InfoWorldの年次オープンソース賞「Bossies 2012」が発表、Hadoopが引き続き台風の目

 IT情報サイトのInfoWorldは9月18日、優秀なオープンソースソフトウェアを7つのカテゴリで選ぶ年次アワード「Best of Open Source Software(Bossies) 2012」受賞プロジェクトを発表した。モバイル、クラウド、ビックデータなどの傾向を反映し、計100のオープンソースプロジェクトが受賞した。

 InfoWorldは有望でコスト効果の高いソフトウェアを調べるという「Test Center」を持っており、Bossiesはそこで調査されたオープンソースソフトウェアの中でも優秀なものを選ぶというもの。選定はTest Centerの編集者とレビュー担当者が行う。6回目となる今年度はゲーム・エンターテインメントカテゴリが新設され、アプリケーション、アプリケーション開発ツール、データセンターとクラウド、データベース、デスクトップアプリケーション、ネットワークとセキュリティ、ゲーム・エンターテインメント(games and other fun stuff)の7カテゴリでソフトウェアが選出された。

 アプリケーション開発ツールカテゴリからは「Node.js」や「Rhodes」、「WebKit」、「Oracle VirtualBox」、「Qt」、「Jenkins」などのほか、モバイル開発トレンドを反映し「PhoneGap」や「Titanium」、「Sencha Touch」なども入っている。JavaScript 3Dライブラリ「Three.js」、Webアプリフロントエンドフレームワーク「Bootstrap」、LLVMを利用するC/C++/Objective-C向けコンパイラの「Clang」なども選ばれている。

 データベースカテゴリは、ビックデータブームが色濃く反映された結果となった。「Apache Hadoop」はもちろん、HadoopのMapReduceを抽象化する「Cascading」、Twitterが開発したCascading向けScala API「Scalding」、も選ばれた。「Apache Cassandra」や「MongoDB」、「Couchbase」(「Apache CouchDB」のフォーク)、「Neo4j」、「Riak」、「Redis」などのNoSQL型プロジェクトに加え、「PostgreSQL」や「MySQL」、「MariaDB」(MySQLのフォーク)も並んでいる。

 データセンターとクラウドカテゴリでは、「OpenStack」や「Apache CloudStack」(米Citrix Systemsが買収したCloud.comをApache Software Foundationに寄贈したプロジェクト)といったクラウド基盤開発プロジェクトが入った。「Eucalyptus」も健在で、米VMwareが開始した中立的なプラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)の「Cloud Foundry」も選ばれている。このほか、Googleが開発したXen/KVMベースのクラスタ管理ツール「Ganeti」や仮想スイッチ「Open vSwitch」など合計で16のプロジェクトが受賞した。

 ネットワークとセキュリティでは、Webアプリケーション用セキュリティ検証ツール「Burp Suite」や静的解析によるJava用バグ検出「FindBugs」、Pretty Good Privacy(PGP)のフリーの代替となる暗号化ソフト「GNU Privacy Guard(GnuPG)」、パスワードチェッカー「John the Ripper」など、カテゴリ別では最多となる27プロジェクトが選ばれた。

 デスクトップアプリケーションでは、オープンソースプロジェクト全体で最も人気があるマルチメディアプレーヤー「VLC」をはじめ、「LibreOffice」や「OpenOffice」、「GIMP」、「Firefox」、「Chromium」といったおなじみのアプリケーションが受賞している。ハードディスク整理の「WinDirStat」、パスワード管理「KeePass」、ファイル圧縮・解凍「7−Zip」といった実用系ツールも選ばれている。

 新設のゲーム・エンターテインメントカテゴリでは、「0 A.D.」や「Stella」、「BZFlag」、「Naev」といったのゲームのほか、デジタルホーム管理「OpenRemote」、メディアセンター「XBMC」などのプロジェクトが受賞している。

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