気の利いたOpenOffice.orgエクステンション群

 どうやら、開発者たちが便利なOpenOffice.orgエクステンション(拡張機能)の作成に消極的だったのは、単に成果を公開する場所がなかったためだったようだ。OpenOffice.orgのエクステンション・リポジトリが立ち上がると、エクステンションの登録件数は急増し、その傾向に陰りは見えない。いくら量が多くても質が伴わなければ話にならないが、すでにこのリポジトリにはOpenOffice.orgの機能を拡張して作業を効率化できる優れたエクステンションがいくつか収められている。

 一見、 Bookmarks Menu はドキュメントをブックマークに追加するだけのものに思えるが、よく調べるとそれだけのエクステンションではないことがわかる。インストールを終えた時点では、「ツール」→「アドオン」の下にメニューが追加されるだけである。だが、この「ブックマークメニュー」を選択して「OK」を押すと、メインメニューに「ブックマーク」というメニューが現われる。そこには、デフォルトで「このドキュメントをブックマーク」と「ブックマークの編集」という2つのサブメニューが存在する。前者は現在開いているドキュメントをブックマーク化するもので、こうしておけばOpenOffice.orgを立ち上げるたびにそのファイルの場所を探して開く手間が省ける。もちろん「最近使用したドキュメント」から開くこともできるが、これには10件までしか保持できず、並べ替えができないという制限がある。また、Bookmarks Menuではドキュメントだけでなくマクロやシェルコマンドもブックマークとして登録できる。しかも、この作業はほんの数回のクリックで済む。

 たとえば、よく使うマクロをブックマーク化するには、「ブックマークの編集」を選択して「New(新規作成)」ボタンを押す。ブックマークに名前を付け、「Type(種類)」ドロップダウンリストで「マクロ」を選択して、「Open(開く)」ボタンを押してから、登録するマクロを選択する。「OK」を押すと新しいブックマークが保存され、マクロのブックマーク化は完了だ。ただし、こうしたマクロのブックマークがどう役立つのかを説明し始めると長くなるのでここでは割愛する。

 このエクステンションでもっと便利なのは、シェルコマンドをブックマーク化できることだ。これにより、外部のアプリケーションにコマンドを送るブックマークが作れる。たとえば、デフォルトのブラウザでお気に入りのWebサイトを開く、といったブックマークを作ることができる。そのためには、まず「ブックマークの編集」を選択し、「New(新規作成)」ボタンを押して、新しいブックマーク名を入力する。「Type(種類)」のドロップダウンリストでは「シェルコマンド」を選択し、「Arguments(引数)」リストに開きたいサイトのWebアドレスを入力する。さらに「Url」フィールドには「firefox」(あるいはほかのブラウザ)と入力し、「OK」ボタンを押してブックマークを保存すれば、作成は完了だ。

 また、「ブックマークの編集」画面の「Menu(メニュー)」ボタンを使えば、シェルコマンドや設定をエクスポートすることができる。このエクステンションを複数のマシンで使う場合に役立つだろう。

OpenOffice.org2GoogleDocs

  OpenOffice.org2GoogleDocs が何をするものかの説明は不要だろう。このエクステンションをインストールすると、OpenOffice.orgとGoogle Docsとのドキュメント交換が容易に行える機能がメインメニューに追加される。アップロード側では各種ODTドキュメントだけでなく、SXWやDOCのほか、ODS、XLS、CVSといったスプレッドシートの形式、さらにPPTプレゼンテーションもサポートされている。ダウンロード側は今なお鋭意開発中で、現時点ではGoogle Docsドキュメントをプレーンテキストファイルとしてインポートできるのみである。

Code Formatter

 多数のコードを含むWriterドキュメントの構文に色を付けることで見た目を美しくしたいと考えているなら、 Code Formatter というエクステンションが役に立つだろう。現行版でサポートされているのはC++、Java、OpenOffice.org Basicの構文だけだが、このエクステンションには動作の仕組みについての詳しい説明が付いているので、自力でほかの言語を追加することも可能だ。

 コードブロックの構文に色を付けるには、そのブロックに_OOoComputerCodeパラグラフを適用したうえで、適切なマクロ(たとえばOpenOffice.org Basicのコードであれば「MacroFormatterADP」→「Basic」→「FMT_ColorCodeCurrentBasic」)を実行する。残念ながらこのエクステンションでは専用のメニューが追加されないので、こうした色付け用のマクロは手作業で選択する必要がある。あるいは、最初に紹介したBookmarks Menuを使ってCode Formatterマクロのブックマークを作成することもできる。

OOoSVN

 ドキュメントのバージョン管理にSubversionを利用するというアイデアは目新しいものではないが、 OOoSVN ではSubversionのシステムをOpenOffice.orgから直に利用できるだけでなく、いくつかの使いやすいコマンドのおかげでSubversionの複雑さが目につかなくなる。OOoSVNを利用するには、Subversionをマシンにインストールしておく必要があるが、主要なLinuxディストリビューションの大半のリポジトリにはSubversionが用意されているはずだ。初めてOOoSVNを実行すると、ドキュメント用リポジトリの設定が行われ、その時点で開いていたドキュメントがそこに移される。すると、OpenOffice.orgのSVNメニューから使えるコマンドにより、そのドキュメントの変更をコミットしたり、以前のバージョンのドキュメントに戻したり、各バージョンをグラフィカルに表示したりできるようになる。またOOoSVNでは、OpenOffice.orgの比較機能を使ってドキュメントの2つのバージョンどうしを比較することも可能だ。

mOOo Impress Controller

 ブルートゥース対応の携帯電話が手元にあるなら、Impressプレゼンテーションの操作といった巧妙かつ便利な使い方をしてみてはどうだろうか。それを可能にしてくれるのが mOOo Impress controller だ。このツールは、コンピュータ上のOpenOffice.orgエクステンションと、携帯電話側にインストールが必要なJavaベースのクライアントで構成される。携帯側クライアントの機能は限られている。プレゼンテーションファイルを開き、表示するスライドを前後のスライドに変えるだけだ。この単純さは大きな利点の1つでもある。機能が3つしかないので、プレゼンテーションの実施中に誤操作を行う可能性が低いというわけだ。

 携帯電話にJavaクライアントを、マシンのOpenOffice.orgにエクステンションをそれぞれインストールしたら、OpenOffice.orgでプレゼンテーションファイルを開き、携帯電話でクライアントを立ち上げる。続いて、OpenOffice.orgで「mOOo Menu」→「Select Device(デバイスの選択)」を選択して「Search(検索)」ボタンを押す。見つかったデバイスの一覧から該当する携帯電話を選択して「OK」を押す。最後に「mOOo Menu」→「On」を選択すれば、プレゼンテーションを携帯電話から操作する準備は完了だ。接続を切断するには、もう一度「mOOo Menu」→「On」を選択すればよい。

 プレゼンテーションといえば、もう1つ試してみたい便利なエクステンションがある。 Sun Presentation Minimizer という、Impressファイルを元のサイズの数分の1に縮小できるものだ。これは、同僚にプレゼンテーションファイルをメールで送る必要がある場合に重宝する。面白いことに、このツールは本来のODPファイルだけでなく、Microsoft OfficeのPPTプレゼンテーションファイルにも対応している。

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Dmitri Popovはフリーランスのライターとして、ロシア、英国、米国、ドイツ、デンマークのコンピュータ誌に寄稿している。

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