Vancouver Joomla!Dayを事例としたコミュニティ形成活動のケーススタディ

 多くのフリーソフトウェア系プロジェクトがその規模を拡大していく過程で遭遇する問題の1つは、“自分達のコミュニティ”という意識をいかにしてメンバー間で形成させるかであろう。こうしたコミュニティ形成活動を成功に導いた事例の1つとして挙げることができるのがJoomla!というコンテンツ管理システムであり、実際ここ数年で同プロジェクトを取り巻くコミュニティは、世界各地にてJoomla!Dayというイベントを開催するまでに成長しているのである。本稿では先週末に開かれたVancouver Joomla!Dayの運営手法を参考にして、ソーシャルネットワーキングを活用したイベントの展開法および、近代的なコミュニティ形成の手法を考察してみよう。

オープンソースソフトウェアで誰もが得をする方法

 つい先日、私はTomboyというメモツールのレビューを書いた。Tomboyは非常に便利だが、メモ内から新しいメモ帳を作成できないのはちょっと不便だと指摘したところ、そのレビューがLinux.comに掲載されて数時間も経たないうちに、Tomboyの開発者の1人であるBoyd Timothyから、レビューのコメント欄に書き込みがあった。それはいいアイデアだから、今度のビルドにその機能を追加しようというのだ。そして、実際に彼の言葉どおりになった。これはオープンソースソフトウェアの最も重要な(しかし見過ごされやすい)特徴を示す好例である。オープンソースソフトウェアは、まさに「人民のための、人民による」ソフトウェアなのだ。

図書館でのFOSS貸し出しを目指す新団体が発足

 オープンソース関連の新たな団体が設立された。名前は Public Software Foundation (PSF)という。フリー/オープンソース・ソフトウェアを公共図書館向けに提供し、書籍やビデオと同じように貸し出してもらうという活動を行う団体だ。その根底にある発想はシンプルである。人にCDを渡すと、影響が及ぶのはその人だけだが、CDを図書館で借りられるようにすれば、数百から数千の人に影響を及ぼすことができる、という考えだ。

Fedora 9のリリース――“Make waves”をスローガンとした貢献者中心のプロジェクト活動

 かねてよりFedoraディストリビューションはその革新性についての定評を確立しているが、本日(5/13)リリースされたFedora 9もその例から漏れていないようである。簡単に実行可能なファイルシステムの暗号化やext4フォーマットのサポートなどは、今後リリースされる他のディストリビューションにて標準化されるであろう諸機能を、時間にして半年は先行して採用したと見ていいだろう。しかしながら本年2月に新たなFedoraプロジェクトリーダとして就任したPaul W. Frields氏の言葉を借りるならば、今回のリリースを際だたせている変化はテクノロジ面ではなくそのサポートコミュニティに関するものであり、より広範なフリーソフトウェアの世界に貢献するテクノロジとしての存在形態ということになる。

大きな波紋を呼ぶアクセシビリティ・アプリケーションOrca

  フリー/オープンソースソフトウェア(FOSS:Free and Open Source Software)が発展途上国の技術インフラの構築と存続の危うい言語の保護に役立っていることは、多くの人が知っている。スクリーンリーダ Orca によって、FOSSは障害者のコンピュータおよびインターネット利用という新たな領域での取り組みも進めている。Orcaプロジェクトは、先行のプロプライエタリなアクセシビリティ・ツール群に急速に追いつきつつあり、低コストな代替ツールとしてすでに広い範囲で採用されている。

大規模なコラボレーション活動を成功に導く5つの原則――パート3

 Linuxの商業的な成功については、そのサポートコミュニティが既成概念にとらわれない方式でアイデアの創造、共有、試験、廃棄、開発を進めていく方法を自発的に体系化できたためと言っても過言ではないだろう。こうしたLinuxを取り巻く活動には、We-Thinkプロジェクトを成功に導く5つの原則を見て取ることができる。そのうち3つ原則は既に説明したので、今回解説するのは最後の2つについてである(前回および前々回の翻訳記事)。

大規模なコラボレーション活動を成功に導く5つの原則――パート2

 Linuxの商業的な成功については、そのサポートコミュニティが既成概念にとらわれない方式でアイデアの創造、共有、試験、廃棄、開発を進めていく方法を自発的に体系化できたためと言っても過言ではないだろう。こうしたLinuxを取り巻く活動には、We-Thinkプロジェクトを成功に導く5つの原則を見て取ることができる。Linuxはそのすべてを備えている。前回はコアと貢献翻訳記事)について解説した。今回は結合について解説する。

大規模なコラボレーション活動を成功に導く5つの原則――パート1

 Linuxの商業的な成功については、そのサポートコミュニティが既成概念にとらわれない方式でアイデアの創造、共有、試験、廃棄、開発を進めていく方法を自発的に体系化できたためと言っても過言ではないだろう。こうしたLinuxを取り巻く活動には、We-Thinkプロジェクトを成功に導く5つの原則を見て取ることができる。今回解説するのは、そのうち最初の2つについてである。

