仮想化ソフト・ベンダー2社、低価格戦略でVMwareを追撃

 米VirtualIronとXenSourceは12月11日、それぞれ仮想化ソフトウェアの新製品をリリースした。両社の新製品の価格は仮想化ソフトウェア最大手のVMwareの製品よりも圧倒的に低く設定されている。

 VirtualIronが11日に発売した企業向け仮想化プラットフォーム「Virtual Iron Version 3.1」は、ライセンス料がソケット当たり499ドルとなっている。同社によると、これはVMwareの同等製品のソケット当たりライセンス価格 2,875ドルの20%にも満たない額だ。

 VirtualIronは、仮想化を導入しているデータセンター・オペレーターの割合は6%にすぎないというIDCの調査結果を引用し、VMware製品のライセンス料が、データセンターへの仮想化の導入を妨げる要因になっていると指摘している。

 XenSourceが11日に発表した仮想化ソフトウェアの新製品とアップグレード版も、価格は1,000ドルを切る。

 VirtualIronとXenSourceは、オープンソースの仮想化ハイパーバイザ・プラットフォーム「Xen」をベースにプロプライエタリ製品の開発・販売を行っている。ハイパーバイザは、1台のコンピュータで同時に複数のOSを動作させるための技術。ちなみに、VMwareの製品はオープンソースをベースにしたものではない。

 VMwareはストレージ・ベンダーのEMCの100%子会社で、今年第3四半期のVMwareの売上高は88%増の1億8,850万ドルを記録した。VMwareは、この増収ペースを維持すれば、年間売上高は7億5,000万ドルに達する見通しとしている。

 VirtualIronとXenSourceは、こうしたVMwareの急成長に待ったをかけようとしている。

 「われわれは非常に攻撃的な価格設定を打ち出していく方針だ」とVirtualIronの最高マーケティング責任者、マイク・グランディネティ氏は強調する。

 VirtualIron製品のユーザーであるノースカロライナ州のCharlotte Observer紙のITインフラ・マネジャー、ジェフ・ショーター氏は、「レガシーUNIXサーバで処理に45分かかっていたジョブを、VMware環境では11〜13分で処理できた」としたうえで、「安価なVirtualIron製品を使った環境でも、同程度の時間で処理できた」と付け加える。

 ショーター氏によると、VMwareのハイエンド製品をデュアルソケット・サーバで利用した場合のライセンス料は5,750ドルであるという。VirtualIron製品のライセンス料はソケット当たり499ドルであるため、デュアルソケット・マシンで利用した場合の総ライセンス料は998ドルとなる。

 一方、XenSourceの「XenEnterprise」は、デュアルソケット・サーバ用の年間サブスクリプション・ライセンス料が488ドルで、永久ライセンス料が750ドル。11日に発表された「XenServer for Windows」は、XenEnterpriseよりも搭載機能が少なく、デュアルソケット・サーバ用の年間サブスクリプション・ライセンス料は99ドルに設定されている。

 「われわれはVMwareの優位を大きく突き崩したいと考えている」(最高技術責任者のサイモン・クロスビー氏)

 調査会社イルミネータの主席ITアドバイザー、ゴードン・ハフ氏は、VMware製品を導入した企業は、製品価格が高いにもかかわらず、順調に投資を回収していると述べ、企業が仮想化を導入しない理由は価格だけではないと強調する。

 「仮想化ソフトウェアは導入や運用が複雑なため、たとえ無料になったとしても、むやみに使われることにはならないだろう」

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米VirtualIron
http://www.virtualiron.com/

米XenSource
http://www.xensource.com/

提供:Computerworld.jp