IBMとSun、Solarisのサポート強化で提携――IBMのx86サーバ/ブレード・サーバ対応のSolarisを正式提供

 米国IBMとSun Microsystemsは8月16日、SunのUNIX OS「Solaris」のサポート強化で提携すると発表した。

 IBMはこの提携に基づき、自社のSystem xサーバおよびBladeCenterサーバでSolarisとSolaris Subscriptionsを正式サポートする。対象機種は、BladeCenter HS21とLS41、IBM System x3650、同3755、同3850などだ。同社はすでにBladeCenterの一部でSolarisをサポートしているが、正式な協力関係ではなかった。

 今回の動きは、ユーザーに多彩なOSを提供するというIBMの戦略の一環であり、 Solarisをより多くのハードウェア上で稼働させたいというSunの意向とも合致している。すでにIBMは、自前のUNIX OSであるAIXのほか、MicrosoftのWindows、Red HatやNovellのLinuxディストリビューションもサポートしている。

 IBMとSunは長きにわたり、サーバ・ハードウェアとUNIX OS市場の両方で激しく争ってきた。Sunの社長兼CEOであるジョナサン・シュワルツ氏は、IBMとの新たな提携関係を「市場における構造的な変化」と表現している。

 IBMシステムズ/テクノロジー・グループのシニア・バイスプレジデント、ビル・ザイトラー氏は、「今はOSの選択肢が1種類という時代ではない。選ぶのは、顧客と市場だ。成熟したベンダーは、こうした要望に応えることで時代の変化に対応していくものだ」と語る。そのうえで同氏は、今後もAIXへの投資を続けるという方針に変化はなく、「このOSが優秀で、拡張性と信頼性に優れた製品」という認識が揺らぐこともないが、IBMは現実主義者でもあり、「多くの顧客がSolarisを評価し、今後も使い続ける意向を示している」と付け加えた。

 ザイトラー氏は、提携したからといって、IBMがSolaris以外の選択肢を狭めることはないと強調する。

 両社の正式な合意条件に基づき、IBMはSolarisのディストリビューター兼リセラーとなる。Sunを除く主要ハードウェア・ベンダーの中で、このような位置づけにあるのはIBMだけだ。IBMはSolarisを供給し、そのサポートはSunが提供する。

 一方、シュワルツ氏は、HPのProLiantサーバで稼働するSolarisについて言及し、今回の提携との違いをこう説明した。

 「HPとの提携は不即不離の関係と言い表すことができる。HPはOEMではない。一方、IBMとの関係は、この市場におけるパートナー関係の中で最も強力なものであり、他社との関係でも基調になってほしいと考えている。IBMは唯一無二の存在だ」

 またシュワルツ氏は、IBMとSunのこれまでの協力関係、とりわけSunのJava技術を普及させるために両社が協力してきたことを取り上げ、 Solarisに関する今回の提携も同じくらい重要な役割を果たすようになってほしいとの期待感を表明した。さらに、「アプリケーションからインフラストラクチャへと、われわれの前には大きなチャンスが広がっている」と語り、SolarisがIBMのシステム管理ソフトをサポートすることなどが今後の協力分野になるとの見通しを示した。

 なお同氏は、DellのサーバでSolarisをサポートすることに関して、SunがDellと交渉しているかどうかという点については言及しなかった。

 SunとIBMは、提携の一環として、システムの最適化、System xやBladeCenter上でのSolarisのテストなどでも協力する。ザイトラー氏によると、これらの作業は今後90日以内に完了し、その後IBMがこれらのマシンで稼働するSolarisを正式に提供するという。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

米国IBM
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米国Sun Microsystems
http://www.sun.com/

提供:Computerworld.jp