Document Freedom Dayは1日だけのイベントにあらず

 今日(3月26日)は記念すべき第1回Document Freedom Day(DFD)である。DFD WebサイトのAboutページによると、今年で5年目となるSoftware Freedom Dayにならい、DFDは「フリードキュメントフォーマットとオープン標準全般の重要性を社会に訴える」ための日とされている。つまり、1日祝ってそれで終わりなのではなく、世界中に草の根運動を広めるための起爆剤となることが期待されている。目的は、あくまでも、年間を通じて継続される諸活動(DFD以前からの活動も多い)に世間の注意を喚起することにある。

オープンソース化から1年を経たSecond Life

 人気を博している3次元仮想世界Second Life(SL)の開発元、Linden LabがGNU GPLの下でSecond Lifeビューアのソースコードを公開してから1年が過ぎた。その間、このソースコードを中心にして開発者のコミュニティが著しい発展を遂げ、同社はオープンソースおよびオープンスタンダードの領域に首尾よく進出できたことに満足感を示している。

Mozillaその他の協力を確保したGNOMEのユーザ補助機能サポート向上プログラム

 近年GNOME Foundationは、障害者ユーザによるコンピュータの利用を支援するためのユーザ補助機能に関心を寄せるようになっている。またMozilla FoundationもGNOMEの審議会に参加することで、GNOMEにおけるWebアクセス機能の向上および同プロジェクトの長期戦略に協力し、XUL開発プラットフォームとGNOMEとの統合促進を支援しつつある。しかしながらより重要な出来事は、GNOME Foundation、Mozilla Foundation、Novell、Google、Canonicalの協同出資により、GNOMEにおけるユーザ補助機能の充実化を目的とした50,000ドル相当の援助プログラムが立ち上げられたことであろう。

SFLCがFOSSプロジェクトのための法律ガイドをリリース

 コピーレフトの考え方からコミュニティプロジェクトの法的立場に至るまで、FOSS(フリー/オープンソースソフトウェア)では法的な問題が次から次へと持ち上がってくる。しかしそのような法的問題の多くはコミュニティ界隈に広がる噂や誤解に基づくものだ。ソフトウェアプロジェクトを運営する人々が持つそのような誤解を減らすためにSFLC(Software Freedom Law Center)は、自由に配布することのできるガイド「 A Legal Issues Primer for Open Source and Free Software Projects 」をリリースした。このガイドはたった45ページと短い(目次などを除けばさらに短い)が、FOSSの法的な問題についての非常によくまとまった入門書で、対策としての選択肢が熟慮の上に簡潔にまとめられているのに加えて、実用的な助言も多数掲載されている。

もっと参加しやすいコミュニティーに Fedoraの新議長が語る

 「コミュニティーにとって障壁となるものを取り除きたい」。新任のFedora議長Paul W. Frieldsはこのように抱負を述べた。数週間前に就任したばかりで職場環境や職員の理解に努めている最中だが、このビジョンはすでに発言の端々に折り込まれ、在任中に実現したいFedoraプロジェクトの目標について述べたあらゆる発言の基礎になっている。

SCALE 6xコンファレンスの参加レポート

 先週金曜日(02/08)、Southern California Linux Expo(SCALE)の第6回年会の開幕イベントとして、専門的な4つのコンファレンストラックが開催された。一般講演および展示ブースは翌土曜日からの開催予定であったが、肌寒いこの時期のカリフォルニアの気象にもひるむことなくその前日から現地に到着していた意気盛んな参加者達は、通常のデスクトップLinuxフェアでは滅多に扱われないオープンソースの実態をその目で確認するという恩恵にあずかることができたのである。

FOSSにおける絶妙な中庸を目指して

 昨年、DellがUbuntuを搭載した一般向けのデスクトップおよびノートPCの提供を開始し、その他の大手コンピュータ会社に先鞭をつける形となった。これに伴い、DellはPC製品のパッケージに何を含めるべきかという点で議論が重ねられた。Dell製PCにUbuntu 7.10のカスタマイズ版とLinDVD(市販のLinux用DVD再生ソフトウェア)が含まれていることを取り上げた最近のiTWireの記事に対しては、法律面での疑問からDellの真意に至るまでのさまざまなコメントが生粋のFOSS支持者たちから寄せられた。明らかに、FOSSコミュニティはユーザを満足させようとしてさまざまな方向に引っ張られている。果たしてほどよい中庸というものは存在するのだろうか。つまり、FOSSコミュニティは純粋主義者と実用主義者の間を取り持ちながら、有用な成果物を提供し続けることができるのだろうか。

ソフトウェア特許侵害で訴えられた企業がFOSSコミュニティに支援を要請

 Trend Microから起こされた特許訴訟を闘うにあたり、Barracuda NetworksはFOSS(フリー/オープンソースソフトウェア)コミュニティに支援を求めた。この訴訟は定評のあるFOSSのセキュリティソフトClam Antivirus(ClamAV)を巡るもので、Barracuda社は自社のファイアウォールおよびWebフィルタリングのハードウェア機器製品と共にこのソフトウェアを配布している。