Microsoft、広告サービス企業のaQuantiveを60億ドルで買収――「対Googleで必要に迫られた」との声も
Microsoftによると、2,600名に上るaQuantiveの従業員はMicrosoftのオンライン・サービス部門に異動し、同社の「MSN」ポータル上での広告ビジネスや「Windows Live」オンライン・サービス、ゲーム・プラットフォーム「Xbox Live」、「Office Live」サービスなどに携わる予定だという。
Microsoftの今回の動きは、GoogleのDoubleClick買収が背景にある。およそ1カ月前にDoubleClickを買収したGoogleに対抗するためには、Microsoftは大きな賭けに打って出るほかなかったというのが、業界関係筋のもっぱらの見方だ。
とはいえ、MicrosoftにとってaQuantiveの買収は十分に意義がある。Microsoftが食指を動かしていたYahoo!に比べるとaQuantiveは小規模な企業だが、それでもオンライン広告市場での勝機を完全に失うのは避けなければならなかったからだ。
もっとも、今回の買収金額はMicrosoftの時価総額の2%に相当し、同社史上最も高額な買収となる。
MicrosoftのCFO(最高財務責任者)であるクリス・リデル氏は、18日に電話会議を開き、DoubleClickのときと同様、aQuantiveの買収においても熾烈な戦いが繰り広げられたことを認めた。MicrosoftがaQuantiveの時価総額をはるかに超える価格を同社の株につけたのは、こうした背景があったからだと考えられる。
株主および規制当局の承認が得られれば、1株当たり66ドル50セントでaQuantiveを買収するという今回の契約は、Microsoftの2008会計年度の前半に締結される見込みだ。aQuantiveの株価は17日の終値で35ドル87セントだったので、Microsoftは実に1株当たり85.4%もの割り増し価格を提示したことになる。
リデル氏は、60億ドルという買収額について、同契約の戦略的な重要性を考慮すればさほど割高ではないと主張している。また、買収による増収効果が期待できるのは2008会計年度からだとしながらも、同会計年度における運営コストに大きな影響が及ぶおそれはないと語った。
一方、Microsoftのプラットフォームおよびサービス部門のプレジデント、ケビン・ジョンソン氏は、GoogleによるDoubleClickの買収に関して、Microsoftは依然反対の立場をとっていると話した。この件を巡っては、市民団体が反競争性やプライバシー保護への懸念を訴え、Googleに買収を止めさせるよう規制当局に嘆願書を出している。
MicrosoftはaQuantiveの買収により、オンデマンド・ビデオやIPテレビなどをサポートする、新たなデジタル広告ソフトウェアおよびサービスを手に入れることになる。
例えばaQuantiveの「Avenue A Razorfish」は、各種のオンライン広告パッケージを統合するクライアント向けのサービスだ。同社はそのほかにも、デジタル広告を配置するソフトウェアとサービスを組み合わせた「Atlas」や、販促キャンペーンや広告コンテンツの在庫管理サービスである「DRIVEpm」などを有している。
ジョンソン氏は、これらのソリューションを活用し、あらゆるWebサイトに広告を表示できるようにしたいと語った。また、広告代理店やWebサイト運営者、個々の広告主といったさまざまな広告流通経路にアクセス可能になる点も、このたびの買収の重要なポイントだという。
Microsoftのねらいは、Windows LiveやOffice Live、「Windows Live Search」など同社が提供するすべてのサービスから広告収入を得られるようにすることだ。同社は2005年11月にオンライン広告サービスの戦略を練り直し、まさにこうした状況を創出するべく努力を重ねてきたが、これまでのところ計画はうまく運んでいなかった。
ジョンソン氏は、aQuantiveの既存製品とMicrosoftのオンライン資産および「adCenter」広告プラットフォームを組み合わせる形態には言及せず、両社は協力して統合計画を進めているとだけ述べた。
(エリザベス・モンタルバノ&ジェレミー・カーク/IDG News Service ニューヨーク支局)
米国Microsoft
http://www.microsoft.com/
米国aQuantive
http://www.aquantive.com/
提供:Computerworld.jp