EFF、PS3ハッカーを提訴したソニーを批判

 PlayStation3のハックツールを公開したハッカー数人がソニーに提訴されたが、これに対しElectronic Frontier Foundation(EFF)は1月19日、見解を発表した。EFFはソニーの行為を「研究者と自社顧客に対する危険なメッセージ」と非難している。

 ソニーの米国子会社Sony Computer Entertainment America(SCEA)は1月12日、北カリフォルニア連邦地方裁判所にて、「PlayStation3(PS3)を解析して不正ツールをリリースし、同社の著作権を侵害した」として、iPhoneのハッキングでも知られるハッカーのGeorge Hotz(通称Geohot)氏やHector Martin Cantero氏、Sven Peter氏らを提訴した。Hotz氏などは脱獄コードなどを含む、PS3のセキュリティホールに関する情報を公開している。

 訴状では、Hots氏らの行為はデジタルミレニアム著作権法(DMCA: Digital Millennium Copyright Act)とコンピューター詐欺および不正使用防止法(CFAA:Computer Fraud and Abuse Act)などを侵害していると主張し、Hots氏らが公開したツールをインターネット上から削除することなどを要求している。

 EFFはSCEAの行動の目的について、「世界中のセキュリティ研究者に向けて、自社製品のセキュリティ欠陥情報を公開すれば追いまわすぞというメッセージを送るもの」と分析する。そして、「自社ネットワークの利用に課していた規約に違反する形でPS3にアクセスした」ことはCFAA違反であると主張した点について、研究者らはSCEAのネットワークを利用したのではなく、自分が購入した端末を使ったに過ぎないとし、「自分が購入した端末に、ソニーが気に入らない形でユーザーがアクセスすることは違法であるという主張だ」と、SCEAを非難する。

 EFFは、あるユーザーがコンピューターを購入すれば、そのコンピューターはユーザーの所有物となり、ユーザーが所有物を調べることは、(コンピューターメーカーが好まない方法であったとしても)違法ではない、主張している。

 なお、Hotz氏は1月中旬ブログで、米Microsoftの「Windows Phone 7(WP7)」のjailbreakを開始する意志を表明しているが、これに対しMicrosoftのBrandon Watson氏がTwitterでHotz氏に対しWP7を贈呈すると反応している。

Electronic Frontier Foundation(EFF)
https://www.eff.org/