完璧とは言い切れないLinux Mintの新リリース

 Linux MintはUbuntu 8.04 LTS派生のディストリビューションで、コミュニティによって高度にカスタマイズされている。プロジェクトによるとLinux Mintの目的は「エレガントで快適な最新のGNU/Linuxデスクトップディストリビューションの作成」だという。今月リリースされた最新版Linux Mint 5.0 “Elyssa”は、Ubuntuの安定性と機能のほとんどを継承しながらも独自の機能と調整を加えることで一線を画したものとなっている。このように素晴らしいデスクトップのMintだが、いくつかの問題点があるため完璧とはまだ言い切れない。

コマンドラインからの“ゴミ箱”操作を可能にするユーティリティ

 デスクトップに置かれたゴミ箱(trashcan)にコマンドラインからアクセスしたいと考えているユーザは、 trash プロジェクトの開発成果を利用すればいいだろう。本稿で紹介するtrashコマンドで削除したファイルについては“undo”処理、つまりデスクトップ環境で行うゴミ箱中にあるファイルの復元に相当する操作が実行可能となるのだが、熟練Linuxユーザであれば、コマンドライン操作で特定ファイルをゴミ箱に移動させるといった用途においてtrashコマンドを重宝するかもしれない。

IBM Lotus Symphonyは、古いOOoコードを使ったエンタープライズ狙い

 過去にOracle、今度はIBM。いったい、オープンソースソフトウェアを企業向けのビジネスにすることをどう考えているのだろう。OracleはOracle’s Unbreakable Linux計画を打ち出した。実体はRed Hat Enterprise Linux(RHEL)からプロプライエタリな部分を除いただけのものなのに、それを低料金でサポートして、本家RHELと、CentOSなど類似の各種コミュニティプロジェクトを負かそうとした。そしてIBM。こちらは古いOpenOffice.orgコードを、いまや停止されたSun Industry Standards Source License(SISSL)ライセンスのもとで利用して、プロプライエタリでクローズドソースのフリーオフィススイートとして発表した。先週リリースされたIBM Lotus Symphonyがそれだ。初めての安定版で、これといってOpenOffice.orgに勝るところはないが、明らかに企業向けスイートだ。これによって、フリーのオープンソースソフトウェアが犠牲になる。

豊富な機能を軽量にまとめたPuppy Linux 4.00

 Barry Kauler氏率いる開発チームから先日リリースされた Puppy Linux 4.00 は、軽量ながらも機能豊富なLinuxオペレーティングシステムに仕上げられている。従来のPuppy 3.01はバイナリパッケージをベースとしていたが、Puppy 4.00では軽量化と多機能化を進める関係上、Slackware 12ベースのソースコードからコンパイルするよう改められており、その結果現行のPuppyはISOファイルでわずか87.1MBというサイズに収まりつつも、平均的なユーザのニーズを満たすのに充分以上のアプリケーション群が取りそろえられているのだ。

ターボリナックス、新クライアントOS「Turbolinux Client 2008」8月8日発売

 ターボリナックスは、クライアント向け新OS「Turbolinux Client 2008」を2008年8月8日発売する。新たにCD1枚で起動できるLiveCDを採用した。商用アプリケーションを含むパッケージ版「Net User Package」の価格は9800円。商用アプリケーションを省いた「Live Edition」は無償でダウンロード提供する。

子供も大人も楽しめるTuxpaint

 私の孫娘はヨチヨチ歩きができるようになる以前から、私の膝に腰掛ける形でコンピュータに接してきた。マウスに興味を持ちだしたのは生後数カ月の段階で、早くもその頃から画面上のカーソル操作をするようになっていたのである。そうした様子を笑いながら見ていた友人の1人は、「この子が3歳になったらカーネルのコンパイルをやらせるようになるんでしょ」と冷やかしていたものだった。今や3歳になった孫娘がカーネルのコンパイルに手を出すことはないが、その代わりに何時間も遊んでいるのがTuxpaintである。

それほど究極ではないUltimate Edition

 UE(Ultimate Edition)1.8は、独自のソフトウェアリポジトリと特徴的なテーマを持つ、Ubuntu Hardy Heronのリマスタ版だ。純粋なUbuntuよりも、あらかじめインストール済のアップデートやソフトウェアがもたらす便利さという観点で優れていると主張している。名前を聞けばオリジナルのUbuntuよりもはるかに優れたものを想像するが、実際のところは、アプリケーション用インストールスクリプト以外にはそれほど多くの改善点は見られなかった。目障りなテーマ、お粗末なユーザインターフェース、主張とは裏腹の驚くべき不便さという点において、究極と名乗るにはあまりも不十分だ。

デスクトップの任意なカスタマイズを可能にするスクリーンレット

 フリーソフトウェアが活発に開発され続けている現代コンピュータ文明は、今の流れがこのまま継続すると、あるいは後世の歴史家たちによって“機能拡張時代”と分類されることになるのかもしれない。それはここ数年、Mozillaファミリを始めとするOpenOffice.orgやGeditなどのアプリケーション群において、有志の開発者によるアプリケーションへの独自の機能追加が行えるフレームワーク的な使用法が一般化したからだ。そして今から10カ月程前にはこうした機能拡張というコンセプトをデスクトップの世界にも導入することを目指した1つのコミュニティが形成されており、そこでは“スクリーンレット”(screenlet)という名称の下、デスクトップに対する個別的かつ直接的な機能追加を行う各種小型アプリケーションの開発が始められているのである。現状でこうしたスクリーンレットの中には既存ツールの焼き直し的な存在が多いのも事実だが、その大部分はテーマ変更および非常に細かなカスタマイズに対応したツールという形態で提供されているのだ。

