Microsoft、Silverlight技術を自社イベントでアピール――打倒Flashに向けてSilverlight 1.0正式版を今夏にリリースへ
Microsoftがカリフォルニア州マウンテンビューの社屋で開催した「ReMix07」は、今年4月にラスベガスで大々的に開かれた「Mix07」コンファレンスの縮小版といったイベントとなった。このReMix07で同社はSilverlight技術にスポットを当て、「Expression」および「Visual Studio」ツールとSilverlightを併用してWebブラウザを高機能化する方法などを紹介した。
Microsoftの開発部門ゼネラル・マネジャー、スコット・ガスリー氏は、Silverlightを「リッチ・メディア機能の実現を主な目的とした技術」と表現、いずれ数億台のクライアントにインストールされるようになると強調した。
現在はまだテスト中だが、SilverlightはWindowsとMac OS Xに対応する予定だ。また、.NETなどのプログラミング・モデルとともに使えるようになる。「(Silverlightを)なるべく多くのシステム上で動作できるようにしたいと考えている」と、ガスリー氏は述べている。
Silverlightがライバル視しているのが、Adobe SystemsのFlashだ。Microsoftの関係者は、SilverlightはFlashよりもコンテンツの品質が高いことや、ほかとはひと味違うWebエクスペリエンスを創出しようと努めている企業などに最適な技術であることをアピールした。
「Silverlightなら、考えられるかぎりの最高にリッチな方法で、Webビデオを視聴できるようにすることができる。多くの人々が Silverlightの登場を歓迎している」(Microsoftのエマージング・ビジネス担当バイスプレジデント、ダニエル・レウィン氏)
一方、ライバルと名指しされたAdobeは、FlashのインストールPCがすでに全世界で7億台を超えていることを背景に、Flashへの支持が揺るぎないものであることをアピールしている。
現時点で利用できるSilverlight技術には、既存のWebサイトにグラフィックスなどを追加する「Silverlight 1.0」ベータ版がある。ガスリー氏によれば、Silverlight 1.0は間もなくRC版(リリース候補版)が出され、今夏の終わりごろには一般提供が始まる予定だという。
また、.NETプログラミング・モデルに利用できる「Silverlight 1.1」のアルファ版もリリースされている。Silverlightは、今年後半に登場する「Visual Studio 2008」プラットフォームにも対応する見込みだ。
将来的には多様な携帯デバイスやOSに対応するようになると、ガスリー氏は述べている。Microsoftの関係者は、いつかはLinux版をリリースするつもりでいるが、今はユーザーが最も多いWindowsとMac OS版に注力していると語った。
22日のプレゼンテーションでは、米国のソリューション・プロバイダーであるメタリックが開発した、Silverlightベースのビデオ編集アプリケーションのデモも行われた。具体的には、同アプリケーションを利用して、ビデオをパレット上にドラッグ&ドロップし、編集する様子が披露された。
ReMix07コンファレンスに参加したインナーアスリートは、Silverlightの早期導入ユーザーの1社だ。同社のエンジニアリング担当バイスプレジデント、クレイグ・ベンソン氏は、「Microsoftはいつものとおり、思い切った手法を採用し、競合他社に勝るとも劣らないツールを投入してきた」と Silverlightを高く評価している。アスリート向けのコンサルティング・サービスを提供している同社では、トレーニングを映像で実演するのにSilverlightを用いる計画だという。
ガスリー氏はReMixコンファレンスで、.NET Framework 3.0に含まれているグラフィックス・サブシステム「WPF(Windows Presentation Foundation)」にも言及し、「従来よりもはるかにリッチなデスクトップ・アプリケーションの開発を可能にし、デスクトップの限界を押し上げるもの」と説明した。さらに同氏は、リッチなホステッド・インフラストラクチャを備えた「Internet Information Services 7」を、今後のリリース予定製品として挙げている。
(ポール・クリル/InfoWorld オンライン米国版)
米国Microsoft
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提供:Computerworld.jp