電子フロンティア財団がNASAを通じて入手した「iPhoneアプリ開発者契約」を公開、「一方的すぎる」と批判
非営利団体Electronic Frontier Foundation(電子フロンティア財団、EFF)は3月9日(米国時間)、米Appleが「iPhone」アプリケーション開発者と締結する契約書を公開した。EFFは「非常に一方的な内容だ」としてAppleの態度を批判している。
この契約書は「iPhone Developer Program License Agreement」と呼ばれるもので、iPhoneやiPod touch向けにアプリケーションを開発し、App Storeで提供する場合に合意するもの。
EFFは契約書の中でも、1)契約書について語ることを禁じる、2)「iPhone SDK」を利用して開発したアプリはApp Storeでしかディストリビューションできない、3)リバースエンジニアリングの禁止、4)Apple全製品の加工の禁止(Jailbreakの禁止)、5)Appleはいつでもアプリケーションを削除できる、6)損害賠償は50ドルまで、の6つの点を取り上げ、Appleを批判している。
たとえば2)では、開発したアプリケーションがAppleによって却下された場合、「Cydia」や「Rock Your Phone」といったサードパーティによるアプリケーション配布プラットフォームでも公開できないことになり、4)ではiPodを他のオープンソースソフトウェアと相互運用可能にするようなことも禁じられるという。
EFFでは、このような一方的な契約が「大企業を含め10万人を超える開発者に適用されていることは多少の驚き」とし、その理由を、App Storeが4000万人以上のiPhoneユーザーにリーチする唯一の手段であり、Appleがユーザーを「所有」しているためだと分析している。また、「Appleのモバイル端末がコンピューティングの将来であるなら、PCの時よりもイノベーションや競争が制限された時代になる」とも記している。
EFFはAppleに対し、イノベーションと競争を促進するべきであって、嫉妬にかられた気まぐれな封建時代の領主のようにふるまうべきではないとしている。開発者に対しては、よりよい条件を求めるべきであり、ユーザーはこれを支持するべきだと記している。
iPhone向けアプリは10万以上あるが、1)のように、この契約の一部に「Appleの許可を得ることなく契約書、条件や条約について公に語ってはならない」という条項があるため、契約の内容がなかなか明らかにならなかったとEFFは予想している。EFFは米航空宇宙局(NASA)がiPhone向けのアプリケーションを開発したことから、米国政府が対象となる情報公開法(「Freedom of Information Act(FOIA)」)を利用してNASAに問い合わせ、契約書を入手したという。
EFFはWebサイトで、この契約書の2009年3月版と2010年1月版の2バージョンを公開している。
Electronic Frontier Foundation(EFF)
http://www.eff.org/