学生向けのFOSS

 フリーソフトウェアコミュニティは、高校や大学の学生にとって便利なソリューションを幅広く提供している。私が使っているLinuxディストリビューションのパッケージリポジトリにも、遺伝子配列解明から素粒子物理学まで、ありとあらゆるアプリケーションが揃っている。本稿では、多くの学生にとって本当に価値があると思われる数学および化学関連のツールをいくつか紹介する。具体的には、TiLP、wxMaxima、Kalzium、Gnome Chemistry Utils、OpenOffice.org Mathである。

日本サード・パーティとスマートスタイル、「Ruby/MySQL」教育コースを共同展開

 日本サード・パーティとスマートスタイル(本社:東京都渋谷区)は2008年8月18日、「Ruby/MySQL」教育コースを共同展開すると発表した。日本サード・パーティの東京・品川と大阪の2カ所のトレーニングセンターで提供。10月に開講する。料金は未定だが、3日間コースで18万円程度になる見込み。

子供も大人も楽しめるTuxpaint

 私の孫娘はヨチヨチ歩きができるようになる以前から、私の膝に腰掛ける形でコンピュータに接してきた。マウスに興味を持ちだしたのは生後数カ月の段階で、早くもその頃から画面上のカーソル操作をするようになっていたのである。そうした様子を笑いながら見ていた友人の1人は、「この子が3歳になったらカーネルのコンパイルをやらせるようになるんでしょ」と冷やかしていたものだった。今や3歳になった孫娘がカーネルのコンパイルに手を出すことはないが、その代わりに何時間も遊んでいるのがTuxpaintである。

Windowsと戦うことの危険――Famelixの場合

 GNU/Linuxデスクトップには、どれだけWindowsに似せるべきかという問題がついてまわる。普通は、新しいユーザにも馴染みのある外見を持たせるべきか、あくまでも論理性を最優先にして開発を進めるべきか、という観点から激論が戦わされるが、最近、ブラジルで Famelix というディストリビューションの身の上にやや毛色の変わった出来事があった。どうやら、外見をWindowsに似せ、性能でそれを凌駕することにも危険がつきまとう。その危険とは、著作権侵害の汚名と、Windows大好き経営陣による方針の転換である。

Tulip――巨大なノード数に対応したグラフ作成ツール

  Tulip は巨大なグラフを作成し、様々な視覚効果や操作を加えた上で、その結果をエクスポートすることを想定して作られたフレームワークである。TulipはGraphvizパッケージで作成されたグラフをインポートできると同時に、各種のビットマップ画像およびSVGやEPSフォーマットにてエクスポートすることも可能であり、PDFファイルでの使用も視野に入れた作業で利用することができる。

Edubuntuで子供たちに教えられること

 Edubuntuは、教育過程にある子供たちを対象とした、Ubuntuのカスタマイズ版だ。ホームページには“子供や若年者のためのLinux”と記されているが、3人の子供がいる私もEdubuntuを活用している。私は自宅で彼らの勉強を見ており、2台のコンピュータでEdubuntuが稼働している。息子たちは子供向けに作られたオペレーティングシステムを気に入っており、私自身は各種のアプリケーションで学習のプロセス全体をカバーするという方針を高く評価している。

Linuxマシンで分散型コンピューティングにボランティア参加する

 疾病の予防や気候変動の予測などは人類全体の問題として捉えるべき課題だが、ごく一般のユーザであっても手元のコンピュータの余剰リソースをボランティア参加させるという形で、そうした複雑な問題の計算処理に貢献することができる。これはボランティアコンピューティングとして知られるコンセプトであり、世界各国の研究機関や大学がこの方式を利用しているが、その多くはアフリカで蔓延するマラリアの予測と制御を目的とするmalariacontrol.netのように人類に貢献するプロジェクトに取り組んでいる。

デジタル図書館:シェークスピアの初期印刷本75冊を無料公開

 英オックスフォード大学は3月26日(米国時間)、17世紀までに出版されたシェークスピアの戯曲の初期印刷本をデジタル化し、オンラインで無料公開するプロジェクト「Shakespeare Quartos Archive」を発表した。英米の大学や図書館と協力して取り組む。4月にスタートし、1年かけてデジタル書庫を拡充する計画。

OLPC XOに搭載されたEtoysの実地検分

 北米地区の住民に話題のラップトップを一足先に使ってもらおうという趣旨にて昨年末に実施されたGive One Get Oneプログラムであるが、そうして入手できたOLPC XOラップトップにおいて特に興味あるアクティビティの1つが同梱されたEtoysである。なおXOは学校の授業で使う教育用ツールであるという位置づけを反映して、ここでのEtoysなどはアプリケーションではなくアクティビティ(activity)と呼ばれている。

Google's Summer of Code 2008: 新たな分野、新たな動向

Google社が開催する Summer of Code (サマー・オブ・コード)は、オープンソース・フリーソフトウェアの開発に入門する世界中の学生を支援するという大がかりなイベントである。毎年夏休みに行われるこのプロジェクトも今年で4回目を迎え、過去のSummer of Codeの成果が実際に反映されるにつれて、学生参加が開発に果たす役割が再認識されている。今年はさらに多くのプロジェクトが採用され、その内容もコンパイラの機能追加からLiveCDの作成やゲームのマップエディタの開発まで、多岐に渡っている。まもなくはじまる学生応募の受付を前に、今年の傾向と印象的なプロジェクトについて紹介し、オープンソース・フリーソフトウェア振興や日本からの発信についても考えた。