クラウドインフラシステムをオープンソースで提供するOpenStack、非営利団体「The OpenStack Foundation」に移管

 オープンソースのクラウド基盤「OpenStack」の創設者でもある米RackSpace Hostingは9月19日、OpenStackプロジェクトの管理とすべての資産をThe OpenStack Foundationに移管したことを発表した。OpenStack Foundationは今後独立した非営利団体として活動し、「LinuxとThe Linux Foundationのような関係」を目指すという。

 OpenStackは2010年、ホスティング事業を行っているRackSpaceと米航空宇宙局(NASA)がそれぞれの持つ技術を組み合わせて公開したオープンソースのIaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)基盤プロジェクト。公開後さまざまな企業で採用されつつあるが、プロジェクトにおけるRackSpaceの影響が大きいことが懸念されていた。そのような懸念を解消すべく、2012年4月に非営利団体OpenStack Foundationの立ち上げと、OpenStackの開発や各種権限をOpenStack Foundationに移管することが発表された。また、NASAはOpenStack開発から手を引くことをすでに明らかにしている。

 現在OpenStackコミュニティには世界80カ国以上から6000人を超える開発者、約200の企業や組織が参加しており、ダウンロード件数は中央レポジトリだけで30万に上るという。また、RackSpaceや米Hewlett-Packardなど、OpenStackを利用したクラウドサービスを提供する企業も増えている。

 今回、RackSpaceはコミュニティの管理や統括権限、商標をOpenStack Foundationに移管したことを発表するとともに、ユーザーへのフォーカス、相互運用性のさらなる強化、OpenStackそのものではなくOpenStack関連での収益化を行う、といった方向性を示した。

 同FoundationはLinux Foundationと同様、参加企業を出資額に応じてプラチナメンバーとゴールドメンバーに分けており、プラチナメンバーには米AT&T、英Canonical、HP、米IBM、米Nebula、RackSpace、米Red Hat、独SUSE(米Novell)など8社が名を連ねる。ゴールドメンバーは設立時に米Cisco Systems、米Dell、米Yahoo!などの名前が挙がっており、米VMware(米EMC傘下)、NECが今月加入を明らかにした。ボードはプラチナおよびゴールドのメンバーから8社ずつと個人8人の合計24人で構成され、戦略および財務面で組織を統括する。チェアマンはSUSEのAlan Clark氏で、8月に選出されている。

 今後、OpenStackの開発は技術委員会の下で進められていくとのこと。Rackspaceは分散ストレージ「Swift」や仮想マシンの管理システム「Nova」、イメージ管理「Glance」、ID管理「Keystone」などの開発にあたり、外部から多くの貢献を受けたことに感謝の意を述べている。

The OpenStack Foundation
http://www.openstack.org/