Basket:メモ用アプリケーション

 GNU/Linuxデスクトップにはメモ用アプリケーションが豊富にある。単純な用途向けならKDEのKNotesやGNOMEのSticky Notesがあるし、アドレス帳や電子メールと統合したいならEvolution組み込みのMemos枠を使うのも良いかもしれない。また基本的なメモ以上のことを期待するなら(Monoを使用したアプリケーションであることを気にしなければ)ますます完成度が高まりつつあるTomboyが良いかもしれない。しかしこれまでのところもっとも汎用的で高機能なメモ用アプリケーションは、KDEの Basket だ。Basketはもはや、個人用のwikiやスクラップブック、さらには一時的なデスクトップの作成用アプリケーションとみなすこともできるほど非常に柔軟で何から何まで揃ったツールだ。プロジェクトとしてのBasketの今後は現時点では不明瞭だが、だからといってBasketの力を活用できないわけではない。

Conky設定ガイド

  Conky は他に例を見ないほど優れたLinuxシステム監視ツールだ。Conkyは軽量なシステム監視ユーティリティで、システムのほぼあらゆる面に目を配るのに役立ち、設定可能なオプションを非常に多く提供している。ただしそのような柔軟性には代価もあって、Conkyの全設定が保存されている.conkyrcというファイルは、手動で作成して調整する必要がある。しかしいったん.conkyrcファイルの書き方を覚えてしまえば、非常にパワフルなConky設定プロファイルを簡単に作成できるようになる。

レビュー:Mandriva Linux 2008 Spring

 先月Mandrivaが発表した最新 Mandriva Linux 2008 Spring の2種類の版を数週間に渡って試してみた。その結果、小さな難点がいくつかあるものの、使いやすさ、ソフトウェアの豊富さ、古いCeleronマシンから新しいマルチコアマシンまでに至る幅広いハードウェア上での安定性といった観点から考えて、GNU/Linuxの世界とプロプライエタリの世界の良いとこ取りのディストリビューションをついに見つけたと感じた。

軽量だが改善の余地もあるEquinoxデスクトップ環境

 Linuxで使われるデスクトップ環境といえばKDEやGNOMEなどが定番だが、これらが消費するリソース量を過大すぎると感じているユーザもいるだろう。こうしたものとは対照的に Equinox Desktop Environment (EDE)は私の知る限り最も軽量なデスクトップ環境であるのだが、実際に使用した場合ユーザは、このデスクトップ環境が広範に用いられている標準に準拠しておらず機能面でも不備を抱えている点に不満を憶えることになるかもしれない。

コマンドラインとデスクトップを仲立ちするDragbox

 GNU/Linuxのコマンドラインとデスクトップはいずれも洗練されたインタフェースだが、ほぼ完全に住み分けができている。テキストをデスクトップから仮想端末にドラッグしたり、[編集]→[コピー]を使ってテキストを相互に移動することはできるが、ファイルやディレクトリをデスクトップと端末間で移動することは、通常は不可能である。問題は、両方を頻繁に使って作業する場合、その都度切り替えなければならず、手間が増えることだ。 Dragbox は、この問題を解決し、2つのインタフェースを接続するために設計された。少なくとも一方がGNOMEであることが条件だが、いうなればマルチ・クリップボードと簡単なファイルマネージャが一体化されたようなツールである。

敢えて使用するまでもないArk Linux

  Ark Linux は新規Linuxユーザをメインのターゲットとして作成されたディストリビューションの1つであるが、開発陣は初心者以外の使用にも耐えるだけの機能を備えていると主張している。私が以前のバージョンを試用した際には、この後半部の主張は誇張が過ぎるよう感じられたものだが、果たして今月リリースされたバージョン2008.1はそれだけの機能向上を達成したのだろうか? 確かに本ディストリビューションについては安定性とソフトウェアの品揃えにおいて手堅い面は認められるが、ハードウェア関連のサポート状況は今回の最新リリースにおいても貧弱なままであるし、何よりもセキュリティ面において様々な矛盾が満ちあふれているのである。

米Citrix「XenDesktop」の提供を開始、アプライアンスプログラムも発表

 米Cirtixは5月20日、デスクトップ仮想化ソフトウェア「XenDesktop」の提供開始を発表した。同時に、デスクトップ仮想化を容易に導入できるアプライアンスプログラム「Desktop Appliance Partner Program」、拠点にオンデマンドでデスクトップとアプリケーションを配信するソリューション「Citrix Branch Repeater」なども発表、デスクトップ仮想化戦略を進めた。

“デスクトップでの用途に適しているか”という評価基準の終焉

 新規にリリースされたLinuxディストリビューションに対する評価として“ready for the desktop”であるか(デスクトップでの用途に適しているか)という判定は、今日に至るも実に多く行われ続けている。かく言う私自身も以前にこうしたフレーズを使用していた1人のはずなのだが、既にこうした評価基準はその役割を果たし終えたとして、公式な引退を宣言してもいいのではなかろうか?