Vector Linux Multimedia Bonus Discでマルチメディアのプロに
オーディオ、ビデオ、およびグラフィックスのプロの多くがLinuxに切り替えたがっているものの、Linux上でマルチメディアを処理するという困難な問題に取り組むのは御免だと思っているか、そのようなツールが欠如しているらしいとの噂で尻込みしている。私はこの問題と認識への取り組みとして Vector Linux Multimedia Bonus Disc (MMBD)を作成した。これは完備したマルチメディア作成システムであり、Linuxで利用できる何百もの優れたマルチメディアアプリケーションが含まれている。
MMBDはVector Linux用のアドオンで、このディストリビューションのインストール済みコピーに直接インストールされる。VectorはSlackwareベースのディストリビューションで、スピードと柔軟性を目指して作られている。Slackwareは古めかしくて洗練されていないオペレーティングシステムと見なされることがあるが、安定性とクリーンで信頼できるコアには定評がある。Vector LinuxはSlackwareを改良したもので、ユーザフレンドリな点を強化し、スピードの点でも多くの改良を行っている。Vector Linuxは速くてフレンドリーで柔軟な今風のディストリビューションであり、多くのマルチメディア処理にとって完璧なプラットフォームとなっている。
MMBDコレクションには、オーディオとビデオとグラフィックスを含めて何百ものマルチメディアプログラムが収められている。既知のコーデックのほとんどすべてをサポートしており、それらの間での変換機能も備わっている。
利用できるオーディオアプリケーションとしては、Ardourなどのプロフェッショナルなデジタルオーディオワークステーション(DAW)や、Audacity、Sweep、MhWaveEditなどのオーディオエディタがある。MixxxやTerminatorXといった選り抜きのデジタルDJソフトウェアにより、アーティストが自分の音楽をいじったり歪ませたりすることができる。また、Hydrogen、LMMS、JackBeatといったツールを使えば、自分自身のデジタル音楽を作成することさえできる。MMBDにはオーディオアプリケーションに加え、300を超えるオーディオエフェクトとプラグインが含まれており、これらはオーディオエディタの多くで直接使用できる。
MMBDのビデオアプリケーションとしては、Kinoからもっと高度で特殊化されたものまで種々のビデオエディタがあり、CinePaintなどのモーションピクチャレタッチシステムもある。今のところCinelerra(よく知られたLinuxビデオエディタ)は含まれていない。というのは、Cinelerraにはいくつかの バグがあり、そのためにVector Linuxに含まれている最新のXサーバでパッケージできなかったからだ。しかし、それらのバグが修正されれば、CinelerraもMMBDに収めるつもりだ。当面、このギャップを埋めるために、Avidemux、OpenMovieEditor、LiVesといった他のビデオエディタも収められている。
MMBDには、単純なDVDエンコーダから、複雑なメニュー構造と高度な制御をサポートする高度なアプリケーションまで、種々のDVDオーサリングアプリケーションも収められている。ManDVD(単純なウィザード風のDVD作成プログラム)を使用するとDVDを簡単に作成できるが、もっと高度な制御や機能を望む人はDVDstylerやQdvdauthorを使用することでプロ品質のDVDを作成できる。それ以外にも、コマンドライン方式のエンコーディングツールやオーサリングツールを含めて、数多くのDVD関連アプリケーションが収められている。
マルチメディアワークステーションセットアップの重要な能力の1つとして、オーディオ、ビデオ、およびイメージの形式間で変換できることが挙げられる。DVDオーサリングを行い、さまざまなソースからメディアを取って単一の形式のDVDにまとめる必要のあるユーザにとっては、この点が特に重要になる。MMBDには、少数のプロプラエタリな形式を除いて、既知のほとんどすべての形式を読み取り、書き込み、それらの間で変換を行うためのツールが収められている。ffmpeg、mplayer、tovidといったコマンドラインアプリケーションや、MultimediaConverter、Ogg Convert、Tovid GUIといったグラフィカルユーティリティも収められている。
MMBDの最後の主要なカテゴリはグラフィックスアプリケーションである。GIMP、Blender、Digikam、Hugin、Inkscape、Xara Xtremeなど、アマチュアとプロを対象にしたアプリケーションが数多く収められている。
MMBDに収められている全アプリケーションのリストはプロジェクトのWebサイトに掲載されている。
MMBDは無料でダウンロードできる。そのほかにCDで提供される$24の有料バージョンもあり、こちらにはマニュアル(印刷物)と60日間の電子メールサポートが付いている。このマニュアルでは、DVDの作成、オーディオとビデオの変換、写真によるパノラマの作成、オーディオとビデオの編集といった一般的な作業の手順をスクリーンショットと例を交えながら解説している。
MMBDのようなマルチメディアセットはほかにもある。たとえば、Ubuntu Studioとdyne:bolicと64 Studioは、マルチメディアアプリケーションに焦点を合わせた完全ディストリビューションである。しかし、MMBDはVector Linuxベースであるため、より高速でユーザフレンドリであり、ユーザにとってインストールできるプログラム、ライブラリ、コーデックの選択肢が広い。
MMBDによってLinuxにおけるマルチメディアのパワーを多くのユーザに知ってもらいたい。
世の中に広く知らせたいオープンソースプロジェクトがあれば、それをLinux.comに教えてほしい(英語)。場合によっては、そのプロジェクトについてLinux.comへの執筆をお願いするかもしれない。
Travis MallettはVector Linux Multimedia Bonus Discの指導的開発者であり、Vector Linux Solutionsの創設者でもある。彼は電気工学の会社に勤務しており、Linuxのプログラミングと使用を楽しんでいる。