OpenBlockS 600とHinemosで作るネットワーク管理・監視システム――アプリケーションマネージャを使ってみよう 6ページ

「オープンソースパッケージ」の利用

 アプリケーションマネージャで「オープンソース」カテゴリに分類されているものは、オープンソースのアプリケーションをOpenBlockS 600向けにコンパイルしたものである。OpenBlockS 600用のPowerPC binaryであるだけでなく、OpenBlockS 600のSSD/Linuxやディレクトリ構成にあわせて設定が行われている。

 オープンソースのアプリケーションについては、「有償ソフトウェア」や「オープンソース+GUI」と異なり、リスト形式で表示される(図26)。

図26 「オープンソース」のアプリケーション一覧表示画面
図26 「オープンソース」のアプリケーション一覧表示画面

 ここでは一覧に表示されている「Pkgsrc Path」、「ファイル名」、「Webサイト」、「コメント」をそれぞれで前方一致で調べることが可能だ。リスト上部にあるテキストボックスに検索文字列を入力することで、表示するパッケージを絞り込める。探しているソフトウェアの名前などが分かっているような場合は、これを利用すると探し易い(図27)。

図27 リスト先頭のテキストボックスで絞り込み検索が行える
図27 リスト先頭のテキストボックスで絞り込み検索が行える

 インストール時にも注意書きが表示されるが、「オープンソース」に分類されているソフトウェアに関しては動作保証や利用に関する保障が行われているものではない。ソフトウェアそのものに対するサポートもぷらっとホームでは行っていないので、その点に留意して利用してほしい。

 また、複数のアプリケーションを同時にインストールした場合の状態は考慮されていないので、たとえば同じ機能を持つアプリケーション(たとえばapacheとlighttpdなど)を同時にインストールしたような場合は、デフォルト設定のままでは動作しなかったり、またほかのアプリケーション機能と衝突する場合もある。その点にも注意しよう。

 インストールの手順については先に説明している有償ソフトウェアやオープンソース+GUIの場合とほぼ同じだ(図28、29)。ただし、GUI設定画面がないため、ライセンスキーの取得は不要である。

図28 オープンソースソフトウェアのインストール画面
図28 オープンソースソフトウェアのインストール画面
図29 インストール後に情報が表示される
図29 インストール後に情報が表示される

 一方、サーバーアプリケーションなど一部のアプリケーションについては、インストールを行ったあと各種設定が必要な場合もある。アプリケーションマネージャでインストールしたアプリケーションは/usr/pkg以下に置かれ、アプリケーションの設定ファイルは/usr/pkg/etc以下に配置される。たとえばlighttpdの場合、インストール時に専用のディレクトリ「/usr/pkg/etc/lighttpd」が作成され、そこに設定ファイルが格納される。ただし、すべてのアプリケーションがそういう構成になっているわけではないようだ。

 オープンソースアプリケーションとして用意されているアプリケーションに関しては、インストールされる設定ファイルはごく一般的なものがほとんどで、特にOpenBlockS 600向けに修正されているわけではない。そのため、そのままでは起動しなかったり、実用にならなかったりするものもあるため、インストール後に設定を確認する必要がある。

 特にOpenBlockS 600の場合、ルートディレクトリを含む多くのディレクトリ/ファイルがRAMディスク上に格納されており、これらのファイルは再起動を行うとすべて消えてしまう。そのためOpenBlockS 600では、RAMディスク内のファイルやディレクトリを自動的にバックアップする機構が用意されている。バックアップするファイルやディレクトリは「/etc/flashcfg」という設定ファイルで指定できる。ここに列挙されたファイル/ディレクトリはシャットダウン時に内蔵フラッシュメモリにバックアップされ、起動時に復元される仕組みだ。

 例えば/etc/flashcfgに次のように記述されていた場合、「/etc/inittab」というファイルと、「/etc/ppp」というディレクトリ以下はシャットダウン時/起動時に自動的にバックアップ/復元される。

/etc/inittab
/etc/ppp

 一方、元々コンパクトフラッシュ上にある/usr/pkg以下や、上記の/etc/flashcfgで指定しているファイル/ディレクトリ以外は、再起動を行うとすべて消えてしまう。ログデータや再起動後も残っている必要があるファイルなどは/usr/pkg以下に保存するか、もしくはバックアップを行うように/etc/flashcfgで指定する、別のストレージやNFSを活用するなどして、OpenBlockS 600の再起動後も消えないように設定を変更する必要がある。lighttpdのデフォルトの設定ファイルの場合、server.document-rootやserver.errorlog、accesslog.filenameなどのパラメータは少なくとも修正が必要だろう。

 また、アプリケーションによっては自動起動用のスクリプトが提供されていることがある。これらは「/usr/pkg/etc/rc.d」以下に配置される。lighttpdの場合は「/usr/pkg/etc/rc.d/lighttpd」だ。このスクリプトを利用する場合は、/etc/rc.confにこのファイル名(この場合「lighttpd」)というパラメータと値を記述しておく必要がある。たとえば以下のように値を「YES」に設定しておけば、システムの再起動時にアプリケーションが自動的に起動される。

lighttpd=YES

 起動スクリプトにはいくつかのコマンド引数を与えられる。引数なしで起動すれば使用できる引数が確認できる。

# /usr/pkg/etc/rc.d/lighttpd
Usage: /usr/pkg/etc/rc.d/lighttpd [fast|force](start stop restart rcvar reload)

 アプリケーションを起動するには引数に「start」を、停止するには「stop」を指定すれば良い。たとえばlighttpdを起動するには次のようにする。

# /usr/pkg/etc/rc.d/lighttpd start
Starting lighttpd.

 これでアプリケーションが起動し、利用できるようになったはずだ。また、さきほど述べた「/etc/rc.conf」でlighttpdパラメータを設定しておけば、再起動後も自動的に起動してくるはずである。