包含されている。具体的には、MXMLコンパイラ、ActionScript 3.0、クラス・ライブラリ、ユーザー・インタフェース・コントロール、レイアウト・コンテナなどがそれである。

 開発者はこれらを利用して、「Adobe Flash Player」上で稼働するRIA(Rich Internet Applications)を開発することが可能だ。なお、Flex SDKと各種技術資料は、Mozilla Public License(MPL)に基づいて提供される。

 Flex SDKは昨年6月から無料で提供されており、だれでも「 Flexデベロッパー・センター 」からダウンロードできる。ただし、ダウンロードしたソースコードを変更することは可能だが、変更したソースコードを同センターにアップロードし、他の開発者と共有することはできなかった。

 Flex SDKがMozilla Public Licenseの下でオープンソース化されたことで、今後開発者は変更したソースコードを自由に配布することができる。同社では、今年6月からバグ情報などを公開するためのWebサイトを開設し、Flex SDKを随時更新していくとしている。

 同社の製品マーケティング担当バイスプレジデント、ジェフ・ワットコット氏は、今回のオープンソース化を「オープンソース開発者コミュニティに“加盟”するための取り組みの1つであり、Flexの普及拡大を目指す戦略の一環だ」と説明する。

 急成長を遂げているRIA市場において、Adobeがオープンソース開発者から支持されるツールを提供することは重要な戦略の1つである。

 今月17日、米国MicrosoftはWebブラウザ向けの新しいメディア再生プラグイン・ソフト「Silverlight」を発表した。同社ではSilverlightをAdobe Flashと同様のWeb機能を提供するソフトだと公言し、Adobeと真っ向勝負する姿勢を明確に打ち出しているのだ。

 Flashベースのeコマース・アプリケーションを開発する、米国アルーレントのチーフ・アーキテクト、ジョー・バーコビッツ氏は、今回のAdobeの決定を「開発者にもAdobeにも有益」と評価する。

 「Flexは誕生間もないツールであり、Adobeがソースを公開すれば、多くの技術者が開発に参加するだろう。さらにオープンソース化を打ち出すことで、MicrosoftのSilverlightとの違いを明確にアピールできる」(バーコビッツ氏)

 なお、Flexのポートフォリオには、Flex SDKのほかに、ビジュアル開発環境を提供する「Flex Builder」、バックエンドのサーバに格納されているデータとクライアントとの同期をとる「Flex Data Services」も含まれている。

 同社ではFlex BuilderとFlex Data Servicesを今後も無料で提供するが、オープンソース化する予定はないとしている。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

米国Adobe Systems
http://www.adobe.com/

提供:Computerworld.jp