バルマー氏、「ソフトウェア・プラス・サービス」戦略を明らかに――ホスティング型ビジネス・サービスの手始めはハイブリッド・モデル

 米国MicrosoftのCEO、スティーブ・バルマー氏は7月10日、従来のように「ソフトウェアを提供する企業」から「“ソフトウェア・プラス・サービス”を提供する企業」へと移行するための計画と、そのロードマップを明らかにした。

 バルマー氏は今週デンバーで開催中の「Worldwide Partner Conference(WPC)2007」(7月10~12日)で基調講演を行い、初期のタイムフレームも含め、移行計画の概略を発表した。

 同社は従来のソフトウェア・ポートフォリオに、ホスティング型の各種ビジネス・サービスを徐々に追加していきたい考えだ。ただし、バルマー氏の発言内容は、これまでに同社の他の幹部が明らかにしていたものばかりであった。

 バルマー氏は、「ソフトウェア・プラス・サービスは、今こそがチャンスだ」と強調しながらも、来年にかけてはこれまでどおりインストール型のソフトウェアを中心に販売していくとし、徐々にハイブリッド・モデルへの移行を進めていく方針だと語った。

 ホスティング・サービスの比率を徐々に高めていく計画について、Microsoftが最初に言及したのは、昨年ボストンで開催された「TechEd Conference」で、同社のチーフ・ソフトウェア・アーキテクトのレイ・オジー氏が講演したときのことだ。とはいえ、Microsoftにはほかに選択の余地がないというのが大方の見方だ。

 Salesforce.comやGoogleなど、最初から Webベースのサービス・プロバイダーとして事業をスタートさせた競合各社を相手に、Microsoftがどこまで渡り合えるかについては疑問が残る。一方、企業の間ではWebベースのサービスに対する抵抗感が薄れ、エンタープライス市場は着実にホスティング・サービスの方向へと向かっている。

 ホスティング・サービスの拡充は、Microsoftのビジネスのあらゆる側面に影響を与える。バルマー氏は、とりわけユーザー・インタフェースがこの分野の革新に重要な役割を担っており、同社が4月にリリースした「Silverlight」技術がその中核となるとしている。Silverlightはリッチな動画や双方向メディアをWebサイト上で配信するためのWebブラウザ・プラグインだ。

 また、バルマー氏によると、ソフトウェア・プラス・サービス戦略には、パートナー各社がサービスを構築するための堅牢なプラットフォームも重要となる。Microsoftはすでに、「Windows Live Hotmail」や「Windows Live Local Search」など、コンシューマー指向の各種サービスを組み合わせて提供しているが、今後は企業向けサービスの拡充に取り組む方針という。

 バルマー氏によると、Microsoftはすでに、「Exchange Hosted Services」や「Office Live」など、いくつかのビジネス・サービスを発表しているが、今後は、ソフトウェア・プラス・サービス戦略の一環として、こうしたサービスがさらに拡充されていくことになりそうだ。

(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)

米国Microsoft
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提供:Computerworld.jp