Microsoft、携帯SNSベンダーのWebFivesを買収

 米国Microsoftが携帯デバイス向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)ベンダーのWebFivesを買収したことが、12月3日に明らかになった。WebFivesはシアトルに本拠を置く新興企業で、ビデオや写真、音楽、ブログなどの共有サービスを提供している。

 WebFivesは、エンジニアとして著名なマイク・トゥートンギ(Mike Toutonghi)氏が2003年に立ち上げた、「Vizrea」という名前の携帯デバイス向け写真共有サービスが前身だ。Toutonghi氏は Microsoftの元社員で、Windows XP Media Center Editionの開発に携わったとされている。

 WebFivesのWebサイトには、MicrosoftがWebFivesを買収することで両社が合意し、2007年12月31日付けでWebFivesのサービスをすべて終了するとの告知がToutonghi氏の名前で掲載された。告知によると、WebFivesのユーザー・アカウントにアップロードされたコンテンツについては、年末にすべて削除されるという。

 WebFivesのユーザーは、マルチメディア・コンテンツを携帯デバイスからホステッドWebサイトに自動的にアップロードできる。そのほか、モバイル向けWebサイトやウィジェット、FacebookやMySpaceといったSNSで利用できる専用メディア・プレーヤなどの機能も提供されている。

 Toutonghi氏は、MicrosoftがWebFivesのサービスを自社製品/サービスに統合する予定だということを明らかにした。WebFivesのサービスが統合されるのは、Microsoftのホステッド・サービス「Windows Live」やマルチメディア・コンテンツ・サイト「MSN」になる見込みだ。同氏は告知の中で、「ビデオ・写真・音楽の共有やブログなどの機能は、今後はWebFivesの代わりに(Microsoftのブログ・サービスである)『MSN Spaces』やWindows Liveで活用してほしい」と述べている。

 Microsoftの広報部門担当、アダム・ソーン(Adam Sohn)氏の声明も電子メールを通じて発表され、WebFivesの買収を公式に認めている。Sohn氏は声明で、Toutonghi氏が広告プラットフォーム開発チームの一員としてMicrosoftに復帰することを「非常にうれしいニュース」と語った。

 Microsoftは現在、MSNやWindows Liveの管理部門であるOSG(オンライン・サービス・グループ)の評価と、同サービスから利益を上げる方法について模索中だ。オンライン広告収入でGoogleと競うためにも、同社は今回の買収が牽引材料になることを期待しているようだ。

 さらにMicrosoftは、収入源を分散する手段として、モバイル機器戦略の基軸である「Windows Mobile」に注力する姿勢も鮮明にしている。現時点での同社の主要収入源は、Windows OSおよびOfficeシリーズ、SQL Serverなどのミドルウェア、その他エンタープライズ製品などだ。

 Microsoftは2005年11月に、それまでのMSNというブランド名をWindows Liveに切り替え、人気の電子メールおよびIM(インスタント・メッセージング)にさまざまな機能やサービスを加えていくことを発表した。また先月には、長期のベータ・テストを経た「Windows Live 1.0」を正式版としてスタートさせている。同サービスは、「Windows Live Hotmail」などのホステッド・サービスと、ローカルPCにインストールする「同Messenger」や「同Photo Gallery」などのアプリケーションに大別される。

 Microsoftにとって過去最高額の60億ドルで買収したオンライン広告サービス企業aQuantiveに関しても、今年8月に買収手続きが完了した。しかし、こうした巨額の投資は今のところOSGの利益アップには貢献しておらず、一部のアナリストはMicrosoftの試みに批判的な見方を示している。

(Elizabeth Montalbano/IDG News Service ニューヨーク支局)

米国Microsoft
http://www.microsoft.com/
米国WebFives
http://www.webfives.com/

提供:Computerworld.jp