EFF、「特許承認訴訟」で上告へ──下級審の判決破棄を求める

 市民的自由の擁護を掲げる非営利団体の電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation:以下、EFF)は8月23日、米国最高裁判所に、特許に関する下級審の判決を覆すよう求める申立書を提出した。EFFは、特許権の設定が可能な発明に関する下級審の判決が、フリーソフトウェアやオープンソース・ソフトウェアの開発プロジェクトを阻害する可能性があるとして提訴している。

価値のないソフトウェア特許と闘うOSAPAイニシアチブ

オープンソースの従来技術をリポジトリ化しようという雲をつかむような試みは、これまでにも何度か行われてきたが、すべて失敗に終わっている。Open Source Development Labs(OSDL)やIBM、SourceForge.netなどの支援を受け、米国特許商標局(USPTO)でも告知されているOpen Source as Prior Art(OSAPA)イニシアチブが、ほかで失敗したこの試みを成功させつつあるのはなぜだろうか。その謎を解く鍵は、さまざまな利害関係者に対する圧力がタイミングよく重なったことと、オープンソースコミュニティの既存のリソースと強みを利用したアプローチにある。

特許の質向上を目指す新たな取り組み

特許の質向上を模索している米国特許商標庁(USPTO)は米国で最も多くの特許を保有している企業に狙いをつけたが、偶然、それはオープンソース・ソフトウェア(OSS)に対して最大級の支援を行っている企業でもあった。IBMが2005年に取得した特許の件数2,941は2位以下を大きく引き離して13年連続の首位。そのIBMが、USPTO、Open Source Development Labs(OSDL)、Novell、Red Hat、SourceForgeと協力し、特許の量より質を目指している。そして、OSSコミュニティに協力を求めている。

欧州ソフトウェア特許を巡る狂騒

欧州議会に於て、ソフトウェアを特許の対象にしようとする試みが大差で退けられた。フリー(自由な)ソフトウェアにとっても、オープンソース・ソフトウェアにとっても喜ばしいことである。しかし、なにぶんヨーロッパから遠く離れた国に住む私たちにとっては、ようするに何がどうなって今回の否決につながったのか、あるいはそもそも何を否決してそれがどういう意味を持つのかが今一つ分りにくい。そこで、今回の一連の経緯とその歴史的背景を、今回の一連の動きで大きな役割を演じたFFIIの情報を元に簡単にまとめてみた。