MicrosoftとIBMの幹部、企業向けGoogle Appsへの警戒感をあらわに──「OfficeやLotusの強力なライバルになる」
「Assessing IBM & Microsoft Platform for Collaboration & Unified Communications」と題されたパネル・ディスカッションには、MicrosoftでOfficeビジネス・プラットフォーム・グループディレクターを務めるロブ・カリー氏と、IBMでメッセージング/コラボレーション・ソフトウェア担当兼副社長を務めるケン・ビスコンティ氏らが出席した。
両氏が強力なライバルになると警戒するのは、今年2月から提供が開始された、企業向けホスティング型アプリケーション・スイートの「Google Apps Premier Edition」だ。
Google Appsには、電子メールの「Gmail」、IM(インスタント・メッセージ)の「Talk」、ワープロ・ソフト&表計算ソフトの「Docs&Spreadsheets」、Webページ作成ツールの「Page Creator」、スケジュール/タスク管理用の「Calendar」などが包含されている。
特に企業向けのGoogle Apps Premier Editionは99.9%の稼働率を保証し、1ユーザー当たりの利用料が年間50ドルで電話サポートも受けられることから、着実に利用者数を伸ばしている。
カリー氏はGoogle Apps Premier Editionについて、「機能面ではOfficeに及ばない」としつつも、以下のように語った。
「Google Appsは主に大学などで普及していると認識していたが、その単純さと使いやすさは企業ユーザーにも歓迎されるだろう。ユーザビリティの観点からも、優れた設計思想が盛り込まれている。Google Apps Premier EditionはOfficeの強力なライバルになると認識している」
米国Forrester Researchでアナリストを務めるエリカ・ドライバー氏は、「Google Apps Premier EditionはOfficeを直撃する製品だ」と語っている。
一方、IBMもグループウェアの「Lotus Notes」や、コラボレーション・プラットフォームの「Lotus Sametime」などを擁し、その機能は、Google Appsとほぼ競合する。同社はGoogleと一部提携を結んでいるが、潜在的にはライバルだという認識を持っているようだ。
「Googleとの提携関係を維持しているのは、われわれの顧客にメリットがあると考えているからだ。Googleの幹部は、企業から寄せられるさまざまな要求に応えられるよう努力している。われわれは企業向けサービスの分野において、近い将来Googleと競合するとは考えていない。しかし、長期的に考えれば、ライバルとなる可能性は十分にある」(ビスコンティ氏)
一方、今回のパネル・ディスカッションに参加しなかったGoogleは、MicrosoftやIBMの警戒感とは裏腹に、自社のサービスが他社のビジネスを脅かすものではないとの姿勢を見せている。
Googleは先月、オフラインでもGoogle Appsが利用できる「Google Gears」技術を発表し、Google Appsの機能強化をアピールした。しかし、同社でエンタープライズ事業部製品管理担当ディレクターを務めるマシュー・グロッツバック氏は、「Google Appsの機能強化は、Office SystemやLotus Notesに対抗するためではない」と語っている。
(ジョン・ブロドキン/Network World オンライン米国版)
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提供:Computerworld.jp