Red Hat、Intelと共同開発した新興市場向けデスクトップLinuxを発表――vPro対応の仮想化技術も2008年にリリース
Red Hat Global Desktopは、新興市場の小規模企業や政府機関をターゲットとしている。Intelは同OSを、現行および将来のClassmate、 Affordable、Community、Low-CostといったPCプラットフォームでサポートする計画だ。
Red Hatは、来月出荷予定のRed Hat Global Desktopにより、同社のデスクトップ戦略を支える3つの柱がそろうことになると説明する。他の2つの柱は、3月にリリースした企業向けの「Red Hat Enterprise Linux 5」と、「One Laptop Per Child(OLPC)」プロジェクトで提供される発展途上国の学生向けノートPCに対応する「Red Hat Linux」だ。
「これらはそれぞれ3つの異なる市場向けの重要なクライアント製品だ」と、Red HatのエンタープライズLinuxプラットフォーム事業担当バイスプレジデント、スコット・クローフォード氏。「われわれはWindowsの後追いでLinuxを提供するのではない。これらの製品により、オープンソースと Linuxが違いを発揮できる分野を開拓するためだ」と、同氏は付け加えた。
だが、こうしたRed Hatのクライアント戦略に首をかしげる向きもある。一部の業界観測筋は、Red Hatの本領はサーバ・ソフトウェアの提供だと指摘する。
イルミネータのアナリスト、ゴードン・ハフ氏は、「Red HatがOLPCプロジェクトの人々とやっていることは、同社の本来のビジネスとはズレがある。彼らは、発展途上国での活動により、グローバルなLinuxサプライヤーとしてマインドシェアを獲得することになる」と語る。
また同氏は、「Red Hatのこうした活動に利他的な意図があるのは確かだ」としたうえで、「一連のクライアント製品の発表は、グローバル・ブランドの構築に最終的なねらいがある。彼らのブランドは、世界中の多くの地域では米国ほど強力ではない」とも指摘する。
Red Hatは9日、IntelのビジネスPC向けプラットフォーム「vPro」に対応する仮想化技術を同社と共同開発していることも発表した。この技術では、セキュリティ・サービスやプラットフォーム管理機能を提供する各種の仮想アプライアンスがサポートされるという。Red Hatはこの技術を「Red Hat Virtual Appliance OS」と呼んでいる。
Virtual Appliance OSは、「ウイルス対策サービスやシステム監視サービスは、OS上で動作させるのではなく、デスクトップ上で、独立した仮想アプライアンスとしてOSと並行して動作させるべき」という考えに基づくものだ。
Red Hatは、Virtual Appliance OSプラットフォームに対応したソフトウェアの開発を支援するため、仮想化ハイパーバイザのサポート、「Virtual Service OS」、SDK(ソフトウェア開発キット)などを提供する計画だ。
同社のクローフォード氏は、Virtual Appliance OS対応の具体的なセキュリティ・ソフトウェアや管理ソフトウェアについて、今後数週間から数カ月の間に発表があることを示唆した。
またクローフォード氏は、Virtual Appliance OSの利点について、すべてのI/Oが仮想マシン基盤を通過するようになっていることを挙げる。「これにより、I/Oストリーム全体が、OSに送られる前にセキュリティ・アプライアンスや管理アプライアンスによってチェックされる」(同氏)
このアーキテクチャは、OSがウイルスに感染するのを防止するが、ユーザーがマルウェアをインストールしてしまった場合も、Virtual Appliance OSは、そのマルウェアがネットワークに出て行かないようにすることができる、と同氏は説明した。
Virtual Appliance OSは今年中にベータ版がリリースされ、正式版は2008年に登場する見通しだ。
(ジョン・フォンタナ/Network World オンライン米国版)
米国Red Hat
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提供:Computerworld.jp