オープンソースのクラウドプラットフォーム「OpenStack」最新版公開、次期Ubuntuでも採用予定

 オープンソースのクラウドインフラプラットフォーム・プロジェクトのOpenStackは2月3日、最新版「Bexar」を公開した。また、Ubuntuを開発する英Canonicalや米Cisco SystemsがOpenStackプロジェクトに加入することも同日発表された。

 OpenStackは、2010年7月に米航空宇宙局(NASA)と米Rackspaceが立ち上げたオープンソースのクラウドプラットフォーム開発プロジェクト。標準の確立とクラウドの相互運用を目指している。NASAが開発するクラウドコンピューティングプラットフォーム「Nebula」をベースとした仮想プライベートサーバープロビジョン・管理システム「OpenStack Compute」(Nova)や、Rackspaceのファイルストレージシステム「Cloud Files」を土台としたストレージ「OpenStack Object Storage」(Swift)などで構成される。OpenStackには米Citrix Systems、米Dell、米Intel、NTTデータなど約50社が参加している。

 Bexarは、2010年10月に公開した「Austin」に次ぐ最新版。約130人の開発者が参加し、30もの新機能が加わった。Object Storageが5GB以上の大規模なオブジェクトに対応、Amazon S3との互換性も実験的に導入されている。認証サービス「Swauth」も実装され、ストレージと認証システムの拡張性を実現するという。

 また、ComputeがIPv6に対応、Hyper-Vハイパーバイザのサポートも加わった。そのほか、「OpenStack Image Registry and Delivery」(Glance)でもAPIの統一、Glance REST-ful API経由でのディスクイメージアップロードなどの機能が加わっている。

 同日OpenStackに正式加入したCanonicalは、次期版「Ubuntu 11.04」(Natty Narwhal)でBexarを技術プレビューとして提供すると発表した。その後のフィードバックを得て、正式サポートにしていく計画という。Ubuntuは「Ubuntu Enterprise Cloud」でクラウドプラットフォーム「Eucalyptus」をサポートしているが、OpenStackにも非公式に関わってきたという。Canonicalはクラウドサポートについて「目標はUbuntuがオープンソースのクラウド開発・実装向けに最高の統合エクスペリエンスを提供すること」と説明しており、両方の技術をサポートしていく意向を見せている。

 BexarはOpenStackのWebサイトよりダウンロードできる。

OpenStack
http://www.openstack.org/

英Canonical
http://www.canonical.com/

米Cisco Systems
http://www.cisco.com/