「Qt 5.10」リリース
Qt開発チームは12月7日、「Qt 5.10」を公開した。アプリケーション・UIフレームワークのQt Quickなどの強化が特徴となる。
Qt 5.10は、5月末に公開されたQt 5.9に続く最新版。本バージョンではQtの各コンポーネントで多くの新機能が加わったほか、組み込み向け機能も強化されている。
コア部分(Qt Core)ではstd::string_viewに似たコンセプトを持つQStringViewクラスが加わった。また、高品質な乱数を生成したり、ハードウェアの機能を利用した乱数生成ができるQRandomGeneratorクラスも加わった。qint16_leやquint32_beといったリトルエンディアン/ビッグエンディアンを明示したデータ型も追加されている。
GUI関連(Qt GUI)では、WindowsおよびLinux、AndroidにおいてグラフィックAPI「Vulkan」のサポートが大きく強化された。さまざまなラッパークラスが用意されており、各プラットフォーム固有のコードを減らすことができるという。QOpenGLExtraFunctionsではOpenGL ES 3.2 APIが新たに利用可能となった。QImagesで2GB以上のピクセルデータを扱えるようになるといった強化もある。
Qt Networkでは、バックエンドとして使われているOpenSSLがバージョン1.1にアップグレードされた。また、HSTS(HTTP Strict Transport Security)ポリシーを永続的にQNetworkAccessManagerに保存するようになった。Qt Network AuthorizationではOAuth 1/2のサポートが加わり、Qt Speechの音声認識が技術プレビューからフルサポートの機能となった。
「QML」という独自言語でUIやアプリケーションを開発できる機能「Qt Quick」では、線やパスで任意の図形を描画できるプラグインが追加された。タップやピンチ、ドラッグといった操作をハンドリングするQt.labs.handlersプラグインも追加されたほか、フォントの描画をより細かく調整できるプロパティも加わった。ETC1、ETC2形式で圧縮されたテクスチャの読み込みもサポートされている。
Qt Quickで利用できるコントロール集であるQt QUick Controls 2では新たにActionやActionGroup、MenuBarというタイプが追加されたほか、新たなスタイルも追加されている。
そのほか、Qt 3DやQt WebEngine、Qt Virtual Keyboardなどさまざまなコンポーネントが強化されている。なお、Qt Scriptについては本バージョンで廃止予定というステータスになり、今後のリリースでは削除の可能性があるとのこと。
Qtは同日、統合開発環境(IDE)の「Qt Creator 4.5」も公開している。
Qt Company
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