OpenOffice.org Writer用レイアウト・エクステンション 4種

 OpenOffice.org Writerはワードプロセッサーというだけでなく、デスクトップパブリッシングプログラムでもある。しかし、その事実はまだWriter用エクステンションの製作に大きな影響を与えるに至っていない。それは、ほとんどの利用者がページスタイルやテンプレートなどといった文書デザインの機能を利用するより、自分で一つひとつ書式設定するのを好むからだろう。とはいえ、レイアウトのためのエクステンションも提供されるようにはなってきた。ここでは、ページの向きを変更するためのAlba、ページ番号を振るPaginationとPager、既存文書のテンプレートつまり文書の全体的レイアウトを変更するTemplate Changerという、レイアウトを自動化する4つのエクステンションを紹介しよう。これらのエクステンションは、1つを除き、OpenOffice.orgの仕組みに従ってスタイルとテンプレートを使っており、安定性は高い。

 これから紹介する4つのエクステンションはいずれも、通常の方法でインストールすることができる。つまり、ファイルをダウンロードし、メニューから「ツール」→「拡張機能マネージャー」→「マイ拡張機能」へと進んで「追加」ボタンをクリックし、ダウンロードしたファイルを指定する。インストールされると、そのエクステンションが「マイ拡張機能」の下に表示される。表示では「有効」状態になっているが、使えるのはOpenOffice.orgを再起動してからだ。

Alba

 Writerで特定のページの向きを変えるときは、メニューから「書式」→「ページ」を選択するか縦置きと横置きのページスタイルをそれぞれ少なくとも1つ設定しておき、必要に応じてページスタイルを切り替えるのだが、どちらの方法も効率的ではない。そんなときに重宝するのが Alba だ。

 Albaは、Albaが定義するセクションの中で機能する。ちょっと混乱するが、このセクションはWriterで追加できるセクションつまり独立したページの領域ではなく、ページスタイルが変わることを示すページ区切りからページ区切りまでにあるページ(1ページまたは複数ページ)のことだ。ページの下端には青い線が表示される。

 Albaをインストールすると、「挿入」メニューに「Landscape/Portrait」という項目が現れる。これを選択すると4つの選択肢、つまり現行セクションまたは次のページの向きを変える、ほかのページとは異なる向きのページを1枚作る、現在位置のページの書式に基づいて現行ページスタイルを変更するという選択肢が提示される。ダイアログは状況に応じて変わり、たとえば縦置きのページにいるときは次のページを横置きにするという選択肢が表示される。逆も同様だ。

 AlbaはWriterの既存のページスタイル体系に則って機能する。たとえば、自分で一つひとつ書式設定しているとき、Albaのオプションを適用するとL_AlbaまたはP_Albaの付いた名前でDefaultスタイルの変形版が作られる。また、First Pageなどほかのページスタイルを使っているときも、同様の名前を持つ変形版が作られる。

 以上の準備をしておけば、「スタイルと書式」パレットでAlbaが作成したスタイルを選択することでページの向きを簡単に変更することができる。しかも、各ページの元のページスタイルは保存されている。万一、元のページスタイルに戻したくなったら「Landscape/Portrait」ダイアログで「Restore Changes to Original」ボタンをクリックすれば元のスタイルが再現される。ただし、スタイルは自分で変更しなければならない。少々誤解を招きやすいボタンだ。

PaginationとPager

 ページ番号は、Writerでは、ページスタイルの機能になっている。したがって、自分で一つひとつ書式設定している人はページ番号の付け方でまごつくことが多い。しかも、メニューから「挿入」→「フィールド」→「ページ番号」へと何度もクリックしページ番号の書式を設定しなければならず、不便をかこつことになる。

