Google、GmailとDocs & Spreadsheetsの連携を強化へ――Microsoft「Office」を凌駕するコラボレーション機能を提供
Docs & Spreadsheetsに含まれるワープロ・ソフトや表計算ソフト、そして今後追加されるプレゼンテーション・ソフトは、Microsoftの「Office」ほど多彩な機能をサポートしていないが、コラボレーション機能を強化すればOffice以上のメリットをユーザーに提供できるとGoogleは考えている。
とりわけ、複数のワークグループによる共同作業が可能になれば、Officeとの差別化という点で大きな武器になると同社は見ているようだ。Docs & SpreadsheetsのファイルはGoogleがホスティングしており、複数のユーザーが閲覧、編集できるよう設計されている。一方、Wordや Excel、PowerPointの場合は、もともとがデスクトップ・アプリケーションであるため、複数ユーザーによるコラボレーションが難しいという。
Docs & Spreadsheetsと、GmailやIM(インスタント・メッセージ)サービスの「Talk」とは、現時点でも基本的なレベルで連携することはできる。例えば、Gmailで添付ファイルを直接開き、Docs & Spreadsheetsに直接アクセスすることなくワープロを立ち上げたり、Docs & SpreadsheetsからGmailの連絡先リストを呼び出して電子メールを送信したりすることは、今でも可能だ。
しかし、このような機能は初歩的なものにすぎないと、GoogleのDocs & Spreadsheets担当エンジニアリング・ディレクター、サム・スキラース氏は言う。「われわれは、GmailとDocsの間にある壁に穴を1つ開けたという感触を得ており、これからもっとたくさん穴を開けたいと考えている。当社は現在、Docs & Spreadsheetsの問題点を明確に認識し、次のステップに進む準備を整えつつある」と、同氏は語る。
スキラース氏が言う“次のステップ”とは、文書上でのメール作成機能の充実と、文書の一部をメールに自動的に取り込む機能のサポートだ。「例えば、文書上でメールを作成する機能をもっと充実させれば有益だろうし、ユーザーがコメントしている文書の一部を自動的に取り込めるようなメールのフォームを呼び出す機能があれば便利だ。このほかにも、文書の一部を使ってもう少し便利に共同作業ができたらと考えている」(同氏)
GmailとDocs & Spreadsheetsとの壁を突き崩すものとしてGoogleが期待しているのが「Writely」だ。このワープロ・ソフトは、開発元のアップスタートルをGoogleが買収したことで知られるようになった。スキラース氏によると、Writelyは、電子メール・ソフトとワープロの中間的な存在であり、どちらか一方ではないという。
スマッシングレッド・ウェブ&マーケティング代表のジェイ・ギルモア氏は、こうしたGoogleの計画に期待を寄せている1人だ。同氏は、GmailとDocs & Spreadsheetsの緊密な連携が実現すれば、外部のコピーライターとの共同作業などに役立つのではないかと考えている。しかし同氏は、Gmailを改善するのなら、まずは連絡先管理機能を強化するべきだと指摘する。
今年2月に「Google Apps」の登録ユーザーとなった同氏は、「カレンダーと連絡先管理機能がきわめて不十分」と不満を漏らす。Google Appsは、Docs & Spreadsheets、Gmail、Calendarなどから成る多機能通信/コラボレーション・スイートだ。
Googleの計画には、GmailとTalkの統合に加え、写真管理アプリケーション「Picasa」などとDocs & Spreadsheetsとの連携も含まれている。「近年、あらゆるアプリケーションが意味のある形で結び付きを強めており、われわれもそのトレンドに従うつもりだ」とスキラース氏は語っている。
(ホアン・カルロス・ペレス/IDG News Service マイアミ支局)
米国Google
http://www.google.com/
提供:Computerworld.jp