NovellとRed Hat、デスクトップLinuxへの取り組みをアピール――両社とも管理機能の強化や仮想化技術などを強調

 Linux市場でライバル関係にある米国NovellとRed Hatが、デスクトップLinuxへの取り組みをアピールしている。Novellが自社イベントでSUSE Linuxベースのシンクライアントを発表したのに対し、Red Hatは先ごろリリースしたRed Hat Enterprise Linux新版でのデスクトップ機能の先進性を力説している。

 Novellはソルトレークシティで開催中の自社イベント「BrainShare 2007」で、昨年7月発表の「SUSE Linux Enterprise Desktop 10」に改良を加えたことを明らかにした。同社では、そうした改良を「Service Pack(SP)1」にまとめ、19日にリリースしている。

 同社CTO(最高技術責任者)のジェフリー・ジャッフェ氏によると、SPは通常はバグ・フィックスに当たるが、今回のSP1には、デスクトップ仮想化技術や、Linux環境でWindowsを稼働させる機能などが含まれているという。なかでもWindowsのサポートは、昨年11月に発表されたMicrosoftとの提携に基づいて追加されたものだ。

 「当社は、SUSE Linux Enterprise Desktopをデータセンターでの使用に耐えうるものへと発展させ、仮想化技術を新たな段階へと導いた」とジャッフェ氏。SP1は現時点ではベータ版で、正式版は5月にリリースされる予定だ。

 また、NovellはBrainShare 2007で「SUSE Linux Enterprise Thin Client」も発表した。これは、SUSE Linux Enterprise Desktopとイメージ作成ツールキットを組み合わせたシンクライアント製品で、同社ではデータ・セキュリティの向上や管理機能の改善を施したと説明している。

 IDCのコンサルティング/調査担当ディレクター、クリス・イングル氏は、このシンクライアント製品により、これまで主にサーバ環境で使われてきたLinuxをデスクトップでも採用する動きが活発化すると見ている。

 「デスクトップLinuxの普及を阻んできた主な要因は、OSに関するスキル不足、およびサポート製品の少なさだった。しかし、Novellがサポートを発表したことで、デスクトップLinuxに勢いがつくことは間違いない」(イングル氏)

 一方、Red Hatのほうも、3月14日に正式リリースした新OS「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)5」のデスクトップ機能をアピールしている。同社のエンジニアリング担当バイスプレジデント、ポール・コーミア氏は、21日に自身のブログで、「RHEL5は、当社が考える新世代のエンタープライズ・デスクトップ」と記している。

 コーミア氏は、RHEL5のデスクトップ機能の特徴として、新しいユーザー・インタフェースとビジネス・ツール、仮想化技術、管理機能を挙げている。また、あらゆる企業のナレッジ・ワーカーがメイン・ターゲットだと強調した。

 さらに、「当社の目標は、他のプロバイダーからでも入手可能なデスクトップ・ソリューションのコピーを作ることではなく、顧客や市場のニーズを満たす、より便利で生産的なソフトウェアを作ることだ」と述べている。

 加えて同氏は、数カ月以内にエントリー・レベルのデスクトップ・ソリューションを発表すると約束した。

(ロバート・マリンズ/IDG News Service Sunフランシスコ支局)

米国Novell
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米国Red Hat
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提供:Computerworld.jp