 しかし、 Pagination を導入すれば、この作業はずっと簡単なものになる。実際、メニューから「挿入」→「Page Number」とクリックするとダイアログが開くので、ここでページ番号付きのヘッダーとフッターのどちらを追加するか指定するだけだ。ページ番号の揃え方、数字の種類(アラビア数字かローマ数字か)、左右のページで振り分けるかどうか、最初のページに番号を振るかどうかの指定もできる。要するに、ページ番号を自分で振らなくても、このダイアログでページ番号の基本的な設定ができるということだ。

 残念ながら、Paginationは、Default以外のページスタイルを使っていないことを条件にしている。それ以外のスタイルを使うと、Paginationが追加した番号もヘッダーやフッターも消えてしまう。

 この問題を解消するために作られたエクステンションが、今はまだベータ版の Pager だ。Paginationのコードを借用しており、ダイアログのオプションもほとんど同じ。追加機能はページの下端にある「More」ボタンをクリックすると現れる。テキストのブロックを追加するなどの機能がある。Pagerでは「Page 3 of 4」のような形が想定されているが、ページ番号の後に名前や表題を含めるといったこともできる。

 デフォルトではすべてのページに番号を振るが、番号を振らないスタイルやページを詳細オプションで指定することもできる。ページ指定の場合は、ページを範囲またはカンマで区切って指定する。

 PagerはWriterのスタイルの中でページを自動的に振るが、これはPaginationにはない特に優れた点である。

Template Changer

 Microsoft Wordをよく知らなかった頃、テンプレートの変更や結合を試みて文書を壊してしまうことがよくあった。もう10年以上も前のことだが、そのトラウマから Template Changer エクステンションを扱うとき、私はかなり神経質になった。OpenDocument Formatはマークアップ言語だからWordの旧型バイナリー形式より原理的に壊れにくいということはわかっていても、それでもテンプレートの変更は軽率な行為に思えてしまうのだ。

 だが、私の心配は杞憂だった。Template Changerは何ごともなく動き、ファイルをまとめて変換するときにそれ相応の注意が必要なだけだった。

 Template Changerを利用するときは、メニューから「ファイル」→「Templates」→「Assign Template」と進む。すると、2つのオプション、つまり現行文書のテンプレートを変更する、ディレクトリーを指定してそこにあるすべてのファイルに同じテンプレートを適用するというオプションが提示される。テンプレートの一括変更を選択した場合は、適用するドキュメント書式を選択し、問題の発生を避けるために、変換したファイルを置くフォルダーを設定する。そうしておけば、たとえ問題が発生しても元のファイルは残っている。予測できるように、サブディレクトリーのファイルも一括処理するというオプションがある。このオプションを選択するときは、変換先のフォルダーにソースフォルダーのサブディレクトリーを指定することはできない。

 Template Changerで一括処理したファイルを初めて開くとき、スタイルの定義がテンプレートと一致しないというメッセージが表示される。元のスタイルに戻すかという質問に「いいえ」と答え続行する。これ以降文書が開くまで、質問はない。

 1.xバージョンのWriterには同種の機能があり、当時盛んに宣伝されていた。Template Changerは、その機能の嬉しい復活だ。

まとめ

 Writerには、段落レベルを超えて機能するエクステンションを開発する余地がある。たとえば、気の利かないオートフォーマット機能を使わずに、本当の表スタイルを作るとか、テキスト枠をページスタイルの永続的なパーツにするといったことが望まれる。

 しかし、ここで紹介したようなエクステンションは、Writerのデスクトップパブリッシング機能を強化する上でよい出発点となる。自分で一つひとつ書式設定したいという人はこうしたエクステンションによってスタイルとテンプレートを使うことの重要性に気づかされるだろうし、すでにこうした進んだ機能を使っている人はそうした使い方に確信を持てるようになるだろう。誰から見てもWriterを使いやすくし面倒な仕事を少し減らしてくれるエクステンションだ。

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Bruce Byfield コンピューター・ジャーナリスト。Linux.comに多く執筆している。

Linux.com 原文(2008年10月27日)