SSDやioDriveの実力はいかほど? 「さくらの専用サーバ エクスプレスG2シリーズ」を試す 5ページ

ベンチマークテストで性能をチェック

 さくらの専用サーバ エクスプレスG2シリーズでは、ストレージの異なる4種類のモデルが用意されている。これらストレージの違いによるI/Oパフォーマンスの違いを、ベンチマークテストツールを使ってチェックしてみよう。使用したツールはディレクトリ内に一定サイズのファイルを多数作成し、かかった時間を測定する「FS-Mark」と、複数スレッドでストレージにアクセスしてスループットを測定する「Threaded I/O tester」だ(表9)。

表9 ベンチマークテストに使用したツール
ツール名 説明
FS-Mark 3.3 多数のファイルを作成してその速度をチェックするベンチマークツール
Threaded I/O tester(tiobench)0.3.3 ストレージに複数スレッドから同時にファイルアクセスを行ってI/Oパフォーマンスを調査するベンチマークツール

 また、テストを実行する際に使用したテストパラメータは次のとおりとした。

FS-Mark:
 - 作成するファイルサイズ:1048576B(1MB)および16777216B(16MB)、33554432(32MB)
 - 作成するファイル数:1000
Thraded I/O tester:
 - 同時にストレージにアクセスするスレッド数:32および64、128
 - 各スレッドがアクセスするファイルのサイズ:32MBおよび64MB、128MB
 - 32MB×32スレッド、64MB×64スレッド、128MB×128スレッド、256MB×128スレッドという3つの組み合わせでテストを実行

 Linuxでは使用していないメモリをファイルシステムのキャッシュとして利用する仕組みになっている。そのため、搭載メモリ容量よりも少ないサイズのストレージI/Oについては本来のストレージのI/O速度よりも高い値が得られることがある。そこでベンチマークテストでは搭載メモリ容量と同じ16GBサイズまでのI/Oを発生させることで、キャッシュが効きにくい状態でのパフォーマンスを測定することとしている。

 まずFS-Markの結果であるが、こちらは1秒あたりに作成できたファイルの数がテスト結果として表示される。これにファイルサイズを掛けることでおおよそのスループットを確認できる。テストは3回実行し、その平均を結果とした。値を確認してみると、SATAおよびSASの結果は大きな差異が見られないが、SSDはSATAやSSDと比べて大幅に高速であり、またioDriveはSSDよりもさらに高速という結果であった(表10)。

表10 FS-Markによるベンチマークテスト結果
ファイルサイズ 1MB 16MB 32MB
SATA 24.8ファイル/秒(24.8MB/秒) 4.5ファイル/秒(71.5MB/秒) 2.4ファイル/秒(76.8MB/秒)
SAS 26.5ファイル/秒(26.5MB/秒) 5.0ファイル/秒(79.5MB/秒) 2.6ファイル/秒(84.3MB/秒)
SSD 178.1ファイル/秒(178.1MB/秒) 13.6ファイル/秒(217.1MB/秒) 7.0ファイル/秒(222.9MB/秒)
ioDrive 292.9ファイル/秒(292.9MB/秒) 24.9ファイル/秒(398.4MB/秒) 13.1ファイル/秒(418.1MB/秒)

 続いてThreaded I/O testerの結果を見てみよう(表11~14)。まず、書き込み関連のテストにおいてはSATAとSASがほぼ同程度のパフォーマンスで、続いてSSD、ioDriveの順にパフォーマンスが高くなっていく、という結果となった。SSDやioDriveとSATAやSASとのパフォーマンス差は歴然としており、シーケンシャルライトの場合SSDはSATAやSASの約3倍、ioDriveは6~7倍高速だった。ランダムライトに至っては、SSDはSATAやSASの数十倍、ioDriveはSATAやSSDの100倍以上という大差を付けている。

 一方、読み出しについては、32MB×32スレッドおよび64MB×64スレッドの条件ではどのストレージも大きな差は見られなかった。これは前述したメモリキャッシュの影響と思われる。つまり、ディスクアクセスを行うデータ量が数GBで読み出し中心のアクセスであれば、どのストレージを選択してもパフォーマンスに大きな差は生じない、ということになる。いっぽう、メモリキャッシュの影響が小さくなる128MB×128スレッドや256MB×128スレッドという条件では、SATAおよびSASとSSD、ioDriveとで大きな差が見られた。SSDやioDriveは大きく負荷を掛けた状態でも書き込みパフォーマンスが低下しない点も興味深い。また、ランダムリードについてはSSDが最も高速、という結果となっている。

表11 Threaded I/O testerによるストレージベンチマークテスト結果(32MB×32スレッド)
テスト項目 Write(MB/秒) Random Write(MB/秒) Read(MB/秒) Random Read(MB/秒)
SATA 95.0 5.9 14048.3 17552.0
SAS 88.5 5.3 12398.3 17600.8
SSD 248.0 159.8 12327.2 17451.6
ioDrive 499.4 581.2 13110.9 17664.6
表12 Threaded I/O testerによるストレージベンチマークテスト結果(64MB×64スレッド)
テスト項目 Write(MB/秒) Random Write(MB/秒) Read(MB/秒) Random Read(MB/秒)
SATA 87.3 3.7 13103.4 17407.9
SAS 84.9 3.8 12523.3 17206.9
SSD 251.4 150.8 12470.6 17373.3
ioDrive 511.5 528.8 12642.0 17192.7
表13 Threaded I/O testerによるストレージベンチマークテスト結果(128MB×128スレッド)
テスト項目 Write(MB/秒) Random Write(MB/秒) Read(MB/秒) Random Read(MB/秒)
SATA 88.8 2.5 122.5 44.3
SAS 80.5 3.1 118.9 52.9
SSD 253.3 148.1 1406.5 3059.9
ioDrive 523.7 413.3 1496.9 1802.3
表14 Threaded I/O testerによるストレージベンチマークテスト結果(256MB×128スレッド)
テスト項目 Write(MB/秒) Random Write(MB/秒) Read(MB/秒) Random Read(MB/秒)
SATA 52.6 1.0 69.6 5.7
SAS 90.9 2.8 99.8 9.0
SSD 253.8 147.8 804.6 527.0
ioDrive 536.2 520.1 747.6 321.2

高い自由度のサーバーを手頃な価格で実現、ioDriveを月額料金で利用できるのもポイント

 さくらの専用サーバでは、ローカル接続ネットワークや専用グローバルネットワークといった機能が提供されており、利用者が自らデータセンターやサーバーを用意する場合と比べ遜色ない自由度が用意されている。今回紹介したエクスプレスG2シリーズはコストパフォーマンスも良く、ある程度のスペックのサーバーを多く用意したい、という場合に有用だろう。

 また、エクスプレスG2シリーズではストレージとしてSSDやioDriveが利用できるのも特徴だ。ベンチマークテスト結果を見ても分かるとおり、これらストレージの性能は非常に高い。メモリキャッシュに収まらないような大容量のデータを扱う場合や書き込みがそれなりの頻度で発生するような用途であれば、SSDを選択する価値はあるだろう。

 また、より高い書き込みパフォーマンスを求めるのであれば、ioDrive搭載モデルを選択するのがおすすめだ。ioDriveは元々エンタープライズ用途での利用が想定されていることもあり、信頼性の高さや耐久年数の長さも十分なものとなっている。ioDriveをもし単体で購入する場合、その価格は最低でも100万円からとなるため、月額49,800円、1年分の一括払いならば年額547,800円でこれを利用できるというのは魅力的である。ioDriveの導入前にそのパフォーマンスを検証するといった用途などにも気軽に使えるだろう。