EFF、「特許承認訴訟」で上告へ──下級審の判決破棄を求める

 市民的自由の擁護を掲げる非営利団体の電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation:以下、EFF)は8月23日、米国最高裁判所に、特許に関する下級審の判決を覆すよう求める申立書を提出した。EFFは、特許権の設定が可能な発明に関する下級審の判決が、フリーソフトウェアやオープンソース・ソフトウェアの開発プロジェクトを阻害する可能性があるとして提訴している。

 EFFは、特許権を設定できないような発明であるかどうかを判断するために連邦巡回裁判所の控訴裁判所が用いた、いわゆる「連想テスト」の手法を認めないよう最高裁に求めている。

 控訴裁判所は、複数の発明が組み合わされている場合、それらの発明を組み合わせることができるという“連想”が以前から存在していたという証拠を見いだすことができる場合を除いて、自明であることを理由に特許が無効であると判断することはできないとしていた。

 EFFは、この連想テストのおかげで、発明が自明なものでないということを控訴裁判所に認めてもらうことがきわめて容易になっていると主張する。EFF側の弁護士は、「KSRインターナショナル対テレフラックス訴訟」と呼ばれるアクセルペダルの特許を巡る訴訟で提出した申立書の中で、控訴裁判所が地方裁判所の判事に対して、それまでの審理内容を破棄し、その考え方を裁判所内に留めておくよう命じたと指摘している。なお、最高裁判所は、来年にこの訴訟の再審理を行うことに同意している。

 EFFでは、連想テストは発明が明白なものだということをわざわざ証言してくれる人物を見つけ出すという“干し草の山から針を探す”ような作業を訴訟当事者に強いるものだとして批判している。

 EFF側の弁護士は、8月23日に公開された申立書の中で、連想テストが承認される特許件数の“急増”にも貢献していると指摘する。EFFのジェーソン・シュルツ顧問弁護士は、フリーソフトウェアとオープンソース・ソフトウェア(FOSS)は公開の場で開発されるため、他人が簡単にアイデアを盗んで特許申請できるとし、「この連想テストは、とりわけFOSSプロジェクトの脅威になっている」と強調している。

 また、シュルツ弁護士によると、FOSSプロジェクトの多くは、特許を巡る訴訟から身を守るための財政的なリソースも持っていないという。EFFの申立書には、「実際、FOSSプロジェクトの多くは経済的な利益が非常に少ないため、特許の取得や防衛にまつわる高額な費用が発生した場合、訴訟を続けられなくなる可能性が高い」と書かれている。

 さらに、FOSSプロジェクトが提出する電子メールや掲示板の文書が、控訴裁判所の定める証拠の規格に適合しないケースもしばしばあるという。シュルツ弁護士は、「FOSSプロジェクトの組織は、独立系ソフトウェア・ベンダーほど統一が取れていない。関係者は各地に散らばっており、人や文書を追跡するのも困難だ」と語っている。

 テクノロジー業界で連想テストに疑問を感じているのは、FOSS支持派だけではない。EFFが以前に特許の承認に関して、控訴裁判所の態度が「あまりにも寛大である」という申し立てを行った際には、MicrosoftやCisco Systemsも加わっていた。これらの企業は「連想テストのおかげで、『訴訟防衛のために幅広い特許を申請すること』に多くのリソースを費やさなければならなくなり、技術革新が阻害される」と主張していた。

 その一方で、個人発明家のステファン・レン氏は、特許を1件取得するのに数千ドルかかることもあると指摘し、「過去15年間の経験から言わせてもらえば、特許の取得は、どちらかといえばかなり難しく、決して簡単すぎるということはない」と反論する。

 レン氏は加えて、大手ベンダーが個人発明家による特許取得をいっそう難しくしていると批判し、「巨大多国籍企業と公共の利益を主張するその取り巻きたちは、特許システムの問題点を修正するのではなく、特許システム自体を葬り去ろうとしている」と述べている。

(グラント・グロス/IDG News Service ワシントン支局)

提供:Computerworld.jp