Document Freedom Dayは1日だけのイベントにあらず

 今日(3月26日)は記念すべき第1回Document Freedom Day(DFD)である。DFD WebサイトのAboutページによると、今年で5年目となるSoftware Freedom Dayにならい、DFDは「フリードキュメントフォーマットとオープン標準全般の重要性を社会に訴える」ための日とされている。つまり、1日祝ってそれで終わりなのではなく、世界中に草の根運動を広めるための起爆剤となることが期待されている。目的は、あくまでも、年間を通じて継続される諸活動(DFD以前からの活動も多い)に世間の注意を喚起することにある。

 DFDは、オープンドキュメントフォーマット(OpenOffice.orgのために開発された仕様で、のちにオフィスファイルのISO/IEC標準となった)を推進しているThe ODF Alliance European Action Groupの発想である。同グループのまとめ役、Ivan JelicとMarko Milenovicは、セルビアのフリーソフトウェア活動家で、Free Software Foundation Europeの支持者としてもよく知られている。DFDのイベントサイトも、Free Software Foundation Europeに設けられている。

 Office Open XML(OOXML)をISO/IEC標準にしようというMicrosoft社の野望との戦いは今後もつづく。DFDプロジェクトのオープン標準リストにも、OOXMLをオープン標準とは認めないことが明確にうたわれ、おもな反対理由も簡単に述べられている。だが、DFD自体はMicrosoftとの戦いを直接意識したものではない、とJelicは言う。DFDが発案された事情や、サイト上で強調されている事柄はそれとして、リストをよく見れば、そこにはプレーンテキストやリッチテキストフォーマット(RTF)、さらにはAdobe社の特定PDF実装も含まれている。つまり、DFDはODFを前面に押し出す日ではない、と言う。

 DFDサイトの内容はGNU Free Documentation Licenseに基づいているが、これについても、「ぼくらは、当然、すべてのフリーライセンスを支持していますよ」とJelicは言う。

 DFD計画が初めて発表されたのが2月20日である。それ以後、54ヶ国の170を超える草の根団体から関心が寄せられ、世界各地のFree Software Foundationのほか、IBM、Red Hat、Sun Microsystemsなどの企業からも支持が表明されている。アルゼンチンやブラジルなど、南米諸国でDFDイベントの人気がとくに高いのは、FSF Latin Americaの活発なプロモーション活動の賜物かもしれない。

 「DFDはいいアイデアだ――そう認識されているという印象があります」とJelicは言う。「なにしろ、団体登録がほとんど毎日のようにあって、DFDコミュニティの成長はすべての面でぼくらの期待を上回っています」

 支持を表明している熱心な団体のなかには、一部、活動が曖昧で、DFDのために急遽作られたと見られるものもあるが、その他は、各地フリーソフトウェアコミュニティのメンバーがDFDに向けて立ち上がった結果である。これまでのところ、DFDへの参加を予定している人々には各地のユーザグループ、大学生組織、ソフトウェア法に関心を持つ弁護士、Software Freedom Dayの関係者、各地のエコグループなどがいる。ほかに、Creative CommonsやCopyNightの関連グループ、著作権問題を考える草の根団体、People & Planet(最近、フリーソフトウェアを活動の中核目標に取り入れたイギリスの大学生グループ)なども含まれる。

 こうした支持者の名簿を見て、DFDはフリーソフトウェアコミュニティ限定のイベントになるのではないかと懸念する向きもある。だが、Jelicの考えは違う。参加者には十分な多様性があって、将来への期待を抱かせるものだ、と言う。

 「大規模なグループに接触していくためのとてもいいスタートだと思いますよ。DFDの活動やイベントが、企業・学校・地方自治体・政府機関といういろいろな場所で行われます。これらの団体からのフィードバックを見るかぎり、ほとんどは、とにかく大勢の人間を呼び込むことに照準を合わせているみたいですから」

 DFDプロジェクトは、毎年3月の最終水曜日のイベントを計画するだけのものではない、とJelicは強調する。「1年を通して絶えずコミュニティに働きかけ、協力し合ってさまざまな計画やプロジェクトを展開していきます。オープン標準の推進といった重要な活動は、結束力のある強力なコミュニティにしか起こせません。多くの人や組織を呼び込めるのも、そういうコミュニティがあればこそです」

 「DFD自体は、いつも活動しているコミュニティメンバーが集まって、生産的な時間を過ごすという1日になるでしょう」とJelicはつづける。「それがDFDの基本原則とも言えます。今後もそういう日でありつづけるよう最善を尽くします」

 今年からというにはもう遅いが、将来のDFD活動に関心があり、登録を望む人々は、Team FAQを読んだうえで、チームとして登録してほしい。登録したチームには、公式の人的・物的援助が与えられる。

Bruce Byfieldはコンピュータジャーナリスト。Linux.comとIT Manager’s Journalに定期的に寄稿している。

Linux.com 原文