「OpenOffice.org」の危機? Apache Software Foundationはこれを否定
非営利団体のApache Software Foundation(ASF)は10月14日(米国時間)、傘下のプロジェクトである「Apache OpenOffice.org」の現状についての声明文を発表した。元開発者らから「OpenOffice.orgプロジェクトは危機に面している」といった声も上がっているが、ASFは「Apache Way」でプロジェクトは進展していると強調している。
OpenOffice.orgはフリーのオフィススイート。長らく米Sun Microsystemsの支援下にあったが、2010年の米OracleによるSun Microsystems買収後はOracle傘下のプロジェクトとなっていた。その後2011年6月にプロジェクトはASFに寄贈され、ASFのインキュベータープロジェクトとして再スタートを切った。
一方、OracleによるSun買収を受け、OpenOffice.orgの開発者らが中心となりフォークプロジェクト「LibreOffice」を立ち上げた。LibreOfficeは現在The Document Foundationの下で運営されており、8月にはバージョン3.4をリリースしている。プロジェクト発足1年となる9月末には、推定ユーザー数2500万人、270人以上の開発者が参加していると発表された。
ASFのOpenOffice.orgチームによると、Apache OpenOffice.orgは現在、正式なASFプロジェクトとなるための途中段階である「Podling Project」にあるという。プロジェクトマネージャーやユーザーなどプロジェクト関係者の中から開発手法やプロジェクトの持続性に対して懐疑的な声が見られることを認めつつ、これに対し「十分にコミュニティが確立しているオープンソースプロジェクトのインキュベーションにおいて、そのような懸念が発生することは異例であるが、『Apache Subversion』や『Apache SpamAssasin』などの成功はApacheのやり方(Apache Way)が正しく働くことを証明している」として理解を求めている。
声明文ではまた、ASFのプロジェクトの多くが開発者向けであり、エンドユーザー向けのOpenOffice.orgの特異性を認めながらも、Podling Project Management Committee(PPMC)とコミッターの数は通常のASFプロジェクトの10倍あることも強調している。開発作業については、Apache Licenseで公開されていないコンポーネントやフォークされたコードベースなどの問題を挙げながら、70人以上のプロジェクトコミッターが活発にプロジェクトにかかわっており、正式リリースに向けて実用的に取り組んでいく、とも記している。
なお、この直前となる10月11日には、OpenOffice.orgの開発にかかわってきた独Team OpenOffice.orgが「OpenOffice.orgを殺すわけにはいかない」として、基金調達キャンペーンを開始している。
LibreOfficeは10月12日から15日まで初のカンファレンスを催しており、今回のApache OpenOffice.orgによる声明文はこの最中に発表されたことになる。Apache OpenOffice.orgは、LibreOfficeのこれまでの成功に敬意を表しながら、双方が理解を深め、誤った情報を拡散するのを終わらせたいとも記している。
Apache Software Foundation
http://www.apache.org/
Apache OpenOffice.org
http://incubator.apache.org/openofficeorg/
独Team OpenOffice.org
http://teamopenoffice.org/de/