Microsoft、Longhorn用仮想化ハイパーバイザのベータ版リリースを延期――Virtual Server 2005 R2 SP1も第2四半期に変更
同社Windows Server部門のブログによると、Longhornに対応する仮想化ハイパーバイザ技術「Viridian」(開発コード名)のベータ版リリースが2007年前半から後半へと延期されたという。ブログ・エントリーの投稿主は、仮想化担当ゼネラル・マネジャーのマイク・ニール氏。
また、Virtual Server 2005 R2 SP1の正式版も、当初の計画ではすでに提供が始まっているはずだが、第2四半期中にリリースされることになった。SP1のベータ2をアップデートしたRC(リリース候補)版が、4月中に顧客とパートナー向けに配布されるという。
ニール氏によると、Longhornについては、予定どおり今年半ばまでにベータ3がリリースされ、今年後半に正式リリースされる見通しだ。Viridianの正式リリースがLonghornの出荷から180日以内という点にも変更はないとしている。
仮想化は、1台のサーバを複数の仮想マシンに分割し、仮想マシンごとにOSやアプリケーションを別個に稼働させることができる技術で、データセンターの経済的な運用に役立つと期待されている。仮想化は現在、データセンターを利用した新しいビジネス・モデルとコンピューティング・シナリオの大きな柱となっている。
Microsoftはここ数年、仮想化技術の提供に力を入れている。顧客ニーズに対応する戦略の一環として、Windows Serverを仮想環境で使用する場合のライセンス条件を変更し、顧客がより低コストで運用できるようにしたほか、Virtual Server 2005で提供する技術を最終的にWindows Serverに搭載することを踏まえ、Virtual Server 2005の無料提供を開始した。
ニール氏は、Viridianの公開ベータ版のリリースが遅れる理由として、パフォーマンスとスケーラビリティの目標を達成する必要があるためだと、同ブログに記している。
「われわれが設定したスケーラビリティの目標をベータ版で達成するには、まだかなりの作業が必要だ。われわれは、I/O負荷の高いワークロードをはじめ、要求の厳しいITワークロードがViridian上で実行されることを想定している。したがって、Viridianではパフォーマンスが非常に重要になる。われわれはこうした観点でこの技術を調整しており、その作業にはかなり時間がかかる」(ニール氏)
Viridianは、ハイパーバイザをLonghornに追加するのに必要となる仮想化技術だ。ハイパーバイザは、1つのプロセッサ上で異なるOS(例えばLinuxとWindows)を動作させるための技術で、ハードウェアの有効活用に大きく貢献する。
一方、Virtual Server 2005 R2 SP1正式版のリリース延期は、各種OS(SUSE Linux Enterprise Server 10、Solaris 10、最近リリースされたLonghornベータ3のプレビュー版)でのテスト時間を増やすことが理由だと、ニール氏はブログで説明している。
Virtual Server 2005 R2 SP1では、AMDの仮想化技術がサポートされるほか、Microsoft Active Directoryの連携機能が新たに提供される。
また、サーバのバックアップ・プロセスを向上させるボリューム・シャドウ・サービスや、仮想マシンを起動せずに仮想ハードディスク(VHD)内のファイルを表示、操作できるオフラインVHDマウント機能も備わっている。
(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Service ニューヨーク支局)
米国Microsoft
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提供:Computerworld.jp