Longhorn用仮想化ハイパーバイザの開発に遅れ――初期版では一部主要機能が非搭載に、「将来のバージョンで搭載する」とMicrosoft幹部

 米国Microsoftは5月10日、次期Windows Server(開発コード名:Longhorn)用の仮想化ハイパーバイザ(同Viridian)に搭載予定の主要機能の一部を、Viridianの初期バージョンから外すと発表した。開発の遅れが理由だと考えられるが、同社ではこれらの機能の具体的な搭載時期を明らかにしていない。

 Microsoftの仮想化戦略担当ゼネラル・マネジャーであるマイク・ニール氏は、Windows関連のブログの中で、「われわれは実に厳しい決断を迫られたが、品質の高い仮想化ソリューションの提供と、当初のスケジュールを守ることを優先し、機能セットを調整した」と述べている。

 同氏によると、Viridianの初期バージョンに搭載されないのは、稼働中の仮想マシンを物理サーバ間で切り替えるライブ・マイグレーション機能と、ストレージやプロセッサ、メモリ、ネットワーク・カードを動的に追加できる機能。サポートするプロセッサについても、最大で16コア(4個のクアッドコアCPU搭載サーバ、または8個のデュアルコアCPU搭載サーバ)に戻している。

 「これらの機能は、Viridianの将来のバージョンで搭載する」とニール氏。ただし同氏は、その具体的な時期については触れていない。

 Microsoftは4月にも、Viridianのベータ版リリースを今年上半期から下半期に延期することを明らかにしている。ニール氏はその際、パフォーマンスとスケーラビリティが目標値に達していないことを延期の理由に挙げた。

 同氏は今回、Longhornサーバの製造が開始された時点でViridianのベータ版がダウンロード可能になると述べている。また、Viridianの最初の正式版リリースがLonghornサーバの発売後180日以内という点にも変更はないとしている。

 MicrosoftはWindows Vistaのときも、段階的に機能をそぎ落として昨年11月末の企業向けリリースに間に合わせている。「少しずつ後退するのは、同社にはよくあることだ。問題は、(Viridianの場合は)これが唯一の後退か、それとも機能カットの第1弾にすぎないのかということだ」と、調査会社Directions on Microsoftのアナリスト、マイケル・チェリー氏は語る。

 仮想化市場で先頭を走るVMwareは、デスクトップ仮想化ソフトウェアの新版となる「VMware Workstation 6」を5月9日に発表するなど、この分野ですでにMicrosoftを大きく引き離している。

 チェリー氏は、今回の遅れによってこの差はさらに広がるだろうと語り、Microsoftは本格的に巻き返しを図る必要があると指摘。さらに、「一部のユーザーはLonghornの採用を遅らせるかもしれない」として、Viridianの機能制限がLonghornサーバに与える影響に懸念を示した。

 それでもやはり、Microsoftは賢明な決断を下したとチェリー氏は見ている。「あまり怒るわけにはいかない。彼らは多くの面で正しいことをしているからだ。貧弱な製品を作るよりは遅らせたほうがましだ」(同氏)

(グレッグ・カイザー/Computerworld オンライン米国版)

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