デジタル写真の管理に役立つ自動処理ツール

 旅行から帰って来てデジタルカメラの写真をファイルサーバにコピーする際に、ファイル名を変更したり、(画質を落とさずに)回転させて縦横の向きを見やすく変えたりしたいことがある。さらに、画像ファイルにコメントを埋め込んで、どんな画像ビューアでもそうしたメタデータの読み取りや共有ができるようにしたいこともある。この記事では、そんなときに役立つコマンドラインツールをいくつか紹介する。

Linux用のID3タグ・エディタ6種類を試す

 デスクトップ用Linuxでは、Xine、MPlayer、Amarokなど、さまざまなマルチメディアプレーヤーを利用できる。こうしたデジタルメディアプレーヤーをフル活用するためには、再生するファイルの中身を充実させることが欠かせない。それには、できるだけ優れたタグエディタを利用するのが一番だ。今回は、安定動作して広く利用されているGUIのID3タグエディタ6種類を試してみた。結論から言うと、優れたタグを作成するためには、複数のエディタを組み合わせて使う必要がありそうだ。

優れたベクターグラフィックス描画ツールsK1

 その名前からはピンと来ないかもしれないが、 sK1 は優れたベクターグラフィックス描画プログラムである。同じカテゴリのより有名なツールとしては、Inkscape、Dia、OpenOffice.org Drawなどがあるが、sK1にはCorelDrawのCDRファイルを読み込み、Linuxで使用可能なフォーマットに変換するという、他のLinuxアプリケーションにはない機能が存在する。

CD/DVDイメージを操作するAcetoneISO2

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 CDなどのディスクを失敗せずに焼くことがLinuxの関心領域でなくなって久しいが、これはK3bやGnomeBakerといったツールのおかげである。もう1つ重要なツールがある。 AcetoneISO2 は、ディスクイメージの管理の面で「スイスアーミーナイフ」のごとき多用途のツールとなることを目指している。この便利なツールを使うと、さまざまな形式のイメージ(.nrg、.bin、.imgなど)をISO形式に変換できる。また、ISOイメージの生成、圧縮、暗号化、抽出、マウントといった操作を行える。さらに、Mac OSの*.dmgファイルをイメージとしてマウントする、DVDをリッピングしてXvid AVIファイルを生成する、イメージを分割/結合するなど、そのほかにも多くのことを行える。

Collabora、オープンソースビデオエディタPiTiViの開発に資金提供

 オープンソース系のマルチメディアを専門に扱うコンサルタント会社Collaboraが、ノンリニアビデオエディタPiTiViに取り組むために開発者を雇おうとしている。英国のケンブリッジに本拠を置くこの会社は、GStreamerメディアフレームワークとGStreamerに依存するその他のプロジェクトに重点的に力を注いでいるので、PiTiViを扱うのは当然の成り行きと言えるだろう。これはLinuxデスクトップで久しく懸案となっている隙間を埋めるものでもある。

Vector Linux Multimedia Bonus Discでマルチメディアのプロに

 オーディオ、ビデオ、およびグラフィックスのプロの多くがLinuxに切り替えたがっているものの、Linux上でマルチメディアを処理するという困難な問題に取り組むのは御免だと思っているか、そのようなツールが欠如しているらしいとの噂で尻込みしている。私はこの問題と認識への取り組みとして Vector Linux Multimedia Bonus Disc (MMBD)を作成した。これは完備したマルチメディア作成システムであり、Linuxで利用できる何百もの優れたマルチメディアアプリケーションが含まれている。

SMPlayer:MPlayerのラッパーとなる高機能なマルチメディア・プレイヤー

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 ソフトウェア用語では、別のオブジェクトに対するインタフェースを提供するものをラッパーと呼ぶ。SMPlayerは、MPlayerのラッパーとなる高性能なマルチメディア・プレーヤーだ。使いやすい強力なフロントエンドでMPlayerを操作できる。その用途は、DVDやVCDの視聴、Web上の動画のストリーミング再生、オーディオCDやMP3の再生など、多種多様だ。

大幅な改良が施されたVLC 0.9.2

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 VLCを使っていると、ときおり、全機能の5%ぐらいしか知らないのではないかと思わせられることがある。ご存じのように、VLCはフリーかつクロスプラットフォームの頼りになるメディア・プレーヤーだ。しかし、最新版0.9.2のリリース・ノートを見ると、サーバー、ネットワーク・ストリーミング、変換など、私がこれまで使ったことのない機能がずらっと並んでおり目まいがするほどだ。最新版VLCはメディア再生機能より、そうした機能の方がはるかに多いのだ。

GNU/Linuxのベクタ画像編集ツール

 10年前は革新的だったベクタ画像形式だが、今やコンピュータで画像を表示する標準的な手法になりつつあり、KDE 4のデスクトップにも採用されている。こうした普及の理由は、画像を数式で表現するベクタ画像(通常はSVG[Scalable Vector Graphics]形式)のほうが、画像をピクセル単位で再現するラスタ画像(ビットマップ形式)よりも画面への表示が高速で美しく、サイズ変更が容易なことにある。ベクタ画像を扱えるフリーソフトウェアとしては OpenOffice.orgのDraw、KOfficeのKarbon14、Inkscapeなどがあるが、現時点ではInkscapeが最も優れたフリーのベクタ画像エディタといえる。

コマンドラインでデジタル写真にメタデータを追加する

 デジタルメディアファイルの有用性は、メタデータをタグ付けすることでより高くなる。つまり、写真の説明をそれぞれの画像に埋め込んだり、外部データベースに保存したりできるのだ。 ExifTool は、写真、オーディオ、ビデオのメタデータをLinuxで管理する効果的なツールであり、柔軟性が高くて手軽に使える。ここでは、ExifToolを使ってJPEGファイル内のEXIFデータを処理する方法を紹介する。

Photoshopフィルターを使うためのGIMPフィルター User Filter

 GIMPはフィルターが数十もあると自慢しているが、Photoshopなどには何千もあり、このギャップがGIMPの普及を阻害している要因の一つになっている。画像を鉛筆画風にしたり印象派やキュービズムといった有名な絵画スタイルをまねたりする特殊効果が必要になることは多くないかもしれないが、いざそれが必要になったとき、そうした効果を簡単に付けることのできるフィルターがあれば時間を大幅に節約することができる。このギャップを埋めようと、GIMPは1.xリリースにあったUser Filterを復活させた。このフィルターは一種のメタプラグインで、導入するとPhotoshopフィルターをインポートし管理することができるようになる。また、知識さえあればフィルターを自作することもできる。

Linuxによるビデオ編集 [9/12更新]

 プロフェッショナルな映像分野ではCGのレンダリング・ファームやノンリニア編集システムでLinuxが活躍しているというのに、コンシューマ向けのLinux用ビデオ編集ツールは非常にお寒い状況である。おそらく、Linuxの「バージョンアップが早く」、「さまざまなディストリビューションが存在し」、「それらをまとめてもデスクトップ市場で少数派である」という状況が、ベンダーに市場参入を躊躇させるのだろう。