FSFとCisco、GPL違反訴訟で和解

 フリーソフトウェアを支援するFree Software Foundation(FSF)は5月20日(米国時間)、米Cisco Systemsを相手取って起こしていた著作権訴訟で両者が和解に至ったことを発表した。Ciscoは今後、フリーソフトウェア担当者を設け、GNU Lesser General Public License(GPL)などのライセンスへの順守を徹底する。

 FSFは2008年12月、FSFに属する著作権を侵害したとして米ニューヨーク州南部地区地方裁判所でCiscoを提訴していた。FSFは当時、Ciscoが「Linksys」ブランドで提供する無線ルータ製品において、FSFが著作権を保有するGNU Compiler Collection、GNU Binary Utilities、GNU C Libraryなどのプログラムを、ライセンスを順守することなく利用している、と主張していた。

 FSFとCiscoは話し合いの結果、Ciscoがフリーソフトウェアのライセンスに順守することで和解に至った。和解条件としては、1)Ciscoが社内にLinksysのライセンス順守を取り締まる「フリーソフトウェアディレクタ」という役職を設け、順守状況を監視し、定期的にFSFに報告する。2)ユーザーに対しては、LinksysのWebサイトにライセンスに関する情報やソースコードを掲示する、3)これ以外の形でも追加情報を告示する、などを挙げている。Ciscoはまた、FSFに対して金銭的な貢献も行うという。

 これを受け、FSFはCiscoを相手取った訴訟を取り下げ、今後もLinksysの順守状況を監視するという。

Free Software Foundation
http://www.fsf.org/

米Cisco Systems
http://www.cisco